38話
「アンソニー様、お話があります。少し宜しいですか?」
「どうしたんだい?そんな深刻そうな顔をして…」
修学旅行から一夜明け、アルフリードは深刻そうな面持ちでアンソニーの元へ訪れた。アンソニーは堪りに堪った書類を淡々と処理している。
「1年間の休暇を頂きたいのです」
「おや、それは随分と急な話だね。何かあったのかな?」
「いえ、特には… ただ他の国を見て回りたい ふとそう思ったのです…」
「そう。アルフリードには数十年にも渡り、我が王家を支えて貰っているからね。駄目とは言えないよ。ただ、寂しいとは思う… てっきり私が在学中は一緒に居れるものだと思っていたからね」
「申し訳ございません… 私の代わりは副隊長のシードが務めますのでご安心下さい」
「ああ、分かった。いつ発つつもりだい?」
「明日です…」
「本当に急なんだね… 皆には伝えたのかな?マリー嬢とか?」
「伝える必要は無いと考えています。私はいち
護衛に過ぎません」
「そうか… 君がそれでいいなら私は何も言わないよ。気を付けて… いや、君に気を付けては必要ないか…楽しんで来てくれ」
「ありがとうございます。アンソニー様」
アルフリードはアンソニーに深々と頭を下げると業務に戻っていった。
『マリー嬢と何かあったな…』アンソニーはこの事をどうマリーに伝えるか頭を悩ますのであった…
◆◆◆
「… と言う訳で、しばらくアルフリードは旅に出ることになったよ。私の護衛は代わりの者が務める事になったので皆に伝えておこうと思ってね…」
『嘘… リード様が旅に、、、そんなはずない!漫画では断罪イベントの時 アンソニーの隣に居たもの!!もし、ストーリーが変わってしまったとしたら… 』
「私のせいだ…」
「何言ってるのマリー!貴女のせいな訳ないじゃない!」
「そうよ マリー 」
オゼットとローズは心配そうにマリーを見つめる…
「私がしつこくしたからだ… 私になんて興味が無かったのに、、私が付きまとったから…」
マリーの目からは止めどなく涙が溢れる。
「!… お前まさかあの時 聞いていたのか?」
ザックは慌ててマリーに駆け寄るとマリーの肩を両手で押さえ、マリーに言い聞かせるように叫んだ。
「なあ、よく聞け!あいつのあれは本心じゃない!お前は顔を見てないから分からないかもしれないが、あれは嘘だ!」
ザックは必死にマリーに言い聞かせる。
「嘘じゃないよ… 嘘だったらリード様はここに居てくれるはずでしょ?見てるだけで良かったのに私が欲をかいたせいだ… モブの私が… 謝らなくっちゃ!リード様に謝らないと!もう近くには寄りません。だから、どうかここに居てくださいって…」
マリーは何かを思い付いたように急に走り出した。
「マリー何処に行くんだよ!」
ザックはマリーを止めるために後ろからマリーを抱きしめる。
「離して!リード様に会いに行くの!謝らなくっちゃ…」
「マリー アルフリードはもう居ないのよ」
「そうだ。今日の朝には発ってしまった!龍人のアルフリードにマリー嬢が追い付けるわけ無い」
「リード様…」
マリーはそのまま意識を失った…
◆◆◆
「ねぇ、どうにかならなかったの?」
オゼットは怒り気味にアンソニーの机を叩いた。
「私だって止めたかったさ。でも、アルフリードのあの苦しそうな顔を見てしまったらどうしても止めることはできなかったよ…」
アンソニーは悔しそうに拳を握り締める。
「上手くいかないわねぇ… アルフリードもマリーの事が気になっているように見えたけど…」
「気にしていたよ… だが、アルフリードにはアルフリードの考えがあるんだろう…」
「そうね… 私達 ただ 好き で一緒に居たいだけなのに、どうしてこんなに難しいのかしら…」
「そうだね…」
◆◆◆
「あれ?ここは?」
「マリー大丈夫?」
保健室に運ばれたマリーに付き添ったローズはマリーの手をぎゅっと強く握っている。
「私、またみんなに迷惑かけちゃった?」
「迷惑だなんて…」
「ごめんね ローズ… もしかしたら私… ローズの幸せになる道筋壊しちゃってるかもしれない…」
『ここまでストーリーが変わってしまったのはたぶん私のせい… 私さえ余計な事をしなければローズは確実にアンソニーと結ばれるはずだったのに…』そう考え始めたマリーはまたポロポロと大粒の涙を流し始めた。
「マリー! そんな事 絶対に有り得ないわ。だって今の私 凄く幸せよ?マリーと出会えて、お友達になって… オゼットやアンソニー様ともお友達になれたわ。それに、最初にマリーに声をかけたのは私よ。あの時の私に会えたら誉めてあげたいわ。勇気を出して話しかけてくれてありがとうってね。例え この先、苦しいことや悲しいことが合ったとしても私は後悔なんてしないわ。マリーは私とお友達になったこと後悔してる?」
『するわけない!するわけないよ』
マリーは首を大袈裟にブルブル振り回した。ローズはそんなマリーを見て、ふわっと微笑んだ。




