Sequence‐5 ~寄託部“強制”入部? ②~
寄託部が創部されたのは3年前…
吏玖哉たちと入れ違いで卒業していった恵凪咲が、高等学院1年生の時に、彼女自身の発案によって…
吾砂颯一郎
釉未和人
真莉ゆう子
…の計四人のメンバーで、寄託部は誕生した。
彼女の出自は、入学当初から特異だった…。
入学条件が厳しく偏差値もべらぼうに高い、“律専教育特区の後宮”と呼ばれている“義律女子学院”。
大正時代に創立された“義律専心女学院”の系譜を受け継ぐ女子専門校で、伝統と格式において…自由な校風を旨とする共学の中等・高等学院とは一線を画する…文字通りの難関名門校である。
そんな中高一貫の6年制である義女院から、当時学内TOPの成績であった彼女が、在学4年目にして異例の転入を断行したのである。
…もはや大事件といっていい。
この特殊な事態がキッカケとなり、律専高・生徒会と義女院・学業執行院(いわゆる生徒会)との関係が険悪になり…それが発端で寄託部の創部に至ったらしい。
一見、関係なさそうな経緯だが…今となっては、詳しい真相は藪の中だ。
そんな中、その経緯に関連した、疑惑のキーマンが一人…
義律女子学院・学業執行院の学業執行副議長(いわゆる副会長)であった毬乃宮叶羽だ。
叶羽が凪咲を義女院に取り戻すために無理難題を押し付けたとか…
叶羽が凪咲を拉致してイギリスに連れ去ったとか…
叶羽が凪咲に付きまとっていたストーカーだったとか…
“悪役令嬢か!”と、叫びたくなる程の…常軌を逸した、とんでもない噂まで存在しているらしい…
とはいえ、あくまでも、噂は噂である。
噂に…際限はない。
兎にも角にも…学業執行院から生徒会を介し、律専高等学院編入在籍の条件として凪咲に要求してきたのが…誰もが納得する、部活動の新設であった。
学業執行院の要求に応えるべく、どんな部活を立ち上げようか迷っていた矢先…使い古され、リサイクルするにも困難な剣道の防具を、たまたま目にした凪咲は、ある思いを抱く。
《不要になった物や譲渡したい物の…次の行く末を繋げられたなら…》
それがきっかけとなり、寄託部の骨子が出来上がっていったという。
ただし、何故だか部員は前述の仲間内四人だけで…しかも、自分たちが卒業するまでの時限付きという内部規定を設けた上で、“寄託部”を立ち上げたのだ。
・
「…物の第二の人生か。 …素敵ですね」
物の因果が見える吏玖哉にとって、それは身近で興味深いことだった。
だが、せっかく創部した割には、規定が妙に限定的過ぎる気がする。
「でも…どうして部員は四人だけなんですか?」
マンパワーは多い方が、部活としては有利なはずだが…?
「それはね…凪咲さんの“俄かファン”がやたらと多かったから。 入部希望者を募ろうものなら…我も我もと押し寄せて、ファンクラブになり兼ねないでしょ」
さも当然のような佑梨の話ぶりに、これほどのカリスマ性を持っている先輩に、是非会ってみたかった…と、改めて“恵凪咲”という人物に興味が湧く吏玖哉。
加えて、毬乃宮叶羽のストーカー説って、まんざらでもないかも?…と、つい勝手な思いを巡らせてしまう。
「まぁ、身内で固めた…って感じかな」
「…じゃあ、時限付きなのは…」
そう問いかけた瞬間…佑梨を取り巻くオーラが一変する。
「無理…だからよ」
「え? なにがですか」
吏玖哉の“なにが”という言葉をキッカケに…突如、サクマリ火山が再噴火した!
「あんな終わりなき作業…凪咲・颯一郎ペアが指揮してくれなかったら、できる訳がないのよー!」




