夏の季節 34
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フィリアはほくそ笑んだ。
完璧である。
カインが好きなのはスポーティーなデザインである。
フィリアは吟味に吟味を重ね、美しく見えながらもスポーティーな水着を見つけ、クロエラに着せていった。
その瞳は真剣で、アレクも邪魔は出来なかった。その代わり、フィリアの水着はアレクが選んでいった。
ここにある水着はカインがプロデュースしたもので、仕事仲間が型取り、縫い、刺繍、補正した渾身の一作達である。
そんな中からさらに吟味され選ばれた10着のお披露目となる。
「いいわ。フィリアが選んだクロエラの水着もバッチリね。貴方のセンスの良さに私びっくりだわぁ。」
それはそうだ。
フィリアはゲーム内の水着もほとんど覚えていた。なぜなら、ゲームで令嬢たちが着たらさぞ似合うだろうとニマニマしていたからである。
だが、フィリアは気付いた。
「え、、、これ、私が着るの?」
フィリアは愕然とした。
そう、スポーティーは全てクロエラに当てた。となれば、残りのキューティー、エレガント、セクシー担当は必然的に自分になる。
2人の着る水着の部類の割合がおかしいのは分かるが、選んだのは自分だ。
文句はいえない。
フィリアは覚悟を決めた。
クロエラの為である!
女フィリア、女には度胸が大事だ。
別荘の一階部分はアレクがよくファッションショーを開催する為に、それようにセッティングがされていた。
会場では間もなくということで飲み物を手に持ち、皆がまだかと楽しみにしている様子であった。
カインも兄のプロデュース、そしてクロエラの登場を心待ちにしていたのだが、横にいるグリードを見て焦りが芽生える。
「あ、、あの。」
「話しかけるな。お前のせいでフィリアは、、くそっ、、、。」
グリードは恐ろしい形相であるが、寒気を感じながらもカインは言った。
「でもきっとフィリア孃も可愛いですよ。」
「そんなの当たり前だろう!」
「ですよねー。」
間髪入れずに言葉を返され、さらに気温が下がった。
「何がそんなに嫌なんですか。」
その言葉に、グリードはカインを睨みつけた。
「他の者に布の少ない服装を見せたいと思うやつがいるか?」
「ははっ!グリードさんはフィリア孃の事が好きなんですね。」
その言葉に、グリードはきょとんとした表情になった。
「当たり前だろう。」
その時であった。ファッションショーの開催の挨拶が始まり、まずはクロエラが登場したのである。
手足の長いクロエラが身にまとうのは、白と青を基本色とした水着であり、足元は大胆にも太ももまでスリットが入っている。
基本的にはワンピース型ではあるものの、普通の服より露出が激しい。
クロエラは恥ずかしさを跳ね飛ばし、堂々とした足取りでターンをした。
見ていたものは、口々に「素晴らしい。」「スタイルがいきから水着が映えるな!」と褒めている。
カインもクロエラの姿に釘付けになり、そして、先程のグリードの言葉に同意をした。
「たしかに、、、あまり人に見せたくないな。」
クロエラが舞台からさがり、今度はフィリアの番である。
カインも少なからず楽しみにしていたのだがグリードに睨まれた。
「お前は見るな。」
カインは諦めると目を閉じた。
会場が、次の瞬間静けさで包まれた。
足音が響いて聞こえる。
ふわりと短い水着のスカートの裾が舞い、白い美しい足が見えた。
ゴクリと、誰かが息を呑むのが聞こえた。
薄桃色の水着はまるで春の花のよう。
金色の美しい髪がなびくと、スポットライトに照らされて輝いて見える。
花の妖精がいたら、こんな姿に違いない。
グリードは、必死に、早く終われと念じ、その場でフィリアに釘付けになっている男達を睨みつけていた。
カインは、フィリアの出番のたびに目を閉じ、あまりの殺気に早く終われ、と、祈っていた。
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