ユーリの苦悩 56
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フィリアとの話し合いがあった次の日、ユーリは少し緊張した面持ちで学園へと足を運んでいた。
なぜ、自分が最初なのであろうか。
いや、決してフィリアに心を持っていかれることはないと断言できる。だが、自分が一番目でないほうが明らかに対策が取れたはずだ。
だが、仕方ない。
大きなため息を漏らし、空を見上げると、桜の木から美しく花弁が舞った。
不意に、突風が吹き、瞼をぎゅっと閉じ、目を開けたとき、思わず視界を奪われた。
桜の精と踊っているかのように、ハーフアップにした少女が桜の花弁に包まれ、楽しそうに桜の木を見上げていた。
そして、その少女はユーリの方を見ると、ふわりと微笑みを浮かべた。
「ユーリ様!おはようございます。」
淑女としては少しはしたないが、少女はユーリに出会えたことがとても嬉しいような様子で駆け寄ってくる。
美しい花が咲いたような笑顔は人を引き付ける。
「お、、おはよう。」
その少女は、フィリアで間違いない。だが、ユーリの知っているフィリアとはかけ離れていた。
「もう。ユーリ様。私の顔、なにかついてます?そんなに見ないでくださいませ。、、恥ずかしいですから。」
頬を微かに赤らめてそういう姿に、ユーリは思わず呟いた。
「誰だ君は?!」
はにかんだ笑みを少女は浮かべた。
「フィリアですよ。ひどい。ユーリ様ってば!」
笑みを浮かべると、その後、いつの間にか一緒にお昼ごはんを食べる約束をしていた。
このままではいけない。
このままではいけない!
ユーリは慌ててエマの所へと向かった。
「エマ!助けて!」
その言葉にエマは目を丸くした。
「ユーリ様。どうなさったの?」
ユーリはエマの手を取ると自分の心を抑えるかのように呟いた。
「わからない。けど、フィリアの仕草がとにかく僕の心をかき乱すんだ。」
一つ一つの動きが、首を傾げたり微笑んだりする姿が、とにかく自分の好みを的確についてくる。
だがしかし、エマを見ていると心が落ち着いてくる。
心配そうな様子、そして、視線を合わせると恥ずかしそうに頬を赤らめる姿。
ドクン。
心臓がなるのがわかる。
ユーリはエマを見つめて微笑みを深めた。
「ありがとう。エマを見ていたら落ち着いてきたよ。それじゃあまた後でね。」
その後は順調に授業をうけて、昼休みになった。
待ち合わせは裏庭の花壇近くのテラスだ。
足を向け、そして、その光景を見て息を呑んだ。
花たちが嬉しそうにフィリアを見つめていた。
昔から、草花の気持ちが異様に自分には分かり、育てるのが得意だった。
そんな草花がフィリアに好意を向けている。
その姿をぼうっと見つめてしまう。
「あ、ユーリ様。」
にこりとこちらを向き、手を振る。
「あ、これはやばいな。」
自分は浮気者なのかと、悲しくなった。
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