Sequence‐6 ~コードネーム:99-S ➃~
「えーっと、それはですね…」
矢継ぎ早に見当違いの質問攻めに合い、つい真面目に答えてしまう吏玖哉。
「…妹の初節句の雛祭りの時、家族みんなで妹の晴れ着をいろいろ考えていたら、結局ゴシックロリータが一番かわいいってなって…」
「桃の節句で…ゴスロリ?」
「この時点で、なにかおかしい…」
「それ以来…毎年家族で誕生日にプレゼントするようになって…」
「うわ、ロリコンのシスコン!」
「ち、違いますよ!」
二人の思わぬ反応に…吏玖哉はタジタジだ。
「やかましい! それはどうでもいいだろう」
シルビアは、個人的嗜好を暴こうとする女子二人を一喝しながら…
「よし! では、真実がどうなのか…確かめてみよう!」
…白衣のポケットから物々しく厳ついデザインの眼鏡を取り出した。
「…?(×2)」
「教授…それは?」
いきなり出てきた怪しい発明品に、目を見張る三人。
「これぞ、私が秘密裏に開発した秘密兵器、その名も“次元波長偏光眼鏡”…Dimensional wavelength polarized glassesだ」
未来から来たネコ型ロボットアニメのように、眼鏡を天に翳すシルビア。
「これで、あらゆる“九十九神”を見ることができる!」
実験前から、性能を断言してしまうほどの自信作だ。
「……」
もはや“怪しい”という疑いの感情すらも忘れて、呆然とする佑梨。
しかし…
《僕の見ている世界を、他の人と共有できるかも知れない…》
《告くんが見えている“九十九神”を、わたしも観てみたい!》
…それぞれ違う理由ではあるが、シルビアの発明眼鏡に…少なからず期待を寄せている吏玖哉と玲。
「では、いくぞ!」
シルビアは、満を持して次元波長偏光眼鏡を掛け、蒔絵箱の中を…凝視した。
「……」
固唾を飲んで、見守る三人…。
淡い青色系のフリルとレースが重なったドレス…
揺れるプラチナブロンドの髪…透き通った白い肌…
フリルレースのヘッドドレスを付けた、3頭身の愛らしい姿…
「ツゲリクヤ…君の言う通りだ」
シルビアは、この上なく満足気に大きく頷く。
「それじゃあ!」
玲が、期待に満ちた声をあげる。
次元波長偏光眼鏡から見る蒔絵箱の中には…吏玖哉が言った通りの可憐なゴスロリ少女の姿が…確かに目視できていた。
「完全なる成功だな!」
シルビアの勝利宣言に、歓喜に沸く一同。
そんな中…蒔絵箱の中で寝ているその子に吏玖哉がそっと呟く。
「よかったね、見てもらえて…」
すると…
そのゴシックロリータ少女の青い瞳が、ゆっくりと開かれた…
その刹那!
「わふ!わふわふ!」
「え? また?!」
突然吠える謙に、ビックリする一同。
鳴き声とほぼ同時に、謙が背負っている事象解析PCから…またもや、けたたましい警告音が轟いた!




