25話
『ヤバい、どうしよう…離すにも離せなくなった腕…』
マリーは今にも抜けそうな腰に鞭を打つかの如く力を込めている。
「この後どうする?」
「こ、この後…」
ゴクリッ『この後ってまさか…』
「私は出来れば、アンソニー様から離れたくはないのだが…」
『あ、なんだそういうことね… 自分が恥ずかしい』
「私もそれで… ローズから目を離したくありません」
『どんなイベントが始まるか分からないもんね』
「君という人は… そうか、では遠慮なくアンソニー様を見張るとしよう。ありがとう。マリー嬢」
『マリー、ここで倒れては駄目よ!!リード様をがっかりさせないで…』
アルフリードとマリーは2人の尾行を始めるのであった。
◆◆◆
「怖いわぁ… わたくしから離れないでね」
ジョルズの腕にしっかりしがみつくオゼット。
「分かってるから、そんなに押し付けないでくれ…」
「押し付ける?そんなに体重かけたかしら?失礼ね」
「ち、違うよ!その… あの…」
「なんなのよ!はっきりしなさいな。わたくし益々不安になるじゃない…」
ジョルズに絡めている腕に力がはいる。
「あーっ もう無理! ちょっとそこの部屋に入ろう!!来て…」
「ちょっ… 駄目よ!わたくし達まだそんな関係じゃ…」
ズルズルとオゼットを引きずるジョルズ。
「いいから、早く来てくれ。もう、限界なんだ…」
「いやっ、待って… そんな… ああっ」
ジュルズは一つの部屋のノブを回し、ドアを開けるとオゼットを引きすり、そのまま部屋の中へ消えていった。
◆◆◆
「飲み物でも飲むかい?」
「はいっ、頂きます」
「では、一緒に取りに行こうか?離れたら危ないからね」
「はいっ」
『なんだ。結構楽しそうにしてるじゃん』
離れたら距離から2人を見つめるマリー。
『おっ、テラスに移動するみたい』
2人の後を追う。
「今日は星が綺麗だね」
「ええっ、とっても綺麗です」
「ローズ嬢も綺麗だ…」
「まあ、アンソニー様ったらお上手ですね」
顔を赤らめるローズ。『これってまさかのいい展開?』
「すみません。お客様…」
アンソニーの後ろから突如 執事が声をかけてきた。
「申し訳ありませんが、当メイルーク家の招待状はお持ちでしょうか?」
「ああ、持っているよ」
「では、向こうで少しだけ確認したいことがございますのでわたくしに着いてきていただけますでしょうか?」
「ああ、連れと一緒で良ければ」
「いえ、貴方御一人でお願いいたします」
執事はアンソニーの腕を掴んだ。
「ローズ先輩、こっち!」
突然現れたエドワードがローズの手を引っ張り連れて行く。
「止めて、離して…」
「先輩。つれないな… ぼくだっていいでしょ?」
エドワードはローズを無理やり引きずると部屋の中に消えていった。
◆◆◆
「アンソニー様!マリー嬢すまないが、私はアンソニー様の元へ行く。ローズ嬢の元には部下を向かわせるので君はここで大人しくしていてくれ」
アルフリードは先程まで マリーが居た場所を見てハッとする。既にそこにはマリーの姿は無くなっていたからだ。『マリー嬢、まさか…』アルフリードはマリーの元へ向かいたい気持ちをグッと抑え、アンソニーの元へ急ぐのであった。
◆◆◆
「ねぇ、先輩。痛いのは最初だけだよ?少しチクッとするだけ。後は、ただ気持ちいいだけだから…だからじっとしてて?」
「いや、来ないで!」
「大丈夫、ぼくを信用して?ローズ先輩好きだよ」
注射器を片手にジリジリと詰め寄るエドワード。ローズは恐怖から動けないでいた。
その時、勢い良くドアが開かれた。
バタンっ
「エド君、止めなさい!ローズを返して!」
「ま、マリー!」
「あれっ?ぼく鍵閉め忘れちゃった?ざんね~ん。ローズ先輩ごめんね?2人きりじゃなくて3人になっちゃった」
「エド君、今 素直に謝ったら許してあげるよ?ねぇ、もう止めて?」
「何言ってんの?この尻軽どもが!俺が気持ち良くしてやるっていってんだから素直に従えよ」
「そう。分かった!じゃあ私も遠慮なくさせてもらうね」
「はっ、最初からそうやって素直に言うこと聞けば優しくしてやるよ。ってそれ… なんだよ!」
マリーはドレスに忍ばせていた瓶を手に取るとエドワードに見せつけるように高く掲げた。
「これねぇ、私が飼ってるペットよ!今日はたくさん連れてきちゃった」
「お、おい… それってまさか…」
「あっ、手が滑って蓋が開いてしまったわ…どうしましょう!みんな逃げていくわ」
「や、止めろ!早く蓋を閉めろよ」
「あらっ?飛んでいったわ」
「ギャーアー!く、くるな!や、止めろ」
「ローズ、今のうち!早く」
「マリー!」
「では、エドワード様、私のゴキちゃん可愛がってくださいね」
部屋を出ると、龍騎士が近くにいたのでエドワードの事を伝えると素早くエドワードを拘束し、そのまま連れていってしまった。
どうやら他の所でも薬物使用が目撃され、会場は一斉摘発されたようだ。
「ローズ嬢!無事か!すまない…私のせいで」
「いえ、マリーが助けてくれたので何もおきませんでしたよ。だから、私は大丈夫です」
「本当にすまなかった」
アンソニーはローズを強く抱き締める。その体は小刻みに震えているようだった。




