Case.01 (2) 幼い恋心
この回から、会話劇風にしてみました。
「お前たちは、初恋というのが、男と女のどちらが早いのかを考えたことはあるか?」
「いえ。少なくとも私は考えたことはありませぬ」
「だろうな。これは心理学だけでなく、脳科学にも関係していることだ」
「それでは、男と女のどちらの初恋がはやいのですか?」
「そうだな。これは心理学や脳の発達の上でも、女の方が早い傾向にある」
「そうなのですね」
「日本という国には、「一姫二太郎」ということわざのようなものがある。これは一人目に女を生み、二人目に男を産んだ方が育てやすいというところから来ている」
「なるほど。確かに小さい子供を見てみると、女の子の方の心の成長が早いような気がします」
「そうだ。その幼きときから、男よりも女の方が精神年齢が高いからこそ、その一姫二太郎は成立しているのだ」
「そう言われると、確かに納得できます」
「では、その幼きときに女が男を好きになるのには、どのようなプロセスがあるのかわかるか?」
「はて? よく聞くのは、足の速い男の子でしょうか」
「そうだ。まず一つ上げるとするならば、それは足の速い男は女にモテるということだ」
「なるほどー。それでメリル・アーチャー様も、その足の速い男の子を好きになったのですか?」
「うっ、うるさい!? それは今は関係なかろう!?」
「あぁ~。そこは図星なんですねぇーー」
「うっ、うるさい!? 黙れ!」
「いつも上から目線のメリル様にも、そんな可愛らしいところがあるんですねぇーー」
「うるさい! 黙れ、ロメル・バシェリ。それならもうこの話はやめるぞ!」
「申し訳ございません、メリル様。話を続けてください
「で、では、話を続ける。このことはまさに肉体的に優秀な遺伝子を見分けようとする女のDNAに刻まれているものだといえる」
「なるほど。ここにDNAが出てくるわけですね」
「そうだ。このことは、この幼き頃から高校生ぐらいまでは、基本的に続く。スポーツ選手が、女にモテるのもそのためだ」
「なるほど。確かに言われてみればそうですね。それでは、それ以外にはどんなことがあるのでしょうか?」
「そうだな。まず、二つ目にあるのは、「母性」だ。「母性本能をくすぐられる」という言葉があるように、女には幼い頃より「母性」が存在する。その「母性」そのものが、「好き」に変わっていくプロセスがあるのだ」
「なるほどなるほどぉーー。そう言われると、妙に納得しますな」
「そして、大きな三つ目にあるのは、相手の男からの「好きアピール」だ。人は生理的に拒絶する相手出ない限り、男でも女でも、他人に好意を示されて悪い気分になる人はいない」
「確かに! それは的を射ています!」
「その他人からの好意を嬉しく感じたとき、それが自分も「好き」という気持ちに変わっていくのだ。但し、幼いときは、単に「好き」ということだけが先行するゆえに、当然だかが恋愛という感覚にはならない」
「そうですか? そう見えなくもない子たちもいるような気もしますが」
「その幼いときに、そこに恋愛的な言葉が出てきているときには、それは誰かの大人の真似をしているだけだ。お飯事がそうであろう」
「あぁーー。なるほどぉー」
「ここで心理学的な話をあらためてすると、女は物心ついたころから、基本となる性格はしっかりと表れている。ここに、それからのいろんな経験が加味されていくわけだ」
「へぇーー。そういうことなんですねぇーー」
「それでは、そのそれぞれの経験を追って説明していくぞ」
「よろしくお願いします」
「まず、経験というのは、直接的なものというわけではなく、どれだけ人の行動を見てきたかということになる。そうなると、まわりにいた人数が少ないよりも、多い方が経験値としては高くなるのだが、ここに落とし穴がある」
「落とし穴? それはなんなのですか?」
「それはだな。経験しなくても良かった悪い例を見てしまい、それに惹かれてしまったり、直接経験してしまった場合だ」
「あぁーー。そのことが、一番最初に話していた、「悪いオトコに何度も引っ掛かる」に繋がっていくのですねぇーー」
「そうだ。わかっているではないか、ロメル・バシェリ」
「では、それを防ぐことはできないのでしょうか?」
「それは残念ながら、自分たった一人では、それを防ぐことはできないかと思う。一番の防波堤となりうるは、まわりにいる同性からの「あんなオトコはやめておきなよ」などの助言だ。これが恋心が初期の段階では、十分に効果がある」
「しかし、それがまったく効果がない場合がありますよね?」
「そうだ。それは自身の感情が、ほとんど固まってしまっている場合だ。心理学では、「好き」という感情は、最初はただの「思い込み」や「勘違い」から来ているとされている」
「そんな単純なことで、そうなるのですか?」
「そうだ。その「思い込み」が固まってしまっている場合、いわゆる「悲劇のヒロイン」となって、本人が暴走してしまうことがあるのだ」
「その暴走という言葉は穏やかではないですな」
「それでは、その「思い込み」の怖さについて、次は話をしてやろう」




