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第14話

この話を聞いたパールティアは激怒した。


「そんなくだらん欲望のために、アネモネの身体を見せる許可を出したのではない!!」


事の発端は、数年前、大陸十賢者の代表たる魔導士がパールティアに、アネモネに装着された腕輪型魔神具を見せてほしいと頼み込んだことから始まった。


代表の魔導士は、どこからか首飾り型魔神具を手に入れたらしい。


そして同じ魔神具である、腕輪型魔神具も見たいと願い出たのである。


パールティアは、必ず魔道具開発をして国の発展に貢献するという、魔導士の言葉を信じて見せたそうだ。



実際、この数年間、大陸十賢者の功績はすさまじく、多くの魔道具が開発された。


しかし、裏ではそのような野望を持っていたのである。


僕はそんなことは知らずに、フラグラントから聞いた内容をパールティアに報告してしまったのだ。


そこからのパールティアの動きは早かった。


後で聞いた話では、大陸十賢者から首飾り型魔神具を取り上げ、不当な魔力の搾取も禁止されたという。


代表たる魔導士は追放の憂き目に遭い、別の者が代表に就いた。


後で聞いたことだけど、魔導士は欲望に目がくらんでいたが、他の者は代表の洗脳まがいの恐怖政治に逆らえなかったらしい。


しかも、どうやら本当はそれだけが理由ではなかったみたいだ。


魔神具の持つ本当の効果というものに、少なからず興味をそそられて、魔力の協力をしていた者もいたという。


良くも悪くも、研究に熱心な者が集まっていたのは間違いないようだ。


こうして大陸十賢者は、当初の目標に戻り、魔神具を超える魔道具の開発に向けて研究を行うことになった。


結局、魔神具を超える魔道具は、その世代では完成しなかった。


結論から言うと、魔神具と呼ばれるにふさわしい魔道具が完成したのは、数世代後のことであった。


大陸十賢者にも人族はいる。


人族は寿命が短いので、その者たちの子供、孫世代でようやく完成したのだ。


パールティアが大陸十賢者にメスを入れてから200年が経ち、魔神具が完成した。


国民は、大陸十賢者が新たに強力な魔道具を造ったことで大いに賑わった。


だが、魔神具が完成したからといって、大陸十賢者が解散することはなかった。


その後も、魔道具開発の研究を続けた。


中でも人族の大陸十賢者は、その子孫たちが大陸十賢者の称号を引き継いでいる。


世襲制ではないと今の代表は弁明したが、魔力量は遺伝にも影響するので、世襲でも良いかもしれないというのが世間の評価であった。


そして、この数百年のあいだに、大陸十賢者はある魔道具を発明した。


それは果たして、魔道具と呼べるのか。


その魔道具は、手足を持ち、強力な火属性と雷属性の魔法を放つ。


まるで、人型の機械人形であった。


この空前絶後の魔道具を新聞は大きく取り上げ、世間は大陸十賢者と魔導技術共和国パールを絶賛した。


この機械人形は、のちに魔導人形と名付けられた。


その名の通り、魔力で動き、命令者の指示のもと、疲れることなく、魔力が切れるまで動き続ける。


戦争兵器としては、とてつもなく優秀な魔道具といっていい。


まさしくこれは、魔神具を開発する研究の過程で生まれた副産物なのだ。


しかし、この時点での魔導人形は未完成の段階であった。


動作が安定しないのである。


少しの魔力伝達のミスで暴走してしまう、大変危険な状態だった。


完成したとはいえないので量産はしないでいたが、その技術の高さに一般の国民たちは称賛を送ったという。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


アネモネが冬眠してから300年が経った。


僕はずっと、機会をうかがっていた。


大陸十賢者が、魔力を貸してもいいと言える状況になるのを。


アネモネは300年前、僕のせいでコールドスリープ状態となり、ずっと冬眠している。


幸い、身体は装置の中で安置され、若さは保ったままだが、早く目覚めさせたい。


コールドスリープの原因は、アネモネの体内で魔力の暴走が起きているからだという。


パールティアによれば、膨大な魔力をアネモネの身体に注ぎ込めば、暴走する魔力を抑え込めるのではないかと言われた。


だから以前、大陸十賢者へ相談しに行った。


その時は断られた。


その後、大陸十賢者の不祥事が発覚し、大陸十賢者そのものがパールティアによってメスを入れられ、健全な組織に改変された。


しかし、そのドタバタで、僕は力を貸してくれるよう申し入れる機会を失ってしまった。


そして、あれから長い年月が経った。


大陸十賢者も名声をほしいままにしているが、その膨大な魔力は健在だ。


いまなら、きっと力を貸してくれるだろう。


僕は大陸十賢者のもとへ行き、改めて事情を説明した。


以前のこともあってか、今回は彼らの力を借りることに成功した。


具体的な協力者は、目の前にいる人族で、大陸十賢者の一人であるエタンという青年である。


彼に協力してもらうことになったのである。


早速、僕はアネモネの身体を安置している、冷凍魔道具の装置がある部屋へ連れて行った。


大陸十賢者のエタンは一目見るなり、ふうむ、ふうむと言いながら分析を始める。


「魔力の流れがここで・・・・」


「こことここに魔力溜まりが存在しているから・・・・」


ぶつぶつと、僕にはよく分からない言葉をつぶやく。


よかった。


これならいずれ、アネモネの冬眠状態も解放してもらえるだろう。


長年の苦労が、これで報われる。


そう思いながら、僕は部屋を出た。


しかし。


結論から言うと、すぐには解消できなかった。


僕はこの後、久しぶりに、魔道具作成でお世話になったリリー先生と出会った。


再会するのは、数百年ぶりだ。


お互い、見た目は変わらない。


きっとリリー先生も魔族なのだろう。


はっきり聞いたことはないが。


そして、アネモネのことで悩みを話した。


すると、リリー先生もアネモネのコールドスリープ状態を解除する助力を申し出てくれた。


僕は喜んで了承し、アネモネが安置されている部屋へ案内した。


そこで大陸十賢者のエタンとともに、コールドスリープ状態を解除できるよう研究することになった。



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