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異世界病が治まらない!! 〜Infinity world〜  作者: 幼き娘のフィロソフィー
 一章 〜使者〜
7/11

第七話 体育祭より、中二病とは〜後編

これまでにあった文法的に変な箇所を、全体的に大粛正しました。

まだまだあると思うので、ご指摘して頂ければ、有り難いです。

 自分を守る為に犠牲となった悲惨な兄を見て、マユズミはすぐその場に駆け寄った。無論、兄の体は数トンという物体が猛スピードで突っ込んだため原型をとどめておらず、飛沫した血の上でマユズミはずっと泣いていた。警察や救急が来るまで、ずっと。


 兄の葬儀が終わった後、マユズミの父と母は直ぐに別居、兄は田舎の家の近くの墓地へと入る事に。マユズミは兄を自分の中へ残す為に、自分が新しく中二病となった。


 と、言う事だ。


「その……今はお母さんと?」

「うん……こないだのお盆は仕事で行けなかったけど」

「田舎に帰った時にお父さんは?」

「皆で一緒に居たときと殆ど変わってないよ……まぁ、少しだけ暗くなったけど」


 そうか……。


「マユズミは、その思い出を引き摺ってるから皆に深く関わらないのか?」

「うん、ちょっとね……」


 そうか……。


「あと、今日の口調は普段とは全然違うな……」

「もう辞めろって……言われたんだ」

「それは……」


 それじゃあ、俺が考えて来た言葉が言えないではないか……まぁ、本当なら言わなくていいんだろうけど、でも……ここで言わなかったらこいつはどうなっちまうんだ? ずっと一人なのか? 緋依とだって喋るきっかけが作りづらくなるんじゃないか? 俺がそうなるのは良いが、今のマユズミがそうなるのは一番不憫だ。


 御節介でも良い、今は一つだけ言いたい事がある。


「それは!! ごっほん、おかしいな……」

「え? どうゆうこと?」


 昔何かのアニメで見たことあるような場面になるが、だからどうした? 世間一般で言うリスペクトだろう? そもそも、この小説がどうなろうと俺の責任じゃないし……って、ふざけている場合では無いのだ。


 俺は、今日の為に仕込んでおいた、制服の下の白いコートをバッと見せ、カッコつける。そして


「我こそは『宇宙の創造者』である!! そして、光を司るもの!! お前が『真夜中の略奪者』であり、闇を司るのならば、その調和は保たれなくてはいけないのだ!! そうでなければ、今の世界は直に滅ぶであろうな? だからこそ、コードネーム菅付 黛香よ! 今一度力を取り戻せ!! 復活するのだぁ!!」


 マユズミに手を突き付け、何か強い思いをただ只管念じる俺。マユズミは呆気にとられた様子で、未だこちらを見つめている。だが


「…………ククク……ふっはっはっはっは……ふわーっはっはっはっ!! 面白いではないか、創造者よ!! よかろう、確かに我は復活したぞ!!」

「まだだ! まだ足りない!! 契約の儀式を執行せねばならんのだ!! そう、それは………………」


「それは?」


「……俺と、友達になろう……」


「……」


 マユズミは、笑いの三段活用をした時から既に泣いていた。そして、過去の事もあってか俺の言葉には動揺を表す。


 しかし、その顔には希望が見えた。


「わ、我は……嬉しい!! 嬉しいぞ、創造者!! 今の秀春は……お兄ちゃんそっくりだ……」

「……まぁ、そうかもな……それなら……良かったかな?」

「うん……もう十分……」


 そして、ここからが本題。


「お前は今度体育祭があるのを知っているか?」

「それは……確かそうだったな? 我の完璧な記憶媒体に隅から隅まで……」

「そ、そうか……うん、とにかく! それまでにクラスの全員に話し掛けろ、いいな?」

「え? 何で?」

「何が何でも、だ。何を話しても良いからな?」

「よ、良かろう! 確と承ったぞ!!」




 それから何週間か経ち、マユズミはクラスの人それぞれに『二つ名』を付ける事でコミュニケーションを取る事にしたらしい……おい! 何してる!! っと、言いたい所だが、自分で撒いた種だから仕方無い……本当に申し訳ない。


 ちなみに、緋依には『黒焔の魔女』と名付けたそうだ。


 少し避けられたものの、少しずつ元気になって来ている。それは、俺としても嬉しい事であり、なんだかんだで周りとの関係も出来て来た。非常に嬉しい。


 体育祭の少し前、俺は担任に呼ばれ最近のマユズミに関して聞かれた。担任も流石プロと言うべきか、今までのマユズミが周りに気を許していなかったり、多少ふざけていても飽く迄天然で、実際楽しくなさそうだったのは分かっていたらしい。

 

 しかし、ここ最近というものは直ぐ誰かと話したり、話題を作り出したりと楽しそうなので、普段一番接しているこの俺に何かあったのか聞いてみたいそうだ。しかし


「だが断る!!」

「何でですか!? 神宮寺君何か知ってるんでしょう? ちょっと!? 教えて下さいよぉ!!」


 颯爽と帰宅する俺であったが、もし話すとすれば、きっとマイ・ブラック・ヒストリーに触れる事となるだろうから絶対他言禁止です。


 


 〜〜〜〜〜現在へ〜〜〜〜〜


 そして、体育祭は酷かった。朝から何喰わぬ顔で大きな布を持って来たマユズミであったが、「本番までは誰にも見せない!!」と言い張り頑に守る。その時から俺には嫌な予感が巡っていたが、正直どうでも良かったのだ。何となく、止められなかった。


 ついに迎えた体育祭、俺が唯一出る徒競争で、多くの人は校舎の屋上を見上げる。俺も、スタート直前に見てみると、そこには例の名前があり、周りは笑いに包まれ俺は戦意喪失。だが、火事場の馬鹿力的な勢いで、一着ゴールした。その時の歓声に「すげぇなコスモス!」とか「コスモスって……半端ないわ……」と言う声があり、心の中で俺は


「誰が心優しきウルト◯マンだ!?」


 と、ツッコんだ。ちなみにあの時緋依は、仕事が忙しいからと言って見てなかった。やっぱり、神様って居るんだなぁ。……唯一の救いと言えた。


 俺は眠る前に、マユズミが何故あんな事をしたのかと考えていた。そもそもやる意味など無いし、何故参上なのだ? 関係無いだろうに……。まぁ、この際どうでもいいのだが。


 あの事件から俺は、マユズミの過去を関係無しに一番の友人として、中二的言動に厳しく接する事を決めた。……筈だったのに……忘れていた。確かに最近はいろいろあったさ? でも、中学生までの俺はマユズミを無視する事なんて無かったんだ。


 学校でのあの接し様はやり過ぎか? いやだめだ、中二病を辞めさせるには……。


「ええいっ! もう考えるのは無しだ!! 俺は思うがままにしてればいい!!」


 俺にしては珍しく考える事を放棄した。


 決心を付けたら急に安心して、何だか眠くなって来た。そう言えばこんな感じの思いは、俺が屋上に向かった時と似てるな。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 考え事をしていたら、うっかり寝てしまっていたようだ。いや、考えないようにするんだけ?


 今日も今日とて学生さんだ。俺はいつものように登校している。取り敢えず今後は『思うがままに生きていく』ことでその宿命を果たそうではないか……。まぁ、そんな風に言って来る、あの中二病さえ居なければ楽なのだが……。


「おーい! 秀春!!」

「何だよいきなり……」

「へ? 何か変だったか?」

「いや、昨日と違って名前で呼んだからさ」

「ふっ、永劫の過去を思い出しただけだ!」


 永劫の……? つまり昔の話って事か、なんて偶然だろうか、俺もそうだった……不本意だが。


「いつの話だ?」

「体育祭の——」

「え? 今何て言った?」

「体育祭の時、秀春が——」


 うわっ、まさか内容まで被るなんて!? どうしよう、どうすればいい!? マイ・ブラック・ヒストリィがぁ!!


「あっ、神宮寺君! マユちゃんまで! おーい!!」


 よしっ、ナイスタイミング!! 流石緋依先輩ですっ!


「おぉ! 黒焔の主もやってきたか。いいだろう、篤と聞き入れるがいい」


 あれ?


「あれは体育祭の日に——うひゃぁあ!?」

「あぁっと! ごぉめんねぇ? 『うっかり』脳細胞を破壊しちゃったかな?」

「にゃ、なんだと!? 今のは絶対ワザと——いいぃっ!?」  


 俺の迅速チョップを脳天に二発連続で喰らい、流石のマユズミもその場で悶えている。いいか、良い子の皆、これが中二病、重患者の末路だ。


「ちょ、ちょっと神宮寺君!? いきなり何を!」


 緋依が驚きを隠せない表情で近づいて来るが……て、手が滑っただけだぞ? みたいな顔をしている。


「テヘペロっ!」


 コンクリートの地面では悶え苦しむ少女、緊迫した表情で駆け寄る少女、猫の手で頭を触り舌をだしている男、早く登校出来るのだろうかと不安に思う、今この頃であった。


「何が今この頃よっ!」


 緋依は目の前で頬を膨らませて怒っている。ん? てか今心読みましたか?


「マユちゃん痛がってるでしょ?」

「ま、まぁまぁ……当然の報いでしょ」

「何が当然の——」

「うがぁああぁあ!! 痛いぃぃいいぃい!!」


 緋依の言葉に割り込みながら、マユズミが痛がっているが……放置で良いかな?


「放置しちゃダメだって!!」

「あの、緋依さんっ!? 俺ってそんなに本心丸見えですかぁ!?」


 緋依は俺の言葉を無視してマユズミに駆け寄った。そして、マユズミを揺すっている……頭痛い人を揺すって良いんだろうか。


「や、やめろ黒焔!! 余計に……ぐわぁあああぁあ!!」


 いや、止めようと思えば止められるよ!? でもね、犯人の俺が助けるのはお門違いだろ? いいから今は眺める事しか出来ないんだな……いやぁ、悲しい!


 俺がマユズミを蔑む様に見ていると、遂にマユズミはグダっと頭を伏せた。あ、やばくね?


「お、おい大丈夫か?」

「ど、どうしよう神宮寺君……」


 本当に気絶するなんて考えなかった。いつも強くやりすぎなのだろうか……。


「仕方無い、俺がやってしまった事だし……俺の母さんに——」


 そうだ、レナに頼んで何とかしてもらおう……そう考え、言葉に発しようとした矢先の事であった、周囲の世界が変わったのは。


 先程まで、たしか青空だった空も、コンクリートの地面も、無数の電柱も、全ての景色は一瞬で灰のように白くなり……止まった。


「え?」


 すぐさま俺の目の前に居た二人に目をやる。


「じ、神宮寺君……?」


 緋依は色々泣き目だが、一応安全だった。マユズミは……うん、ピクピクしてるから問題無いな。この問題は何だ? 時が止まったとか? いや、だとしたらここに居る俺達はどうなるんだ。


「緋依……何か知ってるか?」

「……何も……」

「マユズミを助けられなさそうだが……嫌な予感しかしない、取り敢えず人に会う為にもマユズミは——」

「……うぐっ……」

「しっかり担いでいくか……」


 マユズミは邪魔だから置いていこう……と言おうとした時、その当人が何か物申しげだったので言葉は変えた。それに、俺の予想としては、恐らくこの場に居る俺達だけが動ける状態の筈だ。


 周りは住宅街だ。こんな変化が起こったなら、誰か一人くらいは発狂するだろう……俺達は少しだけ慣れちゃったから仕方無いが。とにかく、言葉通りマユズミを担いで学校へと向かう事にしよう。


 さっきまで動けるのは俺達しか居ないと考えていたが、歩きながら誰にも擦れ違わなかったため恐らく違う世界にでも入り込んだのだと考察する。しかし、彼方の作り出す世界とは全く違った。


 それは、歩いたら進める事だ。彼方の世界では、彼方より一定範囲内から離れれば強制的に戻らされる事から言えるのだが、だとしたら本当に大規模なものの気がする。だが、彼方は気付いたのだろうか?


 大規模なせいでほぼ無駄な考え事として終わってしまったが、何とか学校近くまで着いた。ここまでくれば、恐らく彼方に会える筈だ。その時は……やはり尋問するべきか?


 悪事を行うため頭脳を生かそうとしたその時、目の前、つまり学校の方向から巨大な轟音が聞こえて来た。もう俺は何も考えない方が良いのだろうか? 


「ね、ねぇ神宮寺君?」

「あぁ、嫌な予感しかしないよな? 走るぞ!」

「うん……」


 マユズミの事など頭に無い、俺達はとにかく走った。そうして見えた光景は、予想を遥かに上回るものだったため絶句している。いや、ギャグじゃないんだって……ただ文字通り『目で追えない』光景があっただけ。


「な、何が起こっている……?」


 大きな内の学校の校庭では、灰色の景色と元々の景色がせめぎ合うよう所々で消えたり生まれたり……まさに、混沌としていたのだ。しかし、僅かな感覚で感じる波動は、身に覚えのあるものだった。


 これは……。


「……柴崎!! 居るのか!!」

「え? 神宮寺君?」


 緋依は呆気にとられたかの様な表情で見て来るが、俺は確かに彼方が居るのが分かる。っていうか、こんな事が出来るのは知り合いの中で彼方や徹ぐらいしか居ない。そして、今居るのは彼方だ……感覚的に分かるのだ。


 こうして呼びかけた訳だが、返事がある訳ない。仕方無いから……。


「なぁ、委員長」

「は、はい!」

「あの戦いに参加出来るか?」

「え!? 何を言ってるの? そもそも、あれは戦闘をしてるの?」

「それ以外何に見えるんだ? いいからあの場にドデカイのをぶち込め……」

「あの神宮寺君? もしかして……あの変な光景が起こっている場所へ、私の全力の炎をぶつけろと?」


 勿論その通りだと、大きく頷いて返事をする。そもそも撃てるかすら分からないのに、どこからそんな確信が持てるのか、俺自身不思議だ。


「使えるのかなぁ……」


 緋依が怪訝な目で俺をを見て来るので、一応異世界っぽいし、使えない事はないんじゃないかな……と、補足を入れ安心させる。


 ま、まぁ無理だったら一旦走って逃げれば良いだけだ。うん、それだけなのだ……。


「やぁああぁぁああぁ!!」


 緋依は校門へと一歩足を踏み入れ、さながら少年漫画のように力を込める。すると、辺りからこれまたレナの魔力に似たように炎が渦巻いて来て、少しずつ緋依を包み込む。この時だった、服の事を思い出したのは。


「じ、神宮寺君!? 出来たよ!」

「あ……おうっ! 流石緋依だな。それじゃあ一発、いや出来れば思いっきり暴れてくれ!」


 なるべく見ないように、マユズミの手で目を覆いながら指示を出した。ちなみに俺は既に百メートル程離れているので問題無いだろう。


 とにかく、今の我が作戦はこうだ。


『一、彼方と、何かしらの存在(仮名Aさん)が戦っている校庭へ、緋依の特大炎をぶち込む。


 二、彼方なら打ち消す能力で無効化可能。もしそうでなくても、恐らく一発で倒せる筈。


 三、その後、虫の音なら事情聴取(彼方でも行います)。消滅していたら退散。


                                おしまい。』


 作戦開始より三十秒が経過した。そろそろ爆発音と共に、全ての真相が明らかになるだろう……あ、ここも吹き飛ばないよな? た、確かに少し不安要素も多々あるが、今の一番な不安要素は、何と言っても戦闘後における緋依の態度だな。


 そして次の瞬間、爆発音によって作戦の成功が知らされ……なく、俺の不安は的中してしまった。


「きゃあっ!!」


 急な緋依の叫び声で、俺の背筋は一瞬で凍った。今はマユズミを背負ってもいるが、それでも全力で走り、辿り着いた。そこでは、炎を体に纏い唸り声と苦痛を上げる緋依と、その緋依を首から持ち上げているAさんが居る。いや、Aさんでは無く……最早神の様な神々しさも放っている。


 そいつは自動車の衝突実験人形のような頭をしていて、その下を長いコートで覆い隠している。全体的に青白い発光をしていて、コートには星の様な光が沢山付いている。そして、緋依を掴むその腕は関節部分が丸くなっているのに対し、見た目はフルメタルな重厚感、指は刃のように鋭くなっている。さらによく見ると、腕には複雑な紋様が描かれていて、それがほんのり赤く輝いている。


 俺にはどうすることも出来ない……だが、緋依が足掻いているのに逃げるなんて出来ない。


 俺が深層心理で逃げようと思っていた時、そのAさんはこちらに顔を向けた。……顔かどうかも分からないが。


「ふはははははっ! この我こそが、全ての時空をこの手中に納め、完全なる力を手に入れた究極なる神! そう……我が名は時空神『クロノス』だ!!」


 暴れる緋依を軽々と片手で持ち上げ、そんな痛い言葉を吐いている時空神クロノスだが、話が長そうな奴で良かった。今のセリフの中で、俺は彼方を発見出来たのだ。


「……ピクリッ……」


 校庭の端に植えられた大きな樫の木の下に、死にかけている様子で倒れている。きっと気絶しているだけだ、問題は無いと思いたい……。それにしても……今背中で悪感がしなかったか?


「どうした人間……恐れを為したのか? どうなんだ? だがしかし、この空間内で動ける貴様等は面白いな? 先程の少年と言い、こちらの少女と言い、実に面白い能力を持っているなぁ?」

「……ピク……ピクリ……」

「そうだな……少しだけ貴様から話を聞いてやろう? 何が知りたい? この世の真理か? 何でも聞かせてやろうではないか……まぁ、直に皆殺しとなるがなぁ?」


 いちいち語尾に『なぁ?』って入れてんじゃねぇよ! とツッコミたかったが、何とか抑えた。そして、こいつが「直に皆殺し」と言っていた為、きっと彼方は死んでいない。あと、このクロノスも大概だが、俺には変な悪感しかしない……まさか……!?


「クロノス様は気が短いぞ? 早くしないと、誰から殺されるだろうなぁ?」

「……ふふっ、貴様こそバカだなぁ……この俺を誰だと思っている? 全ての理を創りし者にして、光を紡ぐ希望である……宇宙の(コスモス・)創造者(シェプファー)だぞ!!」


 仕方無いから誤魔化したぁあああぁぁぁぁあ!! やばい殺される……殺されるぅ!!


「な、何ぃ!? 貴様、何処でその名を知ったのだ!?」

「……え!?」

「ま、待て……あのお方は既に亡き者の筈……しかし! それは創世紀前の話だぞ——?」


 し、しかも何か訳ありだぁぁあぁあぁああ!! 偶然か? いや奇跡だな!? とにかく、この場は凌げたし、あいつも何かブツブツ迷走してるらしいから、今の内にどうするか考えないと——。


「ふふっ、忘れたのか? クロノスよ……久しぶりだなぁ?」

「ひ、ひぃっ!? 絶対神様!! さ、先程の無礼は御許し下さいっ!! この度は、教典にもないような真似をしてしまい、本当に申し訳ございませんでしたっ!! ど、どうかぁっ!! この通りぃ!!」


 いちいち言葉が多い奴だな……なんて思ったが、何とか行きそうだ。まず、クロノスが俺に少し近づいて土下座をしてきた。さらに、その時緋依も落下した為、今は地面で腕を着いて落ち着いている。僅かだが、勝算はあるかもしれない!! よし、そうときたら——。


「……クロノス……時空神……絶対神…………コスモス・シェプファー!!」


 背中からの叫び声が——!?


「——大復活!! 再降臨したぞっ!!」


 こんな時に限って一番ヤバい子が復活してしまった……絶望だ。しかし、土下座していたクロノスも反射的に起き上がり、身構えた。こいつ……本当は通常的な頭の持ち主なのでは?


 マユズミは俺の背中からひょっと降りると、辺りを見回し出した。何だか指差し確認も行っている。


「これは……ふむふむ……つまり……」

「お、おい……マユズミ?」

「分かったぞ!! 我も参戦しようではないかっ!!」


 な、何を言ってるんだ、こいつはぁっ!? 折角暴力的ではなく、話し合いで、柔和に収められると思っていたのに……。


「き、貴様っ、絶対神様を呼び捨てにしたな!? 何の権限があってそんな事を!! って、絶対神様? 何故そこまで狼狽えて……って、もしやあいつは相当の強さを誇るのですか!? 成る程……それだから先程まで抱えていたのは、決死の戦いをした後だったからですね!? ぜ、絶対神様は必ず御守りします!!」


 何か勘違いさせてるが、良いだろう……あのまま俺があいつに近づき、上手く一撃を当てれば何とかなるのか? だが、ここまで来て全て水の泡にするのだけは御免だ。だから……。


「諸君っ! 刮目せよっ!! 我が強大なる力を!!」


 しかし遅かった……マユズミは両手を広げ、風と共にゆっくり空中へと……って、へ? 嘘だろ、どうなってんだ!? マユズミが浮いている!? 


「吹き曝せ!! 暴風よ!!」


 マユズミが空中でそう叫んだ瞬間、風は目に見える様な空気の塊となり、そのままクロノスの方向へ……。


「ふんっ、このような風如き、何の心配も御無用です!! 絶対神様はそこで——」


 猿も木から落ちると言う……誰にだって失敗はあるんだよ? と言いたくなるかのように、隣のクロノスは校庭の土を抉りながら、吹っ飛び、彼方と同じ末路となった。


 



 体育祭より分かった。中二病とは、予想外であり規格外の存在である。

緋依ちゃんが可哀想。




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