第2話
僕はもう一つ、夢の中で気になっていたことを確かめるために行動を起こしていた。
それは何かというと、魔導災害と呼ばれる原因であった魔導人形。
あのとき、誰かは忘れたけど、大量の魔導人形をある場所に保管したことだけは、なぜかはっきりと覚えている。
あの魔導人形は脅威だ。
できればシルバー王国に知らせて、しっかり管理してもらった方がいい。
僕はそう考えて、夢の中で見た場所へと向かっていた。
「たぶん、ここの気がする・・・・」
場所は、神聖ゴールド聖教国の首都のすぐ近くにある森だった。
いまでは、木は一本も見当たらず、荒れ地になっている。
今回も従者としてついてきてくれたシェラに聞くと、ここは過去に何度も戦場となった場所らしい。
森だろうが何だろうが、戦場に使われるとどんどん土地の活力が失われ、人も住まない荒れ地になっていくらしい。
「人の持つ感情が負の感情であれば、自然界にも悪影響を及ぼすのです」
シェラは寂しげに微笑みながら、そう教えてくれた。
僕にはよく分からないが、戦争もそうだし、ケンカも良くないよな、と思う。
僕は、夢の中の映像を頼りに、ある人物が魔法で作った地下格納庫がここら辺にあるはずだということを確信している。
「たしか、ここら辺に魔法陣があったはず・・・・」
僕は手探りで、あたりをところ構わず触りまくる。
すると、ピッという音がした。
「パスワードを入力してください」
という無機質な声が聞こえる。
やった。
本当にあったぞ。
ええと、パスワードはたしか・・・・。
「レッド!!」
僕がそう叫ぶと、音が消え、目の前に大きな入り口が出現する。
本当にあったんだ。
あの夢は、やはり現実にあったことかもしれない。
僕はどんどん実感が湧いてきた。
そばにいたシェラは、
「どうされますか、ご主人様?一応、中の様子を探ってみました。今のところ、動いている魔物や、明確な敵意を持つ存在は感じられませんが」
と、すでに探知魔法を使ってくれている。
あいかわらず素早い。
優秀すぎるだろ、僕のメイドは。
「うん、そうだね。中へ入るよ」
そう言いながら、僕はおそるおそる地下格納庫へと足を踏み入れた。
中に入り、よく目を凝らしてみると、そこには何十体もの魔導人形が立ち並んでいた。
壮観。
これ一体一体がどんな力を持っているか、僕は知っている。
これだけの魔導人形があれば、世界すらも滅ぼせるかもしれない。
僕はフッと、変なことを考えてしまう。
すると、頭上から、
「ふっふ~ん。ご苦労でした!!リーダー先輩!!」
この声は、ダオ?
声のする方を見ると、そこにはダオがいた。
なぜ?
と思う前に、ダオが、コンソールパネルらしきものの前で何かを起動している。
「え~と、これがこうで、うわ、こんなことまでできるのか!!本当に千年以上前に作られたものとは思えないや」
と言いながら、ボタンを押す。
「起動確認」
無機質な声がした。
「よし、これで魔導人形は僕の言うことだけを聞くぞ」
ダオはにやりと歪んだ笑みを僕に向けて、
「リーダー先輩。残念でした。ここにいる魔導人形はすべて僕のもの。僕の指示しか聞かない。僕はこいつらを使って、この世界を滅ぼしてやるんだ」
「ふ、ふふふ、やっと復讐できる。僕が魔族だからって父さんや母さんを死に追いやった連中に対しても、全員つぶしてやる!!」
何だって。
ダオは魔族だったのか!!
「ふふん。びっくりしたかい?!」
「そうだよ。シルバー王国へ帰ってから様子がおかしかったあんただから、もしかしたら何かを思い出したかもしれないって言われたんだ」
え?
そんなことを誰から聞いたんだ?
ダオはニタニタしながら、饒舌にしゃべりだす。
「そしたら、いきなり神聖ゴールド聖教国へ行くと聞いたもんだから、念のため尾行してみたんだけど、本当にビンゴもビンゴ、大当たりだったね」
「てか、なんでこんな魔導人形が大量に格納されている場所なんか知っているの? あの人も詳しいことは教えてくれなかったしさ」
「まあ、いいや。さて、魔導人形がそろそろ動き出す。さっそく、この国を滅茶苦茶にしてやるさ」
「さあ、聞け!!魔導人形どもよ!!この国とシルバー王国を滅ぼすんだ!!」
ダオは数十体はあろうかという魔導人形に対して、神聖ゴールド聖教国とシルバー王国の両方に攻撃を加えるよう命じた。
グゴゴオゴオオオ。
幾十体もの魔導人形が動き出し、外へ出ていく。
いけない。
本当に国を破壊するつもりだ。
僕は叫んだ。
「すぐにやめさせるんだ!!国を破壊?そんなことをして何になる!?」
しかし、ダオは変わらずに、にまにまと笑いながら僕の方を向き、
「ふふふ。口だけですね。リーダー先輩。ですが、僕は優しいのでチャンスをあげますよ」
「ふふん。いますぐ魔導人形を止めたければ、あんたが持っている魔法生命体の情報を渡せ。魔導人形よりはるかに高性能だというじゃないですか」
「魔導人形の格納されている場所も知っていたんだから、魔法生命体のことも知っているでしょう?情報を渡せば考えてあげますよ」
魔法生命体?
なんだそれ。
そんなの知らないぞ。
ダオは僕の表情を見て、僕が知らないと気づいたのか、
「どちらにせよ、もう遅いですねえ。ふっふふ。この僕が!!世界を滅ぼしてやる!!」




