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第17話

『ヘリオトロープ団長、お気遣い有難く受け取ります。ですが、命令に逆らわせていただきます』


『このホワイトは、団長の命令を無視しますので、本日ただいまをもって第二騎士団をクビにしてください』


『本当にお世話になりました』


・・・・・・・・。


・・・・。


はっと起きたら、夜だった。


ふう。


また変な夢を見ていた。


ホワイトって言ってたな。


一体、誰なんだろう。


あれから僕は個室へ戻り、横になって寝てしまっていたようだ。


僕が目覚めたことに気づいたエクレアが、側へ寄ってくる。


「ご主人様、夕餉の時間でございますが、いかがなさいますか?少し時間を置いてもよろしゅうございますが」


もう夕ご飯か。


でも、起きたばかりだからか、そんなにお腹が空いていない。


「しばらく、待ってくれる?」


「承知いたしました」


エクレアはそう言って礼をし、部屋を去ろうとする。


そのとき、ドアを叩く音が聞こえた。


誰か来たのだろうか。


開けてみると、ダオがいた。


ダオは小さな声で、恥ずかしそうに言う。


「あの、実は、アカデミーの建物の中に忘れ物をしてしまって・・・・」


話を聞くと、明日提出の課題に必要なテキストを忘れてきてしまったらしい。


今は夜。


取りに行くのが怖いので、ついてきてほしいみたいだ。


昼間、僕にあんな憎まれ口を叩いたから恥ずかしいみたいだけど、意を決して僕の部屋を訪ねてきたようだ。


「いいよ。取りに行こう」


僕がそう言うと、ダオはぱっと顔を輝かせてうなずいた。


「ご主人様は人が良いですね。そんなご主人様も素敵ですが」


エクレアは顔を赤らめて、僕を見ていた。


夜のアカデミー。


扉には鍵がかかっており、中には見回りの警備騎士がいる。


夜にこっそり魔法陣や仕掛けなどを設置させないためだそうだ。


見つかると大変なことになるので、警備騎士に見つからずに部屋へ行き、忘れ物を取りに行くことになる。


ダオが言うには、目的の部屋は三階だそうだ。


なかなか骨が折れる。


僕たちはこっそりと階段を上がっていく。


だが、不意に光魔法のライトに照らされそうになった。


警備騎士が気配に気づいたのか、


「誰だ!!そこにいるのは!!」


と言いながら、走ってきた。


僕とダオは一目散に逃げる。


警備騎士はなおも追いかけてくるので、走り回っているうちに、普段は立ち入り禁止のエリアに入ってしまった。


しかし、入ってしまったからには仕方がない。


警備騎士が諦めてどこかへ行くまで、隠れる場所を探すことにした。


少し歩くと、とても豪華な扉がある。


心なしか、開いている気がしたので、そっと扉に触れる。


すると、勝手に開いてしまった。


部屋の主が、こちらに気づいて近づいてくる。


しまった!!


と思ったが、もう遅い。


観念して部屋の主をよく見る。


すると、近づいてきたのは――


シェラだった。


「あらあ、これはこれは」


「麗しきご主人様。こちらへ、どうしたのですか?」


「ん~、んん、なるほど、なるほど。承知いたしました。どうぞこちらへ」


そう言って、シェラは僕とダオを部屋の中へ入れる。


そこへ、警備騎士がやってきた。


「夜分申し訳ありません、大将軍シェーラ閣下。ここに不審な者が来ませんでしたでしょうか」


「大丈夫よ。ご苦労様。こちらには不審な者は来ていません。戻ってもいいわ」


「はっ、失礼いたしました」


そう言って、警備騎士は去っていった。


ほっ。


助かった。


さすがシェラだ。


僕が何も言わなくても、すべて察してくれたみたい。


「ご主人様。このような夜更けに、ここへ何の御用ですか?」


シェラは僕の手を取り、ゆっくりと頬に近づけながらすりすりする。


あれ?


前にもイオニアにされたことがあるけど、何が楽しいの、これ?


「ごめん。迷惑をかけた」


「いいのでございますよ。わたくしはどこまでもご主人様の味方。困っているようでしたら、この後、転移で寮の部屋までお送りいたします」


あ、ダオの忘れ物があるから。


僕がそう言う前に、シェラはダオに、


「これ」


と、そっけなく、ダオが必要としていた課題のテキストを渡す。


その目はとても冷たく、まるで僕の足を引っ張るなと言わんばかりだ。


だが、再び僕に目を向けると、一瞬で切り替わった。


とても温かい、熱のこもった眼差しだ。


「これで用は終わりましたよね?部屋まで送らせていただきますわ。・・・・そちらの方もね」


僕たちは、シェラの転移魔法で部屋へ帰ることができた。


後で聞くと、アカデミーの建物内にシェラの部屋を用意したようだ。


僕の役に立つかもしれないからって。


だから、立ち入り禁止になっていたのか。


シェラが熱のこもった目を向けながら言う。


「講座やアカデミー内で疲れた時があったら、ぜひお立ち寄りください。そして、心ゆくまで、ごゆっくりしてくださいませね。ご主人様」


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