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アイデール王国 95


 フィリアは、目が覚めると見知らぬ天井が見えた。


 思わず、一度目を閉じてから、もう一度見る。


 やはり、変わらず、見知らぬ天井である。


 フィリアは、体を起こし、部屋を見回した。


 豪華絢爛な部屋は可愛らしく白とピンクをベースにして揃えられており、お姫様の部屋のようであった。


「どこ?」


「あら、起きましたの?」


 横を見ると、髪の毛が鉄ドリルのような少女がこちらを見つめている。


 よくよく、よーく見て、フィリアは思い出した。


「ルーナ子爵令嬢?」


「あら、覚えていましたの?お利口さんですわね。」


 王城でお茶会の時に意地悪をしてきたルーナ子爵令嬢は、バカにするようにそう言うと、大きくため息をついた。


「無事でとりあえず良かったですわ。」


 意外な声にフィリアが目を丸くすると、ルーナは扇子を開き口元を隠すと言った。


「む、、、、昔の私の幼さゆえの過ちは、、忘れて下さらない?あの時は申し訳ない事をしたわ。」


 それにフィリアはとりあえず頷くと、ルーナは安心したように息を付き、扇子をピシリと閉じた。


「あの、、、ルーナ様。ここはどこです?」


 その言葉に、ルーナは眉間にシワを寄せると大きく息を吐きながら言った。


「ここは、、、アイデール国の王城ですわ。」


「何故、、、私はここにいるのでしょう?」


「攫われたからですわ。」


「へぇ。攫われた、、、、え?!」


「貴方は聖なる乙女と言う事がアイデール国にバレて、攫われたのです。」


 フィリアは驚いていたが、淡々と事実を語るルーナにも驚いていた。


「え?あの。では何故、ルーナ様がここに?」


「とりあえず軟禁中なのです。」


「は?」


「貴方、私の事を全く知りませんのね。私は子爵令嬢ですが、母がこのアイデールの元々姫でしてね、尊き血故、フィーリタ王国第一王子の婚約者ですの。」


 その言葉に、フィリアは驚いた。


 なんと、なんと!


 昔思っていた。


 ルーナは悪役令嬢のようだと。


 なる程、そうだった!


 乙女ゲーム攻略キャラ王子バージョンの『君と恋する季節』の第一王子の婚約者であり悪役令嬢はルーナだった!


 舞台は隣国のアイデール王国で、第一王子の留学に婚約者であるルーナも付いていくという設定だった。


 ルーナは小さく溜息を漏らした。


「まぁ、でも、、、いつまで婚約者でいられるか分かりませんが。」


「どういう事です?」


「第一王子が、アイデール王国の令嬢と恋に落ちた様ですの。」


 その言葉に、そちらのゲームもこちらと同時進行なのかと、頭が痛くなった。


 かなり記憶は怪しいが、確か、王子バージョンではアイデール王立学園に、聖女の力を持つ主人公が入学する所から始まる。

 ストーリーは王道だが、攻略キャラの王子達はさすが王子。キャラが濃ゆい。


 そんな中、フィーリタ王国第一王子であるウィリアム殿下は隠れキャラで、二年時にイベントをクリアしていれば登場する。


 たしかそんな感じ。


 え、、、令嬢と恋に落ちたという事は、ウィリアム殿下が攻略されたのか?


「えっと、、、あの、大変聞きにくいことなのですが、ルーナ様はその令嬢をいじめたりは?」


「貴方失礼ね?まぁ、注意くらいはしますけれど、他国の私がいじめなんてそんな事は出来ませんわよ!」


 とりあえずほっとした。


「では、殿下はその令嬢を連れて帰るのですか?」


「どうかしら、、、何せその令嬢には浮名が多くて、、、いつも殿方に囲まれていますの。」


 おっと!なんと主人公さん逆ハーレムエンドですか?!それは、現実では厳しいですよ!?


 しかもこの王子バージョンは、逆ハーレムエンドありましたっけ??


 え。


 もしやこれはバッドエンド爆進中では。


「まぁ驚きよね。でもウィリアム殿下も周りが見えないくらいで、、それで昨日、婚約破棄するかもしれないと言われましてね。」


 わぁ。


 ルーナ様、隣国まで付いてきたのになんという悲劇。


 たしか、悪役令嬢に悲惨な結末とかはなかったと思う。そこは良かった。


「え?それで、、、何故軟禁?」


「アイデール王国は血を重んじる国なのです。だからこそ子爵令嬢の私が殿下の婚約者になれましたの。ですがね、婚約破棄となれば大問題ですから、とりあえず軟禁のようです。」


「は?え?なら、私は何故ここに?」


「一緒に軟禁した方が警備が楽でしょう?」


「あ、いえ、そうではなくて、何故、どうやってここへ、なんの意図で連れてこられたのでしょうか。」


 なんとなく分かっては来たが、分かりたくない。


読んで下さりありがとうございます!

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