ユーリの苦悩 57
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ユーリはどうにかフィリアとのお昼を乗り越えると、三人を会議室へと呼び出した。
「ユーリ。フィリア嬢はどうだ?」
ロイにそう尋ねられ、ユーリは涙目になって言った。
「僕は浮気者のようだ!嘘だと分かっているのに、何故か心が揺らぐんだ。」
その悲痛な様子に、カインは焦りを覚えた。
「おいおい。本当か、、、。」
「ユーリがぐらつきすぎなんじゃない?」
「お前たちだって自分の番が来たらわかるさ!」
「まぁ、落ち着け。とにかく、作戦を立てよう。」
4人があ〜でもない、こ〜でもないと話し合っている時、フィリアは自室で大きくため息をついていた。
「はぁー、、、予想以上に疲れる。」
朝からフィリアは、ユーリの高感度が上がる髪型、リボン、笑い方、植物を愛でるなど、とにかく頑張っていた。
ゲームの時には選択するだけでよかったものが、現実では自分で全て行動しなければならない。
しかも今回はグリードが乗り気でないめ、手を貸してもくれない。
そう、いつもならなんだかんだ言いながらも救けてくれるグリードが、今回は頑なであった。それどころか、今日は一度も会っていない。
それにも気が滅入る、
グリード、どう思っているのだろうか。
少しは自分のことを異性として見てくれるようになっただろうか。
いや、だめだ。
今はこんな事を考えている場合ではない。とにかく頑張らなければ。
次の日も、グリードの姿はなく、フィリアは一人で学園へと足を向けた。
今日はアイテム桜のヘアピンをつけ、ミニイベントに挑戦予定である。
ユーリの姿を見つけ、フィリアが駆け寄り後ろから声をかけた。だか、次の瞬間衝撃に固まってしまう。
「ゆ、、ユーリ様。おはようございます。」
「おはよう。」
「、、、あの。」
「なんだい?」
「それはちょっと、、、。」
「言わないでくれ。」
ユーリは魔法できっと念写したのであろう。
エマの姿のシャツを着て、背中にはエマ人形を背負っている。
なんて間抜けな姿なのだろうか。
だが、嫌いではない。
フィリアはこらえきれず笑い声を上げた。
ユーリはそれに驚いた。
「素敵!私、エマを応援しているけれど、相手がユーリ様で良かったわ!さ、その調子で頑張ってくださいませね。」
「あ、、、あぁ!もちろん頑張るよ。」
「では一緒に教室まで参りましょう。」
「あ、、うん。」
ユーリはエマ人形を胸に抱き、惑わされないと何度も心の中で呟いた。
だが、キラリと光るピンが目にはいり、思わずフィリアに言った。
「あれ、そのピン可愛いなぁ。」
フィリアはそれを聞いてにっこり微笑みを浮かべると自分の髪からとり、ユーリの前髪に手を伸ばしてとめた。
「ユーリ様にとても似合いますわ。」
ドキンと心臓がなったので、ユーリは慌てて顔を隠すとエマ人形を抱き締める。
「な、、んで僕の髪に?」
「ごめんなさい。つい。でも、ユーリ様に似合っていますからプレゼントです。」
「男がこんなの可笑しいよ。」
フィリアは首を横に振った。
「そんなことありません。男でも女でも、可愛いと思うものを愛でたり、身につけたりするのはおかしなことではありませんわ。」
その言葉に、ユーリは目を丸くした。
そして、思わず嬉しくて笑ってしまいそうになるのを必死で堪えた。
「私もそう思います。」
突然会話に入ってきたのはエマ人形、ではなく本物のエマであった。
エマは、ユーリの正面に立つと、手を伸ばしてピンに触れた。
「とてもユーリ様に似合ってます。ふふ。私も今度ユーリ様に似合う物をプレゼントしますわ。だって私、、可愛いユーリ様が大好きですもの。」
ドッキューン!!!
フィリアは慌てて鼻を抑えた。
危なかった。あまりの可愛らしさに鼻血が溢れ出るところであった。
よく堪えた自分!
呆然としていたユーリは、柔らかく微笑みを浮かべると、エマの手を取り、そしてチュッとリップ音を立てて指先にキスを落とした。
それにエマは顔を真っ赤に染めた。
「エマが僕は婚約者で幸せだな。」
うっとりと見つめてくるユーリに、エマは顔を伏せた。
「わ、、、私もユーリ様の婚約者で幸せです。」
ご馳走様です!!!
フィリアは感激してしまい涙が出そうであった。
自分の起こしたミニイベントであったが、エマが入ることにより、素敵なイベントになった。
フィリアは、幸せな気持ちになったのであった。
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