第12話
『あの時――ウィスタリアで、お前と出会った時から思っていた』
『そして、今日が最後だ』
『たとえ刺し違えても・・・・僕のすべてを使って、お前を倒す』
『――人族を、なめるな!』
・・・・・・・・。
・・・・。
朝だ。
僕が目覚めると、個室のベッドで寝ていた。
そばには、従者としてエクレア、シェラ、クレオメが控えている。
どうやら、うなされていたようだ。
変な夢を見た気がする。
覚えてないけど。
「親愛なるご主人様、ご気分はいかがですか?うなされておいででしたので、気分の良くなるおまじないをかけておりました」
エクレアが心配そうに言う。
「体調がすぐれないのなら、今日は欠席をしてはいかがでしょう。寝付けないのであれば、わたくしどもが添い寝をいたしますが」
そう言って、顔を赤らめたシェラがじっと僕の顔を見つめてくる。
いや、欠席はしないし、添い寝も遠慮するよ。
「ご主人様、今日の洗顔です」
そう言って、クレオメは日課である洗顔用の桶を持ってきている。
クレオメは、僕の体調よりも日課を済ませることを優先する傾向にある。
まあ、それでも構わないけど、少し融通がきかないかな。
まだ不慣れだからか?
「ありがとう。洗顔して、今日もアカデミーへ行くよ」
そう言って、僕は朝の支度を整えた。
あれからテストの日を迎え、僕は無事にテストを受けた。
一日に二教科、五日間のテストという日程だ。
そして今日は、そのテストの結果が発表される日である。
正門に掲げられた掲示板に張り出されるという。
僕は自分が何番かどきどきして、昨日はなかなか寝付けなかった。
もっとも、エクレアとシェラがマッサージをしてくれて、すぐに寝てしまったけど。
それはともかく、僕は寮を出て正門へ向かう。
朝だというのに、もう人だかりができていた。
みな、テストの結果が張り出されるのを待っているようだ。
結果、僕は十位に入っていた。
「シルバーの栄光」寮ではトップらしい。
ラナンが僕を見つけ、寄ってくる。
「やったじゃないか。君、頭もいいんだね」
と言ってくるが、ラナンに勉強を見てもらっていたんだ。
ラナンはやはり実力を隠している。
目立たないようにしている、というべきか。
「ああ、それと、監督生から話があるから呼んできてくれと言われたんだ」
「僕に?」
何だろう、話って。
僕は不思議に思ったが、急いで「シルバーの栄光」寮の監督生室へ向かった。
そこには、監督生のほかに寮長もいた。
話というのは、パーティを組むことについてだった。
先だって剣術大会で準優勝を取り、今回のテストでも総合十位を取った僕には、パーティを組む資格が与えられるそうだ。
ただし、本来は自由にメンバーを選べるのだが、今回は事情があるという。
アカデミーになじめない者や訳ありの者と組んで、勉強をはじめとして、色々と面倒を見てほしいとのことだった。
どんな生徒かは分からない。
けれど、何事も経験だと思い、僕は了承した。
すると、さっそくメンバーとなる生徒を紹介された。
全員で三人いる。
三人とも「シルバーの栄光」寮の寮生だ。
もしかして、本来なら寮をまたいでメンバーを選べるはずだけど、僕が初めて「シルバーの栄光」寮からパーティを組むので、他の寮に手を出してほしくなくてこうしたのかもしれない。
それならそれで、別に構わないけどね。
三人のうち、二人は見覚えがない。
けれど、もう一人はラナンだった。
やあ、と手をひらひらさせて、こちらを向いている。
「改めて自己紹介するね。ぼくはラナン。『シルバーの栄光』寮で、魔法科の所属だ。今年アカデミー高等部に入ったばかりの、ピチピチの16歳だよ」
次に自己紹介をした生徒は、生意気そうな表情をしている。
貴族の子息かな?
うう、苦手だ。
名をシアン・ルジッグというらしい。
ルジッグ子爵家の子息だそうだ。
もう一人は、ダオと名乗った。
二人とも不愛想。
これから仲良くやっていけるかな。
「これからよろしくね」
そう言って僕は手を出したが、シアン・ルジッグもダオも手を出さず、にこりともしない。
ラナンだけは手を取って、
「よろしく~」
と笑顔なんだけど。
「えっと。どうしたんだい。何か不満かな?」
僕が聞くと、シアン・ルジッグは、きっと僕の方をにらんだ。
「不満かって?不満に決まっているだろう!!せっかくパーティのメンバーに選ばれたっていうのに、こんな外れのリーダーなんて!!」
僕がぽかんと呆れていると、もう一人のダオという少年も言う。
「クス。僕もまさか、こんなパーティに配属されるとは思わなかったよ。もう少しまともなところだと思ったんだけど」
僕は、あまりに予想していなかった反応にぽかんとしてしまった。
はあ。
こんな反抗的なパーティメンバーだなんて。
あのとき、面倒を見てもいいなんて言わなきゃよかったよ。
先が思いやられる。




