お客様が来ました 11
お父様が少し哀れです。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
静かに、目線を下げると、フィリアに座るように促した。
フィリアは大人しくソファに腰掛けると、ロードを見た。
「お父様、どういうことですの?」
「フィリア、父も尋ねたい。この精霊の数はなんだ?どこから集めた?」
父親にも精霊が見えるのか、いや、精霊は皆見えるのだろうか。
「集めていませんわ。集まってきたのです。」
その言葉にロードは息を呑んだ。
「集まってきた、、、フィリアいいかい。精霊はこの世界にとって大切な存在だ。土地を豊かにし、精霊のいる土地は平和が続くという。だが精霊はね、こんなにも姿を見せたり、集まったりはしない。深い森や美しい海にいるものだ。この屋敷や周辺が異常だというのは分かるかい?」
ゲームの中では出てこない話だったので、ロードの話を聞いてフィリアは驚いた。
「分かっていませんでした。なら、とりあえず、精霊達に屋敷外では姿を見せないように伝えた方がいいということですね?」
「?伝える、、?ちょっとまちなさい。まさかとは思うが、精霊は喋るのか。」
「?そりゃあ喋ります。ね?」
『シャベルー!』
『おしゃべり、スキー!』
ぽんぽん!っと姿を現した精霊達は口々に笑いながらそう答える。
ロードは唖然とし、固まった。
「賑やかねー。」
にこにこと微笑む、フィリア。
ロードは頭を抱えた。
「普通は喋らないんだ。」
その言葉にフィリアはまた驚く。
「うっそだぁ〜。」
思わず口調が崩れ、慌てて口元に手をやりほほほと微笑んで見せる。
「私のせいだな。私がフィリアを放置したからこんな異常なことに、、、フィリアすまなかった。」
フィリアとしては衣食住を揃えてくれ、なんの不自由もない生活をおくらせてくれる父を恨んでなどいなかった。いや、むしろ、父がいた方が動きにくかったので、いなくてよかった。
「お父様には感謝しています。グリードも、皆もいますし、私は幸せです。」
その言葉に父は我儘にも寂しさを覚える。そんな事を思う資格もないのに。
「そうか、、グリードはフィリアに精霊についての知識を教えてやってくれ。フィリアは精霊達に無闇に姿を現さないように伝えてくれ。」
『聞いてるよー!でもなんで言うこと聞かなきゃいけないのー。』
『僕たちの勝手ー。』
『カッテー!』
ロードはその言葉に慌てて頭を下げた。精霊を怒らせれば恐ろしい事が起こる。
「もうしわけ、、」
「私とお父様とグリードの前では姿を見せていいから。でも屋敷の外や人前ではダメです。ほら伝達!」
「え!?フィリアそんな、、」
『了解ー!伝達!完了!』
『フィリアがいうなら仕方ないね。』
精霊の手のひら返しに驚く。
「な、、何故?」
『フィリア好きだからー。』
『フィリアすきー。』
『人間達どうでもいいけど、フィリアは大事!』
どういう事なのか、ロードはあいた口が塞がらない。
「ふふ!私も皆の事が大好きよー!」
『きゃー!』
『相思相愛!』
「いや、我のほうが好きだからな。」
つい、素でグリードがそう言うが、ロードの耳には届いていなかった。
「どうしてこうなった。国王に報告すべきか、、だが、、そうなればフィリアは。」
グリードはロードの肩に手を置いた。
「旦那様。もしフィリアを売る様なことになれば、、、どうなるか。」
背筋を汗が伝う。恐ろしい何かが口を開けて自分を飲み込もうとしているような感覚。
あぁ、やはりこの執事も人間ではないのだなと、漠然とロードは感じる。
我が娘は人外ばかりに好かれるのだろうか。
「グリード、、殿。もう執事のふりはしなくていい。あと、貴殿が何者かは心臓に悪そうなのでしばらく、言うのは待ってくれ。」
心臓を抑え、青くなった顔でロードは言った。
読んで下さりありがとうございました!




