冬の季節50
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クリスマスパーティはその後行われ、皆がフィリアの魔女に絶賛した。
自分が演じたわけではなかったので、なんとも言えないフィリアであったが、皆が口々に褒めてくれるので、素直にありがとうと返答していった。
また、瓶底眼鏡はその後大不評となり、攻略キャラ達にも見られてしまった事で、フィリアは外して素顔でパーティーに参加した。
会場では、攻略キャラと令嬢達が集まっており、グリードとフィリアもその輪に加わった。
「それにしても、なんでフィリア孃はあんな眼鏡していたの?」
ユーリに尋ねられ、フィリアは首を傾げた。
「可愛いアイテムでしょう?」
その言葉に皆が一様に微妙そうな表情になる。
「素顔の方がいい。あれは趣味が悪い。」
ロイがそういうと、皆が同意するように頷いた。フィリアは肩をすくめ、意味がわからないというような表情を浮かべた。
「だが、フィリアだったらどんな姿でも可愛い。」
グリードの言葉に、シオンが呆れ顔で言った。
「惚れた弱みだね。グリードさんはフィリアに甘々だ。」
フィリアが苦笑を浮かべた時であった。会場に音楽がなり始め、ダンスホールに人が集まる。
皆はそれぞれのパートナーと顔を合わせるとにこやかにうなずき合い、ホールへと進んでいく。
その姿を、フィリアは眩しいものを見るかのように見つめた。
瞳は涙で潤んでいる。
「グリード、、見て。皆、とても仲良さそうに手をつないでいったわ。」
ゲームの中では、こんなに仲睦まじい姿など見たことがない。
攻略キャラは令嬢を愛おしそうに見つめ、令嬢らも嬉しそうに頬を赤らめて視線を返している。
これは、フィリアが夢にまで見た光景だ。
「私、幸せすぎて死にそう。」
「死ぬのはやめてくれ。」
冷静にグリードに返されはしたが、それほどまでにうれしい。
これは、もうあと2年しなくても皆幸せにこのままいくのではないか。もはや、令嬢方を悪役令嬢などと、誰が呼べるだろうか。
そうフィリアが感傷に浸っていると、グリードがフィリアの腰に腕を回した。
「フィリア。今はパーティーを楽しもう。」
グリードを見上げると嬉しそうに微笑んでいた。
「えぇ。行きましょうグリード。」
フィリアとグリードはホールに移動し曲に合わせて優雅に踊る。
「フィリア。」
「なぁにグリード?」
笑みの絶やさないフィリアを優しい微笑みで見つめるグリードは嬉しげにいった。
「よかった。フィリアだ。」
「え?」
「先程は得体のしれない何かがフィリアの中にいて、それをどうしようも出来なくて、辛かった。」
その言葉に、フィリアは困ったように顔をしかめた。
「ごめんなさい。心配をかけたわね。」
「あぁ。でも、今こうやってフィリアがここにいてくれる。それが嬉しくてたまらない。」
グリードが笑みを深めてそういうと、フィリアも笑みを返した。
「えぇ。私もグリードとここにいられてうれしいわ。」
2人の踊る姿は絵になり、皆が魔女と闇の騎士とのラブロマンスを見ている気分になっていた。
その後2人は休憩がてらバルコニーに出た。
雪が降っており、吐く息は白い。
「きれい。」
その時であった。
ざわりと、木の影で何かが揺れる。
黒いその影はゆらゆらと漂い、木を揺らす。
影は1つや2つではなく、その瞳はフィリアをじっと仄暗く見つめる。
ざわり、ざわりと風がさわぐ。
『フィリア、、、フィリア、、、。』
求めるような声が辺りに響くが、フィリアの耳には届かない。
その声の主達はざわり、ざわりと揺れ続けた。
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