15話
「やあ、私の噂をしていたのかな?」
「やっぱり来たのね」
「アンソニー様。ようこそいらっしゃいました」
「ローズ嬢お邪魔させて貰うよ」
「こ、これはこれは殿下ようこそ我がハイアーン家にお越しくださいました。ドラグン侯爵様もようこそいらっしゃいました。」
「マックス、お邪魔させてもらうよ」
「は、はぁありがたきお言葉…」
「お、王子様まで…」
先程までローズをいじめていたいとこ達は顔が青ざめガタガタと震え出す。
「君たちがローズ嬢のいとこかな?」
「「は、はい!」」
「ローズ嬢とは普段からとても仲良くさせて貰ってるんだよ。それはそれは仲良く…ね?ローズ嬢は優秀でね。卒業後も私の傍で私のために働いてもらう予定だから、だから君みたいな者が愛人に出来るような女性ではないんだよ。言ってる意味分かるよね?」
「はい、すみませんでした…」
「分かればいいんだよ。分かれば…ね」
『あーあ、ローズのいとこ ちびって変な動きで走ってどっか行っちゃったよ。てか、何処から見てたんだろ?この人…』
「アンソニー様、ありがとうございます」
「ローズ嬢…」
『あらあら、アンソニー。顔が真っ赤だよ。可愛いとこあるじゃないってリード様の存在忘れてた!!この前あんな事があった後だから極力顔を合わせないようにしていたんだけど…』
あの写真はしっかり額に入れ、寮に飾ってある。一生の宝物だ。少しだけ、少しだけなら…アルフリードの方に目線を送ると…
ブブッー
「ちょっとマリー!鼻血ーっ!何してんのよ」
「マリーお気を確かに」
ああ、薄れゆく意識の中 アルフリードの顔を思い出していた。『その顔は反則…』一瞬だったが、確かにアルフリードの瞳は熱を帯びていた。見つめる先には私がいた…
◆◆◆
「あったまいった~」
「そうでしょうね。あれだけ大量に血を出せば、誰だって頭痛くなるわよ」
「そんなに出てた?」
「ええ、噴水の様に出てたわね」
「そんなに?嘘だよね?オゼットが大袈裟に言ってるだけだよね?ねぇローズ?」
「…… 」
「嘘!マジ?本当の話なの?恥ずかしい~また醜態を晒してしまった~」
「そんなに興奮すると、また鼻血出すわよ」
「… ねぇ、今日、2人って時間ある?話したいことがあるんだけど…」
「やっと話す気になったのね」
「でしたら、今日はうちに泊まっていってください」
「ありがとうローズ。そうさせてもらうよ」
◆◆◆
「勿体ぶらないでさっさと話しなさいよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!私にだって心の準備ってもんがあるんだから!!スーハースーハー」
お風呂も食事も済ませ、3人でパジャマパーティー中。マリーは意を決して口を開く…
「実はね… 私、アルフリード様の事がす、好きなの!キャー言っちゃった!驚いたでしょ…」
「全然、貴女を見てれば馬鹿でも分かるもの」
「はい、恋愛に疎い私でもそうだとは思ってました」
「えっ、嘘!?まさか、リード様にもバレて…」
「ないわね。あれも仕事馬鹿だから。へぇ~リード様って呼んでるのね」
「あ、や、妄想の世界で…呼んでる…」
「アハハっ人の恋愛話って面白いわね。わたくしもね、ジョルズが好きなの… もう、ずっと小さい頃からね…」
「知ってる…」
「えっ!オゼットはアンソニー様の婚約者ではないの!?」
「そうよ、王子の婚約者… 親が決めたね… 12歳の時に決まったからもう長いわね~だから、諦めていたのよわたくし…だけど… ねぇ、ローズはどうなの?誰かときめく人とかいない?」
「分かりません。そういう感情がどういうものなのかも良く分からないんです…だから、2人が羨ましい」
「そう… もし、ローズに好きな人が出来たらわたくし達に教えてね。例えその相手がどんな方であろうとも必ずよ?」
「ローズは必ず恋をするよ。近いうちにね」
「はい、もしそうなれば、必ず2人には報告しますね」
「絶対よ!必ずよ?」
「分かりました。必ずですね」
「マリーも頑張りなさい。相手は手強いわよ」
「いいの… 私は見ているだけで。だって私とリード様では釣り合わないもの…」
「何言ってんのよ!貴女は十分可愛いわ。それに才能もある。お金だってあるじゃない!自信持ちなさいよ」
「もし、仮によ?仮にリード様と上手くいったとしても、いつリード様のツガイが現れるかと思うと多分私耐えられないと思うの…ハハッなーんて」
「そうね… 貴女が後悔しないならわたくしは何も言わないわ。後悔しない生き方をしましょう」
「「そうね」」
夜通し語り明かした後、3人同じベットで昼過ぎまでぐっすり眠るのであった。
◆◆◆
カシャカシャ
「止めてください。先程からアンソニー様は何故私を撮るのでしょうか?」
「練習さ、気にしないでくれ」
「気にするなと言われても気になるので止めてください」
「まあ、このくらい撮れればいいでしょう」
『さあ、交渉材料は揃いました。マリー嬢 待っていてくださいね』