Case.01 (3) 思い込みの怖さ
「では、前回、人を好きになるプロセスとして、「思い込み」や「勘違い」について話をしたが、この「勘違い」と「思い込み」には大きな違いがあるのはわかるか?」
「あの、メリル様、それは凄く似ているような気がするのですが、一体何が違うというのでしょうか?
「まず、「勘違い」というのは、「間違い」である可能性もある」
「その間違いというのは、どういうことなのでしょうか?」
「そうだな。これをわかりやすく言えば。いわゆる「一目惚れ」がそれに当たる。但し、その「一目惚れ」のときの心理と、「勘違い」はまた違う」
「そう言われると、ますますわからなくなってしまいます」
「しょうがないな、ロメル・バシェリ。それならもう少し詳しく説明してやろう」
「よろしくお願いします」
「それはだな。それが本当に「間違い」であったと気がついたときには、そこで踏み止まったり、引き返したりすることもできる」
「確かに、そう言われればそうなりますね」
「では、対する「思い込み」というのは、まさに「自らの意思」に寄るものだ。
これが初期段階のときで、例えば「悩んだり」「誰かに相談する」という場合には、そこに「考える」ということが加わることはわかるか?」
「はい。その誰かに「相談して、その恋の悩みが解決する人」もいるのはわかります」
「そうだ。特に女であれば、そのことを数時間に渡り話すことで、その悩みが解決することもあるであろう」
「そういう話は、よくききますね」
「その中で、「思い込みが怖くなる」というのは、誰かに相談して、話していく中で、その相談相手に対して、反発を感じたときだ。そうなってしまうと、今度は「この相談相手は、なにもわかっていない」というような気持ちが生まれる場合がある。そこから「思い込みが、より強く固まっていく」のだ」
「なるほど。それはなんとなく理解できます」
「ここで、敢えて「思い込み」そのものが「悪いケース」として説明するのは、これが好きになった相手にも何の問題もなく、誰の目から見ても、単なる「惚気」であった場合には、むしろそれを妬まれることという笑い話で済むからだ」
「あぁーー。ありますねぇーー、そんな惚気話」
「しかし、問題なのは「好きになった相手が、決して善良な人」ではなかったときだ」
「メリル様。その善良ではないとはどういうことですか?」
「では、何故このようなことを言うのかといえば、世の中には「結婚詐欺師」や「恋愛詐欺師」というものが、少なからず存在しているからだ。これが一昔前によく聞かれた、「悪いオトコに何度も引っ掛かる」に繋がっていくのだ」
「確かに、それは善良ではありませんね」
「これを客観的に冷静に見れれば、それが一番良いのだが、残念ながら、人は「嫌いな理由」や「嫌いになる理由」または「嫌いになった理由」が最初から明確に存在するのに対して、「好きな理由」や「好きになる理由」または「好きになった理由」は、ほぼすべてが後付けのものだ」
「あぁーー。そう言われてみればそうですねぇ」
「それなので、「相手の好きなところ」を聞かれても、上手く答えられない人がおおいのは、そのためだ。逆に好きな相手であっても、その人の「嫌いなところ」はすぐに答えられる」
「おぉーー。これは物凄く納得できます」
「これは人の持つ「防衛本能的なもの」だ」
「なるほど。DNAに刻まれているというやつですね」
「そうだ。ここで「悪い思い込みの場合」が厄介なのは、その「防衛本能」に対して、強く上書きされていくところなのだ。このことについても説明してやる」




