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災い魔力 94


 グリードは、体が燃えるように熱くなり目が冷めた。


 この所、体の中から湧き上がる魔力に、体力が奪われるようになってきた。


 もうすぐ、最後の時が来る。


 部屋を出て、外に出ると空を見上げた。


 月が輝いているのを見ると、少しだけ落ち着く。


「大丈夫か?」


 ニフエルが横に現れ、グリードは頷いた。


「あぁ。だが、体の侵食が進んでいる。」


「フィリアには伝えているのか?」


「いや、必要ないだろう。それに俺が災いの魔力に屈する事はない。」


「そうか。」


 災いの魔力は体をどんどんと蝕んでいく。


 学園の卒業式が近づき、もうすぐフィリアの魔力も最大になるという。


 後少しだ。


 その時、微かだが、懐かしい男の気配を感じる。


「え?」


 グリードは慌ててあたりを見回すが、何もない。


「気のせいか?」


「どうした?」


「いや、何でもない。」


 彼がいるわけがない。


 あれから何百年も経つ。


 それでも微かに胸がざわつく。


 嫌な予感がする。


 心臓がドクドクとなるのを感じた。


 なんだ?


 何が不安なんだ?


 月が沈み、太陽がゆっくりと登り始める。


 朝日が指し、グリードとニフエルは目を細めた。


「朝だ。今日もフィリアさんを迎えに行くのだろう?」


「あぁ。だがいい加減、邪魔しないでくれないか?」


 その言葉に、ニフエルは肩をすくめる。


「聖なる乙女だぞ?そりゃあ過保護にもなる。」


 聖なる乙女は、聖魔法を使い、災いの魔力を払う唯一の存在だ。


 本来ならば、国に保護される存在。


 だが、フィリア自身規格外の力の持ち主でありグリードがいるからこそ見逃されている。


「フィリアが足りない。」

 

 グリードはそう呟くと、ニフエルと分かれると部屋に戻り支度を整えた。


 そして、いつものように、フィリアの部屋へと移動したグリードは、誰もいない部屋を見回した。


 フィリアがいない。


「フィリア?」


 そう呟き、部屋を探すがフィリアはおらず、グリードは首を傾げた。


 先に行ったのかと、フィリアを探す。


「フィリアを見なかったか?」


 皆に聞いて回るが、誰もフィリアを見ていない。


 グリードは、次第に焦りを覚え始める。


 四大貴族の令息と婚約者の令嬢らも一緒に探すが、フィリアがいない。


 なぜ?


 その時、ハロルドがすごい勢いでグリードに駆け寄った。


「まずい事になった。、、、?、、フィリアはどうした?」


「それが、フィリアがいないんだ。」


 その言葉に、ハロルドの表情がみるみるうちに険しくなっていく。


「やられた。」


 ハロルドはそう言うなり、壁を拳で叩きつけた。


「一体、どうやったんだ。」


 皆が一同にハロルドを見つめた。


 ハロルドは、大きく息を吐くと、グリードにはっきりとした口調で言った。


「隣国のアイデール国にて災いの魔力が出現したとの報告があった。」


 その言葉に皆は言葉を失った。



読んで下さりありがとうございました!

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