43話
「アルフリード様が帰ってきた!?私行かなきゃ」
「待ちなさいよ!何処へ行くつもりなの?まさか、アルフリードを探しに1人で町に行くつもりじゃないでしょうね?アンソニーの話を聞いていたの?今、城下町は治安がよくないって言ってたでしょ?」
「でも、でも…」
「1人で行くのではなくてきちんと従者を連れていきなさいって言ってるのよ」
「分かった…」
マリーはその日、学園を早退して一日中 町を捜索したが、アルフリードに会うことが出来ず、次の日も次の日もマリーは空いている時間があれば町を散策し、アルフリードの姿を探したが見つかることはなかった…
◆◆◆
「止めてちょうだい!」
アトリエからの帰り道、マリーは馬車の窓から外を眺めていた。あれから何日もアルフリードの姿を探してみたが、結局会うことは出来なかった。アンソニーにも会わせて欲しいとお願いしたが、本人が忙しいの一点張りで面会すら叶わず、1ヶ月が過ぎようとしていた。
『今、龍騎士の制服が見えたような気がしたけど…もしかしてリード様?!』マリーは従者の制止も聞かず、馬車を飛び降りると元来た道を走り出す。
『リード様… リード様… 会いたい』マリーはそのまま路地裏へと続く道を走り続ける。『何処にいるの?』
しばらく走り続けると細い道に1人の若い男が道をふさいでいた。マリーは引き返そうと後ろに足を踏み出したが、後ろにも男が立っていた。『しまった… 挟まれた!』
「やあ、お嬢さん。1人でそんなに急いで何処に行くのかな?」
「俺達暇なんだよ。遊んでくれないか?いい服着てるね~」
若い男達はニヤニヤと薄気味の悪い笑みを浮かべながらマリーへ一歩一歩近づいてくる。
「誰か助けて!」
マリーは精一杯の声で叫ぶ。
「はっ、こんな所にだれも助けになんて来ねぇ~よ。優しくしてやるから大人しくしてろ」
男は腕を掴むと力強くマリーを引っ張り連れていく。
「いや、止めて。離して!」
「そこで何をやっている!」
後ろから突然声がした。
『えっ?まさか…』
「アルフリード様!」
マリーは勢いよく振り返ると声がする方へ目を向ける。
「お嬢さん大丈夫ですか?今、助けます!」
そこには1人の若い龍騎士が立っていた。
「くそっ!龍騎士だ!逃げるぞ」
男達はマリーを龍騎士の方へ突き飛ばすと慌てて逃げていった。龍騎士はマリーを素早く抱き止める。
「大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございます」
『リード様じゃなかった…』
マリーは龍騎士に馬車まで送って貰うとそのまま家へと帰宅した…
◆◆◆
「隊長、先程助けた娘がドラグン隊長の名前を呼んでいましたが知り合いですか?それなら、隊長が助けに行った方が良かったんじゃ…」
「いや、知らない女性だった」
「そうですか… 私の聞き違いかもしれません」
「おい、私は行くところが出来た。お前は着替えてこい」
『マリー嬢の匂いがこびりついている…』
「はい?何故着替えるのですか?そこまで汚れていないと思いますが?」
「いいから着替えてこい!分かったか!」
「は、はい!分かりました隊長!では、失礼します」
『マリー嬢… 少し見ない間に随分と大人びたな。髪を伸ばして… ヒト族の1年はこれ程までに成長するのか。マリー嬢が昔と変わらず同じ香水を使っていてくれて助かった。お陰で場所が特定しやすい。さぁ、先程の奴らを捕まえに行くとしよう…』
アルフリードは背から羽を広げると高く空へと飛び立った…
その後、捕まった2人の若い男はひたすら「ごめんなさい」と泣き叫んでいたらしい… 余程怖い目にあったんだろうと警備兵は少し気の毒に思った…
◆◆◆
「今年の学園祭はどうしましょう…何かいい案ない?」
もうすぐ2年に一度の学園祭。2年前は年の前半に行われ、マリー達は コスプレ喫茶をやった。今年は年の後半にあるため、卒業が近いマリー達は学園祭が終われば残すイベントは卒業パーティーだけになる。今年もクラス全員一致でアンソニーとオゼットに決定権が渡され、オゼットは頭を悩ませていた。
「男女逆転カフェは?男子はドレスで女子はタキシード、男子はカツラを被って化粧して、女子は髪を縛り薄化粧するのどう?」
「面白そうね! でも、アンソニーが良いって言うかしら…」
「アンソニー様がドレス… 見てみたいです!」
「前回と同様、私とザックで飲食の準備はするよ!ドレスとタキシードは…」
「勿論わたくしとアンソニーで準備致しますわ。では、アンソニー次第… と言うことになるかしら?」
「そうだね…」
「では、わたくしは今からアンソニーの元へ行ってまいりますわ。多分、生徒会室で引き継ぎを行っていると思いますの」
オゼットは意気揚々と生徒会室へ向かった。
◆◆◆
「アンソニー少しいいかしら?学園祭の事なのだけど、マリーから【男女逆転カフェ】という提案が出たのだけれど、どうかしら?わたくしは面白そうだと思ったのだけれど…」
「それはつまり、私が女装をするって事かい?それはどうかな…」
「そう。マリーには大きな恩もあるし、ローズも貴方のドレス姿を見たいと言っていたわよ」
「ローズが? そうだね。マリー嬢には大きな借りがあるね。お陰て全て上手くいっているよ… いいだろう。女装くらいして見せよう」
「では決まりね!今年も準備はマリー達がしてくれるそうよ。わたくしとアンソニーは衣装の準備ね。わたくしはドレス、アンソニーはタキシードいいかしら?」
「ああ、問題ない」
「楽しくなりそうね」
オゼットは嬉しそうに生徒会室を後にした。




