第7話 学校
この物語は、一人の少年が「復讐」と「大切な人との絆」の間で揺れ動きながら成長していく物語です。
復讐は人を強くすることもあれば、弱くしてしまうこともあります。
主人公・イアがどのような選択をし、どんな未来へ進んでいくのか。
その旅路を、最後まで見届けていただけたら嬉しいです。
翌朝、僕はリビングへ向かった。
昨日あんなに泣いてしまったせいで、なんだか恥ずかしくて、お義父さんとお義母さんの顔を見ることができなかった。
「朝ごはんできたわよ、イア。」
お義母さんが優しく声をかけてくれる。
「うん。」
恥ずかしさから、短い返事しかできなかった。
そんな僕を見て、お義母さんはくすっと笑う。
「うふふ。あなたもちゃんと子どもなのね。」
その言葉に、僕は少し照れくさくなった。
そこへ、お義父さんがリビングへやって来た。
「イア、今日は学校だっただろ? 早く行ったほうがいいんじゃないか?」
その一言で、僕ははっとする。
「……あ。」
時計を見ると、思っていたより時間が過ぎていた。
僕は急いで朝ごはんを食べ、身支度を済ませると、慌てて家を飛び出した。
僕はお義父さんの依頼をこなしてはいるが、ごく普通の中学生でもある。
学校では特に変わったことはない。
最初は、水色の髪や黄金色の瞳、それに「イア」という珍しい名前のせいで目立ち、いろいろと言われることもあった。
しかし今では、ただのクラスメイトの一人として過ごしている。
成績も運動神経も、わざと普通に見えるよう調整している。
昼休み。
ぼんやりと窓の外を眺めていると、一人のクラスメイトが話しかけてきた。
「イア、またボーッとしてるのか?」
そのクラスメイトの名前は、一ノ瀬 樹。
茶髪で少しチャラそうな見た目だが、僕にとっては唯一の友人だった。
「ああ、樹か。ただボーッとしてただけだよ。」
「お前なぁ。いつもボーッとしてるけど、何がそんなに楽しいんだよ。」
「意外と楽しいぞ。樹もやってみたら?」
樹は呆れたようにため息をついた。
「お前が楽しいなら、それでいいけどさ。」
僕たちは顔を見合わせ、小さく笑った。
そんな何気ない時間が、僕は嫌いじゃなかった。
放課後になると、樹がまた声をかけてきた。
「今日、一緒に帰ろうぜ、イア。」
「ごめん。今日は用事があるから、一人で帰るよ。」
「そっか。なら仕方ないな。明日は絶対一緒に帰ろうぜ。」
「うん。また明日。」
そう言って、僕たちは別れた。
僕の用事――それは刑務所へ向かうことだった。
先日捕らえた黒田雅人の尋問が行われるため、その場に立ち会う必要があった。
学校を出て、一人で帰路を歩く。
(俺は汚れ仕事をしている。それを樹に隠している……。それなのに、あいつは俺なんかにはもったいないくらい、いいやつだ。)
そんなことを考えながら歩いていると、不意に一人の男と肩がぶつかった。
男は小柄な体格で、帽子を深くかぶっている。
顔はほとんど見えなかった。
「悪い、ぶつかった。」
低い声で男が言う。
「こちらこそ、すみません。」
僕は軽く頭を下げ、そのまま歩き出した。
(……なんだ、あの人。)
男はどこか妙な雰囲気をまとっていた。
敵意も殺気も感じなかった。
それでも、なぜか胸騒ぎがする。
僕は一度だけ振り返った。
しかし、男の姿はすでに人混みの中へ消えていた。
(気のせい……か。)
そう自分に言い聞かせ、僕は再び歩き始める。
向かう先は――刑務所。
黒田雅人が待つ、その場所へ。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
イアという少年は、復讐だけを胸に生きてきました。しかし、多くの人と出会い、少しずつ心が変わり始めています。
この作品では、戦いや復讐だけではなく、「家族」「友情」「命の大切さ」も描いていきたいと思っています。
これから先、イアにはさらに過酷な運命が待ち受けています。それでも彼がどんな答えを見つけるのか、温かく見守っていただけると嬉しいです。
今後とも『これは、とある少年の復讐の物語である。』をよろしくお願いいたします。




