表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪女の娘の20億分の1の1日  作者: サラブレッド三世
6/9

第六撃 ドロップキックはいかが?

明けましておめでとうございます。

 ―――――――――――――――――――――――――


 昨日、○○県○○市にて巫女姿に白狐の面を被った女性と道着を着たゾンビの風貌の男性が路駐で戦闘を始めるという事件がありました。二人の動きは常人を遥かに超えており、女性は電柱を破壊する行為にいたったため、近くでは今も停電が続いているとのことです。



 あ、今流れている映像が現在の事件現場です。本当に電柱がへし折れてますね。



 尚、一通りの戦闘が終わると女性は近くにいた若い女性が担いで逃走し、男性は光りに包まれると消えたという目撃証言があがっています。警察はこの三人が何か知っているとみて捜査している様です。



 怖いですな。本当にその二人は人間なんですか?



 はい、今回は格闘技や人体の限界、宇宙人について研究されている専門家たちをお招きしています。その方々と突如現れた謎の二人について論議していきたいと思います。まずは○○大学……


 ―――――――――――――――――――――――――



「人間じゃないんですけどね。」

 今日は朝からこのニュースで持ちきりだ。まあ、あの様なことがあったら仕方ないのかもしれない。


 今、俺はコユキのラーメン屋の二階の休憩室で花子とテレビを見ていた。なぜかって?暇だから!

 下ではガヤガヤ人の行き交う音がする。今日も盛況の様だね。しかし、あんなにボロボロだったのに一晩寝て復活とは妖怪というのは回復力すごいな。


「そう言えば、あの時お姉さんが憑依してたギャルはどうしたんですかね?」


「にゃんでも安全っぽいところに捨ててきたらしいにゃ」

 と畳で丸くなる花子さん。

「雑ですね…」

 捨ててって、いいのかそれ!?

 ……まあ、いいのか。お姉さんだし…




「暇ですね。幽霊ってみんなどうやって時間潰してるんですか?知ってます?」


 朝からずっと二人でいるせいか、花子さんとは普通に話せるまでの仲になっていた。周りがお姉さんみたいな気を使う人ばかりではたまったものではない。


「あたしはそこまで幽霊事情には詳しくないにゃ。まあ、大抵の幽霊は未練があって現世に止まってるから、それを達成するのに忙しいじゃにゃいかにゃ。」


「そうですか。本当に俺なんで幽霊やってるんだか…」

 俺の未練未だに分からず。




「ただいま♪」

「!?」

 天井から現れるお姉さん。どっから出てくるだよ!?ビビるわ!!………もちろん口には出せないけど。


「どっから出てくるにゃ?びっくりしたにゃ。」

 あ、以外と花子さんは正常な側の人かもしれない。なんかすごい安心した。

「ごめんね~。ちょっと宇宙から地球見下ろしてきたの。何度見ても綺麗よね♪♪」


 ………聞き間違いですよね?宇宙って…


「お姉さんってそんな飛べるにゃか!?」

 花子さんもびっくり。

「そうよ、時々行くの♪」

「そもそもなんで飛べるんですか?」

 恐る恐る質問してみる。この人話すのは一言一言に注意がいる。

「僕ちゃんも飛んでるじゃない♪でも正確には浮かんでるかな♪」

「残念ながら心の翼はあまり持ち合わしてないですよ。」


「つまりはね♪……」

 ボケたつもりが完全に無視。泣いていいですか?


「僕ちゃんはなんで扉とか横にはすり抜けられるのに、縦にはすり抜けないか分かる?なんでもすり抜けるなら二階には上がれないはずよね♪」


 そう言われて見れば確かにその通りだ。


「私達幽霊は結局のところ魂でしかないの。前に言ったかもだけど、全てはイメージで決まるの。人に触れたりできないこともあるけど全てはイメージよ♪大事なことだから二回いったわ♪」


 …幽霊って、おれが思っている以上に可能性があるのかもしれない。久しぶりにワクワクしてきた。空飛ぶなんて童心を揺さぶられるじゃないか。


「俺も飛べますか?」

「できないことはないだろうけど、私は500年かかったらわよ♪」

 ソッコー夢は潰れた。お姉さんでそんなかかるなら俺はどれだけかかるだか。

「その理屈で行くにゃら、地面にも自由に潜れるにゃ?」

「出来るわ♪下は特に面白くはないけどね。」

 へぇ、そんなことも出来るのか。地下かぁ。

「潜ってたら地底人と会えたりして。」

 まあ、いないだろうけど。

「なんで知って…」

 初めて見たよ。ひきつったお姉さんの顔。

「え、いるんですか?」

「そんなのいるわけないでしょ♪」

 一瞬で元の表情に戻っていた。怪しい…

「お姉さん、本当のところどうにゃ?」

 ネコも興味津々。


 コホン、お姉さんは満面の笑みを浮かべた。

「世の中には知らない方がいいこともあるのよ♪」

 怖い…真実を聞くのもだが、今のお姉さんの笑みが本気で怖い。どうやったらそんな顔が出来るのか不思議なくらいだ。

「ちょっと出かけてくるわ♪」

 そう言うとまた、天井に消えていった。


 残された花子さんと俺は暫く呆然とした後頷きあった。

 今のは聞かなかったことにしよう。







 その後俺は店を出て公園へと向かった。特に理由もないけど、何となく気晴らしだ。それにあのかくれんぼをした子に会える様な気がした。

 公園に着く頃には辺りは暗くなり始めていた。そして誰もいない。

「いないか。」

「だれがぁ?」

「この前かくれんぼした子が……え?」

 そこにはあの赤い着物を着た少女がいた。

「昨日は急にいなくなったからびっくりしたよ。どこにいたの?」

「ひみちゅ~」ニカッ

 笑顔が堪らなく眩しい。同じ笑みなのにどこぞのお姉さんと違って恐怖のきの字もない。癒される。呂律がいまいち回ってないところと合わせると、もう無敵である。思わず頭を撫でてしまった。少女は嫌そうな顔ひとつせず、またニカッと笑った。

「今日も遊ぶ?」

「あそびゅ~」

 俺達は再びかくれんぼをした。もちろん俺がずっと鬼である。暇過ぎたせいか何やっても楽しい。


 段々と見付けるとに時間がかかるようになってきた。理由は明白だ。暗い。曇っていることもあり月明かりがない。街頭がチカチカしてるくらいだ。

 残念なことに幽霊といっても夜目は効かない。お姉さんなら効くかもしれないけど…

「あ、発見。」

 草むらから頭がチラチラ見えた。そぉっと近づいて

「見つけた!」

 頭をなでなで……

 目が会う。体操座りのパジャマ姿の女の子。人違いでした。

「私の頭撫でたのね…」

 すごい辛そうな顔をされた。

「ごめん。君ぐらいの子とかくれんぼしてたら間違え「あなたもそうなんだ。」

 なにが?パジャマっ子は立ち上がる。

「そうやって人を見下すんだ!!」

 なんかヤバイ気がする。

「なんで死んでまでいじめるの!!」

 明らかに声が高ぶってる。涙が止めどなく流れる。

 俺は逃げた。取り敢えずその場にいたら危険な気がした。無我夢中で走った。

「俺の会う幽霊はなんであんなんばっか…」

 あれ?パジャマっ子がなぜか目の前に立っていた。いつの間に?そもそもどうやって?

「あなたも皆と一緒何でしょ?」

 寒気がした。この感覚は昨日感じたばかりだからはっきりわかった。

「壊れればいいよ!!」


 ブゴゴゴゴ


「……」

 俺は呆然としてしまった。やっぱり変異体だったんだ。パジャマっ子の肉体は膨れ上がり、2mほどガチムチボディとなった。肩幅など1mはあるだろう。そして顔だけ幼い少女のまま。バランス悪くないか?なぜかパジャマはぴちぴちになりつつも有り得ないくらい伸びてるし。どっかの戦闘服かよ!?

 結論。気持ち悪い。


 再び今度は逆方向に走る。

 ドガドガドガドガドガ

 追いかけてきた。振り向くと逃げた距離は一瞬で詰められてしまった。



 ハッキリ言って逃げ切れない。諦めよう。


 俺は立ち止まり振り返った。ガチムチパジャマっ子も立ち止まった。その距離わずか5m。

「殺るなら殺れよ。」

 未練もないのにここにいても仕方ないしね。

「うん、壊してあげる。」



「だめぇ!」

「え?」

 相変わらす突然に現れた赤い着物の女の子。俺達の間に入り、手をいっぱいに広げている。どうやら俺を守ろうとしているみたいだ。やっぱり癒し系だわ。じゃなくて

「逃げなよ。君だけでも助かるんだ。」

 少女は首を横に振る。

「ややよ。かくれんぼの途中だもん。」

 いや、かくれんぼ関係ないだろ。よく分からない返答も可愛いな。ではなくて

「危険だから。」

「やっ。」

 首をブンブン振る。和む。違くて

「あれは普通の幽霊じゃないんだ。はや……」

 途中で言うのを止めた。この子の目を見ると意志が揺らぎそうもない。強い子だな。

 じゃあ、どうやったら二人ともあれから逃げれるだろ?ベストはコユキが駆け付け退治してくれる形だ。でもまだ来る気配はない。

 まあ、理屈は分からないけどお姉さんや花子さんは変異体が出たら分かるみたいだから、すぐ来てくれるはず。なら俺がやるべきはひとつ。

「時間稼ぎか…」

 やれるのか?いや、やるんだ。目の前に一生懸命立ちはだかる少女を守るためにも。はっきり言って格闘センスはない。少し空手を習ってたけど本気ではしていなかった。

 お姉さん曰く俺には妖力があるらしい。それさえ使えれば時間稼ぎぐらいなら出来るかもしれない。


「俺が戦ってみるから下がってて。」

「うんっ。」ニカッ


 こうなりゃ自棄だ。

 俺は有るかどうかも分からない目力を信じ、睨み付けた。


「………………あれ?」

 変異体はぴくりとも動かない。なんか分からないけどこれって…

「チャーンス!!

 どうにでもなれ!

 先手必勝!!」


 やるなら迷いはない。しかしどんな技が有効なのか分からない。ならば、あれしかない。

 うりぁぁああぁあ!!!


【ドロップキック】


 ヒーローの技は蹴り技って決まってるんだよ。

 そして俺の足が変異体に届く瞬間のことだ。


 カッ


 光ったと思ったら既に変異体はいなかった。俺は尻から地面にダイブ。痛くはないけど、別のとこが痛い。俺の決意の意味は…?


「お兄さん、つおぉい。」

 少女が嬉しそうに俺の回りで飛び回っている。


 なにがどうなってるんだ?



「僕ちゃんそんなとこに座ってどしたの?」

 そこにはお姉さんと巫女コスのコユキ。

「……………………変異体は?………」

「なんと言うか……!?」

 横にいたはずの少女は既に消えていた。




 その後そのままを話したんだけどいまいち信じてもらえなかった。

 本日一番のダメージは

「僕ちゃん、妄想の女の子と現実を一緒にしたらだめだからね♪」

「病んでるにゃら、相談乗るにゃ。」

 真面目な顔で言われました。妄想ではない……はず…




【ドロップキック】

言わずと知れた必殺キック。どこかしこで割と目にする。東山東がしたところで、たかが知れている威力。



東山東ひがしやまあずま

「俺」の名前。誰も呼んでくれない。



本年もよろしくです~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ