26話
「マリー、ローズ、無事で良かったわ」
「「オゼット!!」」
3人はぎゅっと抱き合った。
「貴女すごいじゃない!エドワードを撃退したんですって?」
「まあね!」
『良かったぁ、前世で【身分差の恋~王子が私に恋する~】の公式サイトでエドワードのプロフィール読んどいて… エドワードってあの見た目だからけっこうファンが多かったんだよね。お陰でプロフィールが載ったわけだし』
「本当にありがとう、マリー。」
ローズは安堵からなのかその場にペタリと座り込む。
「大丈夫?」
「気が抜けたみたい… 足に力が入らないわ」
「どうか、私に運ばさせてくれ…」
心配そうに駆け寄ってきたアンソニーは壊れ物のように大切にローズを抱き抱えた。
「ア、アンソニー様。お忙しいでしょう。私は大丈夫ですので降ろして下さい!」
「いや、後は騎士団に任せてきた。今日はどうか君の傍に…」
アンソニーはそのまま馬車に乗り込むとどうやらローズを病院に連れていくようだ。
「オゼットも薬物使用現場を見つけたんだって?」
「そうなのよ!たまたまジョルズと部屋に入ったらそこで媚薬を使っていてね… 変なもの見ちゃったわ…」
「2人で部屋に入ったの!?」
「ち、違うのよ!変な誤解しないでね?ジョルズがまた鼻血を出したのよ…」
「あー… 大変だったね…。」
「… そうね」
『リード様にお礼が言いたかったけど、忙しそう』その日はそのまま家路に着いた。
◆◆◆
「ふふ~ふん♪ ふーぅ♪出来た!」
『リード様に普段からの非礼とお礼を込めて、チョコレートを作ってみました。まあ、作ったと言っても、溶かして固めただけだけどね。ハートの形に真ん中に【I LOVE YOU】なんて書いちゃったりして。どうせリード様には分からないもんね。』
「あ、あの。アルフリード様!少しお時間頂いてもよろしいですか?」
「ああ、少し待て。今、代わりの者を呼ぶ。リキッド、アンソニー様を頼む。私は少し外してくるよ」
「はいっ、分かりました。お任せください」
「待たせたね。それで話とは?」
「あ、いえ、あの、これ…」
「これは?」
「いつも迷惑かけちゃうお礼で作ってきました!良かったら貰って下さい!」
「いや、迷惑なんて…」
マリーはチョコレートが入った紙袋を無理矢理アルフリードに押し付けると全速力でその場から遠ざかった。『渡しちゃった!!』
「キャーキャーキャー」
走りながら叫ぶマリーはしばらく学園で【変人】と恐れられた。
◆◆◆
「隊長~、何持ってるんすか?なんか旨そうな匂いがしますね。」
「うるさい。フィード向こうへ行け。少し1人にしてくれ」
「へ~い。分かりましたよ~」
「全く、あいつは… (ガサガサ)チョコレートか。んっ何か書いてある。【I LOVE YOU】だと!この意味は確か【愛してる】か… はっ、まさかな」
『実に似ている。遠い昔、龍人族の村に突如訪れた異世界人の文字に。しかし、マリー嬢がそんなこと知るはずがない…我々だって伝承でしか知らないのだから…偶然の一致か?良く見ると確かに形状も違うか…』
「旨いな…」
アルフリードは大切そうにチョコレートを味わうのであった。
◆◆◆
「メイルーク伯爵家の取り潰しが決まったよ。」
「当然ですわね。」
「メイルーク家当主及びに家族は永久国外追放になるよ。」
「寧ろ、そのくらいで済んだのが驚きですわ」
「それと、メイルーク家と結託していたいくつかの貴族も財産没収と降格されることになる。これでひとまず一件落着だな。それで君達にお礼を兼ねて王家の別荘へ招待したいんだ。2年最後の連休がもうすぐ来る。どうだろう?」
「私なんかが行ってもいいんですか?」
「何を言っているんだい!ローズ 君は今回の件で一番の被害者だろう。君には別荘でゆっくり寛いでもらいたいよ。別荘には温泉があるんだよ。」
「温泉!?私行く!」
「あら?マリー貴女 温泉を知っているの?限られたものしか入れない貴重なお風呂よ?わたくしだって入ったことがないのに…」
「き、聞いたことがあるだけだよ!1度入ってみたかったんだ」
『道理で無いなぁ~と思ってたら、まさか貴重な物だったとは… 危ない危ない…』
「では、決まりだね。当日は迎えに行くから準備を宜しく頼むよ。着替えやタオルは向こうに用意させておくからね。」
『温泉が~楽しみだなぁ』
◆◆◆
「要望通り、君達3人は同じ部屋にしてみたが、本当に仲がいいねぇ。羨ましいくらいだ。」
『なんて豪勢な部屋なんだろう… 3人でも広すぎる』
「ありがとうアンソニー。早速温泉へ行きましょう」
◆◆◆
「わぁーい。温泉だぁ~」
マリーは素早く全裸になると、タオルも持たず温泉へと続くドアを開けようとする。
「ちょっと待ちなさい!貴女そんな格好で何処に行くつもりなの!?」
「えっ、温泉じゃないの?」
「殿方もいるかもしれないのにそんな格好でいったら変態よ貴女…」
「えっ?えっー!温泉って混浴なの!!」
「当たり前じゃない。貴重な物と教えたはずよ?女性はこれを着て入るのよ。」
オゼットに渡された物はやや短い丈の白い浴衣だった。
「まさか!これを全裸の上に着て入るんじゃないよね?」
「それ以外どうやって着るのよ。変な子ね」
「待って!こんなの着て入ったら透けちゃうよ?透けて見えちゃうんだよ?色々な部分が!」
「マリーが持ってきた水着よりマシじゃない。それに布生地は厚めよ。そんなに透けないわよ。」
「透けるよ!絶対に透けるって… しかも、オゼット さっきアンソニー様の前で「温泉行きましょう」なんて言っちゃったじゃん!絶対に来るよあの変態!」
「マリー、アンソニー様は変態ではありませんよ」
「本当に?じゃあローズが先に行って見てきてよ!いなかったら後から行くよ!私は絶対にいると思うけどね。しかもカメラ持ってきてそうだし…」
「そうね~ わたくしもいるような気がしてきたわ…」
「みんなひどいです!アンソニー様はそんな方ではありません!」
「あらあらっ… やけにアンソニー様を庇うね。実は気になってたんだけど、アンソニー様、いつの間にローズって呼んでるわけ?」
「そ、それは…」
「何!詳しく教えなさいな!」
「オゼット!まずは温泉よ。その話はゆっくり夜に聞きましょう。ローズ、さっ、お先にどうぞ」
「え、ええ。私、行きます。アンソニー様を信じていますから」
ローズは勢い良くドアを開けると大股で温泉へと続く道を歩いて行くのであった。




