リサ~異世界⑦魔法の練習~
・名前 メタきち
・性別 男
・年齢 80
・種族 メタルスライム
・職業 メタルスライム
・称号 伝説のメタルスライム
・レベル 80
・力 20
・素早さ 800
・体力 5
・賢さ 300
・運のよさ 99
・最大HP 10
・最大MP 450
・攻撃力 40
・守備力 9999
・装備品 なし
・所持金 0
「守備力高!」
ステータスの適正値が分からない私でも、メタきちさんの守備力のあまり高さに思わず叫んでしまった。いや、メタきちさんのこの数値は、適正値が分からないとか、そういうレベルを飛び越えてしまっている気がする。他にもツッコみたいところはあったが、とりあえず次の悪魔さんだ。
・名前 なし
・性別 男
・年齢 200
・種族 悪魔
・職業 悪魔
・称号 悪魔男爵
・レベル 75
・力 200
・素早さ 400
・体力 300
・賢さ 500
・運のよさ 30
・最大HP 600
・最大MP 750
・攻撃力 400
・守備力 100
・装備品 オーダースーツ
・所持金 0
『さすが悪魔と言われることはある……』
メタきちさんに比べるとインパクトはないが、これはこれで高い値なのだと思う。悪魔さんのステータスは、全体的に高く、隙がなさそうだ。
そして次はハーピィーさん。
・名前 なし
・性別 女
・年齢 秘密
・種族 ハーピィー
・職業 ハーピィー
・称号 なし
・レベル 50
・力 70
・素早さ 500
・体力 100
・賢さ 250
・運のよさ 20
・最大HP 200
・最大MP 375
・攻撃力 140
・守備力 0
・装備品 なし
・所持金 0
『年齢が秘密になってる?マスターにさえ見せられない……じゃなくて、女性だもんね。女性に年齢は聞いちゃダメだよね。』
自分の能力を秘密に出来るものなのだろうかと思ってしまったが、そこは女性だからだろう。これに関しては、深く追及しないでおこう。まぁ、ステータスに関しては、今までの2人に比べると見劣りしてしまうかもしれないが、これでもきっと強い方なのだと思う。
さて、最後はキラー君だ。
・名前 キラー
・性別 男
・年齢 30
・種族 キラーパンサー
・職業 ベビーパンサー
・称号 王の息子
・レベル 40
・力 180
・素早さ 350
・体力 200
・賢さ 30
・運のよさ 70
・最大HP 400
・最大MP 45
・攻撃力 360
・守備力 0
・装備品 なし
・所持金 0
『30歳でベビーなんだ……。みんなに比べると能力が低めなのは、やっぱり子どもだからかな。』
種族がキラーパンサーで、職業がベビーということは、もしかすると、成長すると職業が変わるのかもしれない。それにしても、本当に30歳だったということに驚いた。見た目は本当に可愛らしいのになぁ……。
そんなことを思いながらも、とりあえずみんなにそれぞれのステータスを伝え終えた。すると、みんな何やら考え込んでしまっていた。
「今まで、自分の能力を数値化したことなどありませんでしたから、なんだか妙な気分です。しかし、メタきち。あなたに攻撃が通らない理由が分かりました。あなたの守備力ですが、バグですか?」
悪魔さんが、メタきちさんの守備力の高さに驚いていた。やはり、間違いなく高すぎるのだろう。しかし、悪魔さんの攻撃が通らないということは、メタきちは無敵なのではないだろうか。それにしても、かなり失礼なことを言う悪魔さんだ。いや、悪魔だからいいのかな?
そう思っていると、メタきちさんが反論を始めた。
「バカヤロウ。俺はこういう特性なんだよ。固有魔法とか、固有スキルなんかは自分で分かるだろ?その中の一つに、攻撃を通さない特性があるんだよ。」
メタきちさんがプルプル揺れながら答えている。あのプルプルボディのどこに守備力が隠れているのやら。
「ねぇ、リサちゃん。それって、私たちの固有スキルやら魔法なんかも見れちゃうの?」
「ん?ちょっと待ってね……。」
ハーピィーさんにそう聞かれて、私はみんなのスキルや魔法のページが見たいと念じてみた。
「あ!見れたよ!えっと、メタきちさんのは……」
「ストップだ嬢ちゃん!」
私がスキルを読み上げようとした瞬間、なぜかメタきちさんに大声で止められてしまった。
「スキルや魔法ってのは、戦闘においては生命線だ。ここにいるやつらが操られてしまう可能性だってある。むやみやたらに情報は流すもんじゃねぇ。」
「ご、ごめんなさい……。」
それを聞いて、私は素直に謝った。確かに個人情報の取り扱いについては、学校でも習った覚えがある。
いくら魔物とはいえ、勝手に話してよいものではないのだろう。
それに、メタきちさんの話だと、この世界でスキルなどの能力が誰かに知られるということは、死に直結するということなのだろう。
確かに、テストでも、内容が分かっていれば対策が立つ。それと同じなのかもしれない。
そんなトンチンカンな方向に思考が向きかけたその時、メタきちさんがプルプルボディを揺らしながら近づいてきた。
「あぁ……怒鳴って悪かった。次から気をつけてくれ。まぁ、嬢ちゃんは、俺らのマスターなんだ。嬢ちゃんが1人で見る分には構わねぇよ。ただ、油断すんな。どこで誰が見てるか分からねぇんだ。見るときも、細心の注意を払ってくれよ。」
メタきちさんの忠告はもっともだ。
ここはそういう世界なのだということを私は胸に刻んだ。
「さて、次は嬢ちゃんのスキルの訓練だ。時魔法と魔力造形は、かなり訓練しねーと、使いもんにならねーからな。」
「でも、具体的にどうするのよ?」
ハーピィーさんの疑問は、私と全く同じものだったが、私はラファエルさんの言っていたことを思い出して、なんとなくだが、想像はついていた。
ラファエルさんの言葉通りなら、魔法を使い続ければ良いということなので、とりあえず、使ってみれば良いのだろう。しかし。私は、何に使ってみればいいのかということは分からなかったので、答えを待っていると、メタきちさんと悪魔さんが不敵な笑みを浮かべている。
「簡単です。リサさん。私に時魔法をかけ続けてください。」
「え?」
私は間抜けな声を出してしまった。
何かに魔法を使うということは分かっていたが、まさか悪魔さんに使うとは思わなかったからだ。
「時魔法はかなり使い勝手の悪い魔法です。しかし天使はそれを承知であなたにスキルを持たせた。これには何かしらの理由があるはずです。」
悪魔さんの読みはほとんど正解に近いものだった。
さすが悪魔さんだ。長い年月を生きているだけあって、思考力や想像力なんかがかなり豊かなのだろう。
「悪魔の私が言うのもなんですが、天使は理由もなく人を裏切りなどしない。このスキルに何かしら秘密があるのならば、使い続けるのが良いのでしょう。ただ、無機物に使っても、その効果をしっかりと理解できないでしょう。それならば、私に使ってみることが一番です。」
舞台俳優も真っ青の大げさな動きを見せる悪魔さん。
悪魔さんの言いたいことは十分に理解できたのだが、悪魔さんに使う理由だけは相変わらず分からなかった。
そんな私の疑問を感じ取ってくれたのか、メタきちさんから補足があった。
「嬢ちゃんには魔力の扱いなんかにも慣れてもらわなきゃならねぇんだ。魔力ってのは、使わなきゃ上手く使えるようにはならねぇ。それを悪魔に使うことで、魔力の扱いにも慣れるし、魔法の熟練度も上がる。一石二鳥ってやつだよ。」
どうやら、メタきちさんに私の不安はしっかりと伝わってはいなかったようだ。
まぁ、私としてはメタきちさんが言ったことも分かっていなかったので、改めて説明されて理解はできたのだが、肝心の悪魔さんに魔法をかけることには抵抗があった。
「でも、この魔法って、相手の時間を1秒止めるんでしょ?連続で魔法をかけたら、体への負担が大きくなるんじゃ……」
私は思ったままに不安を伝えた。
1秒止まる程度なら問題ない気がする。だが、30回連続で魔法をかけられ続ければ、30秒間、身体活動が全て停止してしまうんじゃないだろうか。
もしそうなってしまうなら、脳に30秒も空気がいかないのはどうかと思うんだけど……。
「嬢ちゃんの心配は分かんねぇこともねぇが、その心配は人間に適用されるもんだ。魔物は体の作り自体が違うから、そういう心配はまるでいらねぇよ。」
メタきちさんはそう言ってくれるが、私は不安を拭えないでいた。勇気が出ずに、その場でまごついていると、見かねたハーピィーさんが声をかけてくれた。
「実際にやってみれば、リサちゃんもわかるんじゃない?」
「そうですね。言葉だけでは信じにくいということも分かります。では、実際に私に魔法を使ってみてください。大丈夫なことを証明してみせましょう。」
ハーピィーさんと悪魔さんが魔法を使用するように促してくる。そこまで言うのであれば大丈夫なのだろうと思い、私は意識を集中させ……
「あれ?時魔法って、どうやって使うの?」
集中どころか、私は魔法の使い方さえ分かっていなかった。
それを見たメタきちさんに、そんな状態でよく人の心配ができたなと笑われてしまったが、今まで誰も教えてくれなかったのだ。分かるはずはない。
そう思っていると、メタきちさんが説明をしてくれる。
「嬢ちゃん。ここに来る前に、俺そっくりな奴を作ったって言ったよな?あれと同じ要領だ。効果をイメージしてから、相手にそれをぶつけるイメージを持ってみな。」
メタきちさんの説明は分かったような分からないようなものだったが、とりあえず、私は言われるがままイメージを始めた。
『悪魔さんの時間を1秒間止める。』
強く念じると、右手が熱くなってきた気がする。
驚いて右手を見ると、ぼんやりと光っているように見えた。
「それです。次は、それを私に向けて放つイメージをもってください。あ、絶対に相手は魔法にかかるんだと強く意識してください。一応耐性は下げていますが、そういうイメージをするのも修行です。」
悪魔さんがよくわからないことを言っていたが、集中している私は、それどころではなかった。
とりあえず、私は悪魔さん向けて魔法を放った。
すると、メタルスライムを造った時ほどではないが、体の中から何かが抜け出したような気がした。
「お?成功だな。しっかり止まってたぞ。」
「そうですね。ふふ……。時を止められるなんて久しぶりでした。同レベル帯で使われると、非常にマズそうですね。」
メタきちさんと悪魔さんは、まるで何事もなかったかのように話している。
しかし、私の感覚からすれば、悪魔さんは1秒も止まっていなかった気がする。
その上、なんだか楽しそうだ。でも、今ので、いくつかアイデアを閃いた。




