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拒絶したのに、今更です…   作者: みかさん
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41/51

41話


「ちょっと離してよ!痛いってば」

ザックは強引にマリーの腕を引っ張り、路地裏へ連れて行く。見覚えのある景色…そこは昔マリーとザックが幼少期に遊んでいた場所だった…


「お前、何で合茶に行ったんだよ!」


「ザックには関係ないでしょ…」


「もう龍騎士の事はいいのか?どうなんだよ!」


「だからザックには関係ないって言ってるじゃん!」

ザックは深刻な趣で少しの間 沈黙していたが、意を決して語り出す。


「マリー覚えているか?昔 ここでよく遊んだよな… 幼かった俺は貴族が大嫌いでお前をよく苛めてたっけ… 親父を見下す貴族の態度、俺達兄弟を汚いものとして見る目が気に入らなかった…あの時の俺は貴族のお前に当たってばかりだったな… それでも、めげずにアリア商会に来るお前をいつしか俺は好きになってたんだ… なぁ?俺じゃ駄目か?俺じゃお前を支えることは出来ないのか?」


「そ、そんな事 急に言われたって分からないよ…」


「俺の気持ち分かってくれよ…分かって欲しいんだ」

ザックに抱き寄せられ、マリーは抵抗しようとしたが、ザックのすすり泣く声が聞こえ、マリーは驚きのあまり言葉を失った。


◆◆◆


「アンソニー様 どちらへ向かわれているのですか?」


「分からない… 何処だっていいよ。一刻も早くあの場から離れたいんだ!ねぇ、ローズ。何故 合茶なんかに参加したんだい?」


「合茶では男性が質問に答えて下さると聞きましたので、それで…」


「その質問は私では答えられない事なのかな?」


「はい… アンソニー様の事なので…」


「私の事?」

アンソニーはうつ向いているローズの髪にサラッと触れると髪を耳にかける。


「そ、そういうところです!アンソニー様は距離が近くて… 私の心臓は今にも壊れそうなのです」


『ローズ君はなんて可愛らしいんだ…』

「それでなんて… 嫌、他の男の言葉なんて聞きたくないな。私がね ローズに近いのは… 好きだからだよ」


ローズが顔を真っ赤に染めるとアンソニーは嬉しそうにくすくすと笑うのであった…


◆◆◆


「オゼット!何故 合茶になんて行ったの?心配したじゃないか!」


「ごめんなさい… ジョルズが最近わたくしと距離を取りたがるから、殿方にどうしてなのか聞きたかったの」


「そ、それは!」


「そしたらね、それはわたくしの事を意識してるからだって言うのよ!それは本当?」


「…… 」

顔を真っ赤にするジョルズ。首まで真っ赤だった。

ジョルズの反応を見て、オゼットも真っ赤になり、無言のまま2人は帰って行った…


◆◆◆


『あれからザックと気まずい… 自転車ももうすぐ完成なのにぜんぜん進んでない』


「はぁーっ」


「どうしたの?大きな溜め息なんてついて。何かあった?」


「あったんだけど…学園じゃ言えない…」


「では、明日わたくしの親族の家で夜会があるの。それに3人で参加してそのままわたくしの家に泊まるのはどうかしら?」


「夜会か~ 夜会っていい思い出ないんだよねぇ…」


「夜会参加は貴族の役目よ。行きましょうよ。ローズはどうかしら?」


「私は美味しいものが食べられるなら行くわ」


「では、決まりね。わたくしの家で着替えて一緒に行きましょ。明日が楽しみねぇ~」


◆◆◆


「それで何があったの?」

オゼットの親族の夜会に来た3人は料理をお皿に盛るとテーブルに運びガールズトークを楽しんだ。勿論 次から次へと男性がダンスの誘いに来るけれど全て断っている。マリーはこの間の合茶の後、ザックに告白されたことを話した。そして、アルフリードの事を吹っ切れないから断りたいがザックを傷付けてしまいそうで恐いことも話した。


「それなら待ってもらえばいいんじゃないの?」


「そもそもザックを男として見れないんだよ!もし、結婚したらザックと子供を作る… なんて絶対に無理!!」


「なら、お断りするしかないわね。長引かせたら彼が可哀相よ」


「でも、でも、いまの関係を壊したくないから悩んでんじゃん」


「それは都合が良すぎるんじゃなくて?決めるのは彼なのよ。彼が友達に戻れるならそうすればいい。やはり、ちゃんと返事はするべきよ」


「う~ん。そうだよね…」

『オゼットが言う通りだ。決めるのは私じゃなくてザックだ… 今だってザックを傷付けているかもしれない…』マリーはザックに明日ちゃんと話をすることを決意する。


「おや、そこにいるのはオゼットじゃないか!久しぶりだな」


「カイザーお兄様お久し振りです。この方はわたくしの従兄のマリンピスト侯爵家のカイザーお兄様ですわ。こちら友人のスカーレット・マリーとハイアーン・ローズです。わたくし会話に夢中になって挨拶に伺うのを忘れてましたわ。申し訳ありません…」


「いや、いいんだよ。それにしても一段と美しくなったな。お友達もなんと美しい…」

カイザーの目は明らかにローズに釘付けである。


「お兄様、あちらでお友達が呼んでいますわよ」


「そ、そうか… もう少し話がしたかったが仕方があるまい。また、お逢いできるよう手配するとしよう。では、また」

カイザーは意味深長な言葉を残し、友の元へ向かう。


「不味いことになったわ…」


「どうしたの?」


「い、いえ、こちらの話よ。ごめんなさい… わたくし 明日の朝一番に急用が出来ましたので、今日のお泊まり会は延期でもいいかしら?」


「いいよ~話したいことはさっき全部話したし~」


「ごめんなさいね…」

それからオゼットは終始落ち着かない様子で何かを考えているようだった…


◆◆◆


「アンソニー 大変よ!!」


「おやおや、来て早々物騒な物言いだね」


「わたくしの従兄のマリンピスト侯爵家のカイザーお兄様がローズに求婚をすると思うわ」


「なんだって!何故そんな事になった!」


「ごめんなさい…わたくしが夜会に誘って3人で参加した先で偶然カイザーお兄様と遭遇しちゃって… お兄様の目はローズに釘付けだったし、会う手配をすると言っていたわ。お兄様は成人を迎え、今 婚約者を探しているの。絶対にハイアーン家に求婚状を送ると思うわ。どうしましょう…」


「チッ、卒業を迎えて事が落ち着いたら と思っていたが… やはりこれは早める方がよさそうだ…」


「大丈夫かしら?」


「それとなく マックスには先に前ぶれを出しておく。しかし、身分の上の者からの求婚を無下に断ることは出来ないだろう… オゼット、私は全力で事にぶつかろうと思う。君も協力してくれるね?」


「勿論ですわ。手伝えることは何でも言って」


「では、手始めに今、マリー嬢が手掛けているものを入手したい。やってくれるね?」


「何を作っているかは分からないけれど、頼んでみますわ」


アンソニーは机に向かうと早速ローズの父親に手紙を書いた…



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