39話
あんなに色鮮やかだった日々が嘘のよう…
ローズやオゼットが居てくれるから、なんとか学校には行けているけれど… 今は創作意欲も湧かないし、何もする気がおきない。はぁー、今日何度 溜め息を吐いただろう…
毎日、毎日 同じことの繰り返し…
マリーは今日もまた広い空を眺めては、アルフリードの事を考えていた… 『リード様… 貴方は今どこにいますか…』
◆◆◆
「マリー、いい加減にしろよ!」
ザックはマリーを中庭に呼び出した。
「…… 」
「みんなが心配してるの分かってるだろ!いつまでそうして何もしないで過ごすつもりだよ?お前らしくない!」
「お前らしくない?私らしいって何?」
「人も都合も考えず、はちゃめちゃにするのがお前だろ?自分勝手だが、周りに気を使える、明るくいつも笑ってるのがマリーじゃないのか!」
ザックらしくない少し震えた声は、今にも泣きそうに思えた。マリーはつっかえていた物が取れたかのように涙を流し始める。
「ザック… 私 苦しいの。苦しくて苦しくて…辛いの… 笑いたくても笑えない… ねぇ、私どうしたらいい?リード様に会いたい…会いたいよ」
わんわん泣き出したマリーをザックはそっと抱き寄せた…
「俺じゃ駄目なのか… 」
ザックの囁きは夢中で泣いているマリーには届かなかった…
◆◆◆
あれから半年… マリー達は無事、4年へと進級した。
「マリー貴女危なかったわねぇ。ギリギリだったじゃない」
「うん。危なかったよ!オゼットとローズのお陰だね。ありがとう」
「いつでも言って。マリーに教えるの楽しいから」
「マリー、良かったわ。少し元気になったようね」
「ありがとう。オゼットとローズのお陰かな。それに悔しいけどザックもね」
「そうね。彼は嫌がる貴女を連れ回していたものね。最近では2人で試作品を作っているとか…」
「うん。もうすぐ出来るよ!完成したら2人には見せるから」
「楽しみにしているわ。所で貴女、もうアルフリードの事は落ちついたのかしら?」
「オゼット!」
「ローズ、私なら大丈夫。オゼット、ローズ心配させちゃってごめんね… リード様の事は今でも好きよ… だから帰って来たリード様が後悔するくらい いい女になってやろうって思ったの!なんてね」
「その意気だわ!そこで提案なんだけど、今【合茶】と言うものが流行っているそうよ。わたくし達もやってみない?」
「何それ?」
「合同茶会 略して【合茶】よ。殿方と人数を合わせて一緒にお茶を飲むらしいわ。それが流行っているのよ。考えてみたらわたくし達ってアンソニーやジョルズ、ザックにアルフリードくらいしか親しい殿方が居ないじゃない?お母様が言うには、女を磨くためには沢山の男性を観察しなさいって…どうかしら?ちなみにわたくしは王子の婚約者とばれないために変装と名前を変えるので宜しくね。」
『それって… まんま合コンじゃねぇ~か!』
「ジョルズ様はいいの?」
「最近ねぇ… ジョルズがわたくしから距離を取りたがるのよ… 触らせてもくれないの… だから、合茶で殿方にどうしてなのか質問したいのよ…」
『… それってあれが当たるからなんじゃ…』
「えっ?質問に答えてくれるんですか?なら私も質問したいことがあります!最近アンソニー様の距離がとても近いのです。私…緊張してしまって… どうしてなのか知りたいです」
「あ、それはアンソニー様が変態だからでしょ」
「そうね。たぶんそうだわ」
「2人ともひどいです。アンソニー様は変態ではないといつも言っているではありませんか!」
「じゃあ、それを質問してみたらいいんじゃない?面白い事になりそう」
「では、決まりでいいのね!どうかしら?わたくし達3人とも町娘という設定にしてみては?そうすれば名前はそのままでも怪しまれないわ。町娘なら相手は貴族にはならないし」
「いいねぇ。そうしよう!」
「では、今週末 忘れないでね」
初めての合コン… マリーは久しぶりにわくわくする自分に驚いていた。
◆◆◆
「もうすぐ完成だな」
「そうね。まさか作れるとは思ってなかったけど、ザックのお陰ね」
「本当にこんなもんに乗れるのか?」
「大丈夫よ。任せて!」
マリーは今、アトリエでザックと自転車を作成中。バランスの悪い自転車をザックは本当に乗れるか疑っているけど、マリーの指示に従ってくれている。
「なぁ、明日暇か?ちょっと買い物に付き合って欲しいんだが…」
「ごめん。その日はオゼットとローズと合茶… あっ…予定があって無理だわ…」
『あっぶな!合茶の事は秘密だった…』
「そうか… なら仕方ないな。また次に付き合ってくれ」
「う、うん。分かった!じゃあ私帰るね」
「ああ、気を付けて帰れよ」
マリーはそそくさとアトリエを後にすると馬車に乗り込み帰っていった。
「今あいつ【合茶】って言ったか… 今流行ってるあの合同茶会か? オゼット嬢とローズ嬢も行くのか… これはあの方に報告しなくてはな!」
ザックは急いで馬車に乗ると、城を目指して馬車を走らせた…




