Sequence‐2 ~双子の事情 ②~
「良かったわね、凛音…」
「何のことだよ?」
学院東門前のバス停で、律専大学中央駅前行きのコミュニティーバスを待つ列に、並ぶふたり。
「これで、学院の有名人確定よww」
深蘭は凛音に毒吐く。
「はぁ? 誰のせいだと思ってるんだよ…まったく」
「自業自得でしょ?」
このふたり、最近…特に仲がよろしくない。
元々“どちらが兄・姉問題”がくすぶり続けていることに加えて、中学卒業と同時に凛音が音楽アーティストとして芸能界デビューを果たしたことで、今度は“芸能界先輩・後輩問題”まで勃発してしまい、日に日に関係が冷え込んでいる。
「……」
それ以上、会話は続かず…ふたりはなんとなく黙り込む。
珍しく、3分遅れでバスが到着した。
・
動力を駆動するモーター音と路面から伝わるタイヤ音が、コミュニティーバスの車内に響く。
下校のピークをやや過ぎていたこともあって、双子は揃って二人掛けのシートに座ることが出来ていた。
「…どういうことだよ」
「なによ、急に…」
当たり前のように並んで座っている美しき双子が…静かに小声で“舌戦”を再スタートさせているとは…誰にも分かるまい。
「なんで、黙ってたんだ?」
「なんのこと?」
「なんで・黙って・持ち出したんだ?」
威勢の良かった深蘭が…急に視線を落とす。
「……」
「約束破って持ち出すなんて…深蘭らしく…」
「仕方がなかったのよ!」
俯いたまま…絞り出された言葉。
彼女の表情は髪に隠れていたが、発した声のトーンは…凛音に事の深刻さを感じさせるに十分だった。
今度は優しく聞き返す凛音。
「とにかく…どういうことか、説明しろよ」
深蘭は、悲痛の表情のまま、重い口を開いた。




