第3撃 必殺のネコパンチ ※取扱注意
主役はネコ。よろしくですー
「あんた反省してるにゃ~?」
「はい、もちろんです。」
俺は道路で正座して平謝りに謝っていた。ネコに……
―――30分前―――
「暇だ~」
とにかく暇だ。暇で仕方ない。やることがない!
お姉さんに会ってからかれこれ1週間。他の幽霊にはいまだに会えない。長時間物に触れれないからゲームもできなければ本も読めない。
そんなわけで暇だ。
「あいつら何して時間を過ごしてるんだか…」
俺は今は散歩している。最初は楽しかった。想像してみてくれ。疲れないから気がついたら72時間は散歩している。3日間だ。この街を既に何周回ったことだろう?もはやどんな裏道も手に取る様に分かる。飽きた。しかし他にやることがない。
ならば、男としてやることはただひとつ!!
俺はだんだんそれに近づくにつれ駆け足となる。さぁ着いた。銭湯へ。ここは近くに大学もあり、人通りが多い。利用客も多いはずだ。一歩一歩噛みしめながら俺は中へ入る。もちろん赤色の方の暖簾をくぐる。暖簾に手を添えるがすり抜けてしまう。まさに、「暖簾の腕押し」だ。物理的な意味で。
そんなしょうもないこと考える余裕さえある。
今なら行ける、見れる。
「いざ行かん、夢の園へ!!」
脱衣室を抜けスライドドアをすり抜けた先には………
まな板が2枚あった。
「キャーーーーーー って誰がまな板にゃ!!!!」
「ごふっ!?」
1枚のまな板の膝は真っ直ぐ俺のみぞおちを貫く。
ああ、最近こればっか……だ………な…
ん~どこだここ?
「気がついたにゃ?」
そこはさっきまでいた銭湯から少し離れた所にある二車線のどこにでもある道端だった。
そして目の前には3つの尾をしたネコがいる。
「あんた反省してるにゃ~?」
「はい、もちろんです。」
取り敢えず土下座をした。このネコは確かお姉さんの知り合いのはずだ。下手に出たのがいいだろう。というか普通にネコとしゃべってる。俺も大分、幽霊に順応してきた様だ。
「まあ、風呂で見たことは今回は大目に見てやるにゃ。」
ネコは勝手にひとりで納得したみたいだ。事なきを得た。
「風呂?まな板のことです?」
このネコとあの子達はどういう関係なんだろうか?おれに触れたし幽霊かな。気絶させられたせいなのか、顔が思い出せない。
さて、許してもらえたし(なんでネコがキレてたんだ?)、土下座をやめて立ち上がろとすると、ぼそっとネコが言った。
「あれはあたしにゃ…」
「……」
やばいかもしれない。いや、やばい。
【ネコパンチ】
「えっ、ギャーーー!!!!!!」
一瞬のことでバランスを崩したときはなにが起きたのかわからなかった。そう、ネコのパンチを喰らった右足は絶対曲がらない方に曲がっていた。この1週間で何度目の激痛だろうか。
意識がまた遠退いていく………
「……」
気がつくと見知らぬ家の畳で寝ていた。しかしこのシュチュエーションは何度目だろうか。
「あ、気がついたにゃ?」
デジャビュだ。
ただ、今回はネコの横にお姉さんがいた。
「僕ちゃん久し振りね♪」
お姉さんはニヤニヤしながら見てくる。どうやら笑いを堪えている様だ。我慢できてないけど。
「花子から聞いたわ。花子とコユキちゃんのお風呂覗いたんだってね。」
ネコ、改め花子は殺意を込めて睨んでくる。
正直のとこ恐い…
「僕ちゃん、そんな趣味だったんだ…ぷっ」
ついに吹き出したよこの人は。それに断じてそんな趣味はない。
というか足が尋常なく痛い。見るのが恐いくらいだ。
あれネコパンチのレベルじゃなかったし…
笑ってるお姉さんは相当無理して真剣な顔になった。
ようやく痛がってるのに気がついてくれたか
「足、大丈夫?」
と聞いてきた。
「ものっそい痛いです。」
ちらと花子の方を見るとうつ向いてしまった。どうやら、お姉さんよりは良心なるものがあるらしい。
「気を付けなよ。意識飛んでたけど、それってイコール成仏だからね…」
「えっと…じゃあ、さっきまで俺って…」
「そ、若干透けてきてたのよ。早めに回復できてよかったね。」
おい、ネコ。何してくれてるんだよ!!
「そんなに現世に未練があるにゃ?」
あ、こいつ開き直りやがった。何もなかったのごとく清々しい顔をしている。
でも…俺の未練ってなんなんだ?
「それはさておき」
いや、さておくなよ。流石お姉さん、他人事である。
「花子は妖怪なんだから、もっと自覚持ちな。」
「にゃ~い。」
「一般幽霊との力の差を考えないと。」
………ん?………妖怪?
「あれ、言ってなかったっけ?」
とお姉さん。
「あたしはネコマタにゃ。」
と花子。
え、てっきりネコの幽霊かと……
―――――――――――――――――――――――――
あたしは元々、普通のネコだったにゃ。
でも、そんなある日事件が起きるにゃ。
そう、恋をしたにゃ……7歳の人間の男の子に…
――――――――――――――――――――――――
「で、気がついたらネコマタになったにゃ。」
「はしょり過ぎじゃね!?」
いやいや、つっこみたくなるだろ。わけわかんないし。
何百年も生きたとかじゃないのかよ!?
「なんとなく妖力も使えるし、7歳くらいの人間の姿にもなれる様になったにゃ。」
テキトーだな…
ネコはどや顔をしているが。まあ、ひとつ言えるのはこいつが上から目線だと言うことだ。
立ち上がれず寝たままの俺にとっては言葉通り意味でもある。
「妖怪なんて実在したんですね。」
「それ、幽霊の僕ちゃんが言う?」
まあ、幽霊がいる時点でなんでもありなのかもしれない。
「妖怪は幽霊と違って実態があるの。妖力ってのを持っていて、色んな能力があるけど、よくあるのは姿を消したり出したりするのとかあるわ♪」
へぇ、ネコとはいえ、こんな強かった訳だ。逆らえない相手がどんどん増える一方だな。
実態あるから風呂入ってたのか。あれ?じゃあ…
「あの巫女コ……コユキさんも幽霊じゃないんですか?」
「そうだにゃ。」
「でも、あの子は特別なの…」
お姉さんが初めて暗い顔を見せた。
そうすると、そのままポツリポツリと語り出した。彼女の、雪女の娘の話を……
いよいよコユキの話。
ようやくその全貌が明らかに!!




