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白い死神は瑠璃色の夢を見る  作者: 空想物語


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第4話 VSドミニオンズ

第四章 前書き


人身売買組織ドミニオンズ。


神崎恒一から与えられた任務は、その組織を率いる黒田雅人の確保。


しかし、それは単なる犯罪者の逮捕ではない。


イアにとっては、イレイナを殺した政治家へ近づくための第一歩でもあった。


復讐心を胸に抱く白い死神は、今宵も闇へと足を踏み入れる。

工場跡地。


かつて多くの機械が動いていた場所だったのだろう。


だが今は違う。


壁は崩れ、窓ガラスは割れ、錆びた鉄骨だけが月明かりに照らされていた。


夜の静けさも相まって不気味な雰囲気を漂わせている。


ここに奴はいる。


人身売買組織ドミニオンズのリーダー――黒田雅人。


今回の任務は黒田の確保だ。


恒一さんからは何度も言われている。


「絶対に殺すな」


僕は首元の雫のネックレスに触れた。


「分かってるよ」


そう呟いて工場を見上げる。


入り口には二人の見張りが立っていた。


僕は物陰から飛び出した。


月明かりを反射して大鎌が閃く。


二人が異変に気付いた時には遅かった。


柄の部分で顎を打ち抜き、そのまま地面へ叩き伏せる。


気絶を確認してから中へ入った。


工場内には武装した兵士たちが待ち構えていた。


その数、およそ百名。


「侵入者だ!」


怒号が響く。


次の瞬間、一斉射撃が始まった。


銃弾が雨のように降り注ぐ。


僕はコンテナの陰へ飛び込み、それを回避した。


火花が散る。


鉄板に無数の穴が空いていく。


銃声が止んだ。


「出てこい!」


男の声が響く。


「逃げ場はないぞ!」


僕は静かにハンドガンを構えた。


黄金色の瞳が暗闇を見据える。


引き金を引く。


一発。


また一発。


確実に敵を無力化していく。


だが敵も馬鹿ではなかった。


こちらの位置を探り始める。


その時だった。


銃声が響く。


激痛が左肩を貫いた。


「っ……!」


僕は思わず顔を歪める。


血が流れ落ちる。


そして男の笑い声が聞こえた。


「お前、最近噂の白い死神だな?」


僕は姿を現した。


コンテナの陰からゆっくり歩き出る。


男は拳銃を構えながら笑っていた。


「名前を聞いておこうか」


「イア」


短く答える。


男は笑みを深めた。


「そうか。なら俺も名乗ろう」


男は胸を張る。


「俺の名前は黒田雅人だ」


その瞬間、全てが繋がった。


人身売買組織ドミニオンズ。


その頂点に立つ男。


目の前にいる男こそ黒田雅人本人だった。


空気が張り詰める。


先に動いたのは敵だった。


再び一斉射撃。


僕は駆ける。


飛ぶ。


避ける。


だが徐々に体へ傷が増えていく。


肩。


腕。


脇腹。


血が止まらない。


それでも足は止めない。


一人。


また一人。


敵を倒し続ける。


そして気付けば。


立っていたのは僕と黒田だけだった。


だが僕も満身創痍だった。


呼吸は荒い。


視界も霞む。


黒田は銃口を僕の額へ向けた。


「よくやったよ」


「だがここで終わりだ」


冷たい声だった。


普通ならそうだっただろう。


だが僕は笑った。


狂ったように。


楽しそうに。


「本当にそう思うのか?」


黒田の表情が変わる。


その瞬間。


僕は頭突きを叩き込んだ。


鈍い音が響く。


黒田が怯む。


その一瞬を逃さない。


拳を叩き込み、地面へ押し倒す。


そして黒い大鎌を首元へ突き付けた。


「終わりだったのは、お前の方だ」


黒田の顔から余裕が消える。


「なぜ笑っていられる……?」


僕は答えた。


「そんなの簡単だよ」


大鎌を押し付ける。


「楽しいからに決まってるだろ」


黒田の顔に初めて恐怖が浮かんだ。


僕は殺したかった。


今すぐ首を刎ねたかった。


だが脳裏に恒一さんの言葉がよぎる。


――殺すな。


数分にも感じる沈黙の後。


僕は大鎌を引いた。


「……生きたまま連れて行く」


黒田は苦笑した。


「俺を捕まえても意味はない」


「本当の闇はもっと深いぞ」


僕は笑った。


「なら、その闇ごと終わらせてやる」


黒田は背筋を震わせた。


目の前にいるのは正義の味方ではない。


かといって悪人でもない。


ただ復讐だけを求める存在。


――白い死神だった。

第四章 あとがき


第四章を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は白い死神ことイアと、ドミニオンズのリーダー黒田雅人との戦いを描きました。


黒田との戦いの中で、イアは改めて自分自身の危うさと向き合うことになります。


目の前には憎むべき犯罪者。


今すぐ殺したいという衝動。


しかし、神崎恒一との約束。


その狭間で揺れながらも、イアは黒田を生け捕りにすることを選びました。


ですが、この戦いで終わりではありません。


黒田が最後に残した言葉。


「本当の闇はもっと深い」


その言葉は、これから待ち受ける更なる陰謀を示しています。


人身売買組織の背後には何があるのか。


イレイナを殺した政治家との関係はあるのか。


そして白い死神は、その闇の先で何を見るのか。


次章では、黒田雅人が握る情報と新たな敵が姿を現します。


ぜひ次章も読んでいただけると嬉しいです。

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