聖なる乙女 124
フィリアの姿に皆が安堵した。
しかし、ニフエルだけは、微妙に顔をしかめ、そしてため息とともに姿を消した。
ニフエルには、フィリアのしでかした事がわかったのだ。
フィリアは笑みを浮かべると、皆を手招き、そして光の中心部へと招き入れた。
そこには、巨大な卵のような光る玉が鎮座している。
フィリアは、にこにこと笑って話し始めた。
「あの時、、、、グリードは、自らを犠牲にして暗黒龍を滅ぼそうとしたの。ですが、皆のおかげで、グリードをここに繋ぎ止めることができたわ。」
フィリアは皆を見つめたあと、最後には一歩下がった位置にいたレクスを手招き、そして手を握った。
「貴方のおかげです。もし、貴方がいなかったら、、、グリードをここには引き留められなかった。ありがとう。」
レクスは、その言葉にくしゃりと笑う。
フィリアも笑い返し、皆を見た。
「ですが、このことは記録はしないほうがいいでしょう。」
その言葉にハロルドが首を傾げる。
「何故?、、、災いの魔力が、次代にも出現しないとは限らないぞ。」
フィリアはにこりと笑うと、まるで自分を見ろというように両手を広げる。
皆が首を傾げる中、レクスは、一瞬で青ざめた。
「聖なる乙女を、、、生み出す方法にされるかもしれないってこと?」
レクスの言葉に皆が目を丸くし、フィリアは頷いた。
「ええ。才能さえあれば、無理矢理増幅させた聖なる力を与えられれば即席の聖なる乙女が出来るわ。ただし、、、、その聖なる乙女は、無理矢理力を授けられるのだから、狂わないわけがないわ。」
その言葉に皆が青ざめ、令嬢らはフィリアを心配する。
フィリアは、首を横に振った。
「私は大丈夫よ。ただ。」
『ただ?』
皆が、フィリアの次の言葉を待つ。
フィリアは、まるで妖精のように体がきらきらと輝いて見える。
そして、妖精ではないにしろ、それとほぼ変わらない存在になってしまった。
「私は、、、時をみんなと共に過ごしていけないようになってしまったわ。」
令嬢らが息を呑む。
令息らは口をあんぐりと開けた。
「聖なる光の中にいすぎたせいで、体が光に染まってしまったの。」
「つまり?」
「すっごく長生きになっちゃったってこと。」
あっけらかんとそう言ったフィリアの表情は晴れやかであった。
「でも、こうなって良かったわ。」
フィリアは、玉に手で触れると、優しく撫でた。
「これで、グリードと共に生きることが出来る。」
その言葉に皆が黙った。
フィリアは、玉にキスを落とす。
すると、玉が光り、弾けるようにして霧散した。




