ルーナの婚約者 113
フィリアは、正座していた。
なんだか、このポーズを久しぶりにするなと思いながら、項垂れる。
「フィリア、聞いているのか?」
ハロルドは眉間にシワを寄せ、怒りマークをこめかみに浮かべながらフィリアに怒っている。
フィリアは唇を尖らせながら言った。
「上手く行かなかったのは私のせいじゃないもん。」
「フィリア、、、君は反省をしていないのかい?」
ルーナはフィリアに見られていたということに顔を真っ赤にして脱兎の如く逃げ帰ってしまったのである。
ハロルドは大慌てだったが、こそこそと逃げようとするフィリアを見つけた瞬間に、静かにフィリアを捕まえ、正座させた。
「私は、グリードと君の恋を応援したが、君は邪魔するつもりかい?」
フィリアはブンブンと首を横に振った。
「違うわ!私の生きがいは恋の応援をする事よ。四大貴族の皆様が婚約者様方と仲睦まじくなった今、ハロルドとルーナ孃の恋の応援をする事が私の生きる道!」
キラキラとした瞳でそう言ったフィリアに、ハロルドはげんなりとした表情を見せた。
「フィリア、、、それはお節介というものだ。」
「分かったわ!なら見守るだけ!お願い。」
ハロルドは、にこりと微笑みを作るとフィリアの側へと膝を付き、そして耳元で囁いた。
「人の心配より、自分の心配をしてみては?」
「フィリア。ハロルド。何をしている?」
そこには、瞳に怒りを点火したグリードがたっていた。
フィリアはきょとんとさた表情を浮かべる。
「え?グリード?」
ハロルドはニヤニヤと笑うとグリードに言った。
「さぁ、何をしていたと思う?」
「イタズラはよせ。ルーナ孃に嫌われるぞ。」
そのグリードの言葉にハロルドはため息をついた。
「ここにいるお邪魔虫のせいで邪魔されてね。グリード。しっかり捕まえていてはくれないか?どうやら彼女の生きがいは人の恋を応援する事らしい。」
「ほう。」
「私はまずは、自分達の恋を育んでいったほうが良いのではないかと思うがね?」
グリードはくすくすと笑い声を立てると頷いた。
「あぁ。そうするとしよう。だがハロルド。あまりルーナ孃を追い詰めるなよ?しつこくしすぎては逃げられるぞ。」
ハロルドはにこやかに頷いた。
グリードは、正座していたフィリアを抱きかかえると、その場をあとにした。
ハロルドは、大きく息を吐いた。
ルーナの事は大切にしたい。
だから、ゆっくりでいい。
さぁ、次はなにに誘うかとハロルドはニコニコとしながら考えるのであった。
その頃、空を飛ぶフィリアとグリードは、にこにこと笑い合っていた。
「あの、ハロルドがルーナ孃に恋するとはな。」
「ええ!これは友として応援しなければね?」
グリードは神妙な顔を浮かべて頷いた。
「もちろんだ。では、ルーナ孃の、所にでも行ってみるか?」
「良いアイディアね!そうしましょう。」
残念なヒロインフィリアの恋人は、そんな残念な行動にずっとついてきていたグリードである。
ハロルドの説得は虚しく、二人は野次馬と化していくのであった。




