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白い死神は瑠璃色の夢を見る  作者: 空想物語


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第2話 別れと出会いと誕生

イレイナの葬儀が行われた。


空はどこまでも灰色だった。


まるで世界そのものが彼女の死を悲しんでいるようだった。


葬儀が終わった後も、僕は約束の場所だった路地裏に座り続けていた。


もしかしたら、またイレイナが現れるんじゃないか。


そんなあり得ない期待を捨てられなかった。


何も食べなかった。


何も飲まなかった。


ただそこに座り続けた。


数日後、一組の男女が僕の前に現れた。


警察官だった。


「君、大丈夫か?」


男がそう尋ねる。


僕は顔も上げずに答えた。


「ほっといてくれ。」


少しだけ声が荒くなった。


警察なんて信用できなかった。


イレイナを殺した犯人を裁けなかった連中だ。


二人は何も言わず、その場を去っていった。


だが数時間後、再び戻ってきた。


手には温かい食べ物があった。


最初は警戒した。


毒でも入っているんじゃないかと疑った。


それでも数日何も食べていない体は限界だった。


食欲には逆らえなかった。


僕が食べ始めると、男は静かに言った。


「俺の名前は神崎恒一だ。」


神崎恒一は二十代前半ほどに見える黒髪短髪に黒い瞳をした男で、どこか優しそうな雰囲気を纏っていた。


続いて女性が優しく微笑む。


「私は神崎詩織。よろしくね。」


神崎詩織は二十歳くらいに見え、腰まで伸びた黒髪と柔らかな表情が印象的で、彼女もまた優しそうな雰囲気を持っていた。


それが僕と神崎夫婦との出会いだった。


神崎恒一は刑事。


神崎詩織は警察官。


しかし二人はただの警察官ではなかった。


裏社会との繋がりを持ちながらも、法では裁けない悪を追い続ける者たちだった。


正義を捨てたわけではない。


むしろ誰よりも正義を信じていたからこそ、法の届かない闇へ足を踏み入れていた。


僕はそんな二人の仕事を手伝うようになった。


資料運びから始まり、やがて情報収集や尾行も任されるようになった。


その中で僕は様々な技術を学んだ。


射撃。


格闘術。


武器の扱い。


犯罪心理。


そして裏社会で生き抜く方法。


中でも僕が最も才能を発揮したのは射撃だった。


引き金を引く瞬間。


標的を見据える瞬間。


僕の黄金色の瞳は決して獲物を見失わなかった。


どれだけ逃げても。


どれだけ隠れても。


僕は必ず追い詰めた。


そして僕はもう一つの武器を手にした。


黒い大鎌。


それは僕の復讐心の象徴だった。


イレイナを奪った理不尽な世界への怒り。


決して消えることのない憎しみ。


その全てを背負うために。


それから二年の月日が流れた。


小学校の卒業式が終わり、春休みに入った頃。


僕は再び約束の場所を訪れていた。


首元には一つのネックレスが揺れている。


透明な雫を閉じ込めたような小さな宝石。


それは生前、イレイナが僕にくれた唯一の贈り物だった。


「これ、綺麗でしょ?」


そう言って笑う彼女の姿を今でも覚えている。


僕はそのネックレスを握りしめる。


忘れないために。


失わないために。


彼女が生きていた証を。


白いローブを羽織る。


背中には自分の身長よりも大きな大鎌。


腰には二丁のハンドガン。


そして闇の中へ歩き出す。


いつしか裏社会では、こんな噂が流れるようになっていた。


――白い死神。


白いローブを纏い、大鎌を背負う少年。


狙った標的を決して逃さず、必ず生け捕りにする存在。


その黄金の瞳に見つめられた者は逃げられない。


死神に目を付けられたのだから。


誰もその正体を知らない。


だが一つだけ確かなことがある。


白い死神は今日も闇の中で悪を狩り続けている。


たった一人の少女との約束を胸に抱きながら。

第二章 あとがき


第二章「出会いと誕生」を読んでいただき、ありがとうございます。


この章では、イレイナを失ったイアが神崎夫婦と出会い、新たな人生を歩み始める姿を描きました。


しかし、神崎夫婦の優しさに救われながらも、イアの心の奥にある復讐心は消えていません。


彼は射撃や情報収集などの技術を学び、やがて裏社会で「白い死神」と呼ばれる存在になっていきます。


それでもイアが戦う理由は名声や金のためではなく、イレイナとの思い出と失われた約束のためです。


神崎夫婦はイアを守ろうとしていますが、復讐への道を進む彼を止められるのでしょうか。


そして、イレイナを殺した政治家へ繋がる手掛かりは見つかるのでしょうか。


白い死神は何を知り、何を選ぶのか。


ぜひ第三章も読んでいただけると嬉しいです。

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