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私は君の盾となり剣になりたい  作者: 浅葱


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3/5

私と若が、福島のばーちゃんにニヒヒとニヤけられた理由−1

挿絵(By みてみん)

若は新幹線の座席に座り、私達spに警護されながら難しい顔をして、レポートを読んでいる

時折、レポートから目を離し右手の親指と人差指で目頭を押さえている、目が疲れているようだ

若は、目頭から指を離し目を開けると私を見てニコっと笑った。


「若?だいぶお疲れのように見えますが」

「大丈夫でしょうか?」と私は心配し尋ねた

「問題無い」「心配ありがとう」と、若は笑顔を私に向け答えた

「ところで、(かえで)

「今、レポートを読んでるんだが自身の理解を深めるために、楓に説明したいのだが大丈夫だろうか?」

「はい、私で良ければ!」


「我が国、日本国は現在外国人観光客による外貨獲得を多く得ようと目論んでいるだ


かねてから、有名な観光地である北海道や東京、京都、沖縄は既に多くの外国人観光客に来て頂いているが観光客の数が過剰であるために、その場所の環境、文化、経済に悪影響を及ぼしてもいる


「これをオーバーツーリズムと言う」


オーバーツーリズムによる悪影響とは

例えば、過度の観光によって、景観や生態系が破壊されたり

観光客の増加により、地元の文化や伝統が商業化されすぎたり

生活空間が観光客に占領されることで、住民が不便やストレスを感じたりなどの問題が文化庁や観光庁から報告を受けているだ


その、オーバーツーリズムの解消方法の一つとして、観光客の分散が考えられるんだよ、北海道、東京、京都、沖縄以外の地方都市の魅力を海外の観光客に伝えられば、分散できると思うんだけど楓はどう思う?」若はオーバーツーリズムの解決策を探っていて私に意見を求めている

「申し訳ありません、若」

「政策に関わることを、警護の私が意見することは出来ません」

「聞くだけです」私は申し訳ない顔で答えた


「あ、あー分かった」

私は、幼き頃から一緒に育ち今は私の警護をしている、愛しき(かえで)に振られると車窓の外を眺めた。新幹線は大宮駅を通過している

楓は、警護職の私が政策に意見出来ないと答えたので、今夜の警護職が終わったらベットの中で聞こうと思った

私は目の視点を合わせず、体を脱力し思考に入る

地方都市への外国人観光客分散

但し、地方都市が観光大都市になっては駄目だ

また、そこからオーバーツーリズムが始まってしまうだろう

地方観光都市に年間に1回ハイシーズンがあって、他の季節はオフシーズンにする。ハイシーズンをずらした、地方観光都市を12箇所をセットにできればオーバーツーリズムを回避できるのではないだろうか?ハイシーズンの持ち回り制だ

では、年間のハイシーズンが1回に対して宿泊施設への設備投資はリスクが大きい、ならば一般住宅への短期ホームステイはどうか?

私は、ここまでの考えをレポートの隅に書き留めておいた


若は、宙を見つめていた目を手元に戻し、レポートの隅にご自身の考えを記入している。私は若を見つつ周囲を見張っている

新幹線の移動だが、政府専用では無く一般の車両の最後部1両を政府が貸し切っている。一般の人々が政府車両に入ってこれないように、一般車両側の最後尾席に2人のSPが警護し、政府車両の最初の席に2人のSPが警護する

一枚のドアを挟んで、SP警護が2人ずつ計4人が入口を守るまた目的駅以外の停車駅でもホームへのドアは開かない。目的駅、仙台駅まで120分間、開かない

SPの私が若の隣に座り、他の警護が周りを囲むように立っている。また近くの席には側近が座り、王である若の呼び出しがあると向かいの席に座るようにしている。


若は、少し離れた席に座る観光大臣を呼び自身の前の席に座ってもらい、先程レポートの隅に書いた自身の考えを述べた

▪️オーバーツーリズムを解消したいこと

▪️ハイシーズンを全国持ち回り制にする

▪️設備投資費を軽減するために、宿泊客を一般家庭にホームステイしてもらう

▪️もちろん、ホームステイ先の一般家庭には報酬が払われる

観光大臣は、若の話を聞きながら何度も頷いた


「では、王!」

「どのようなコンテンツで外国人観光客を地方に分散させましょうか?」

観光大臣は、目を広げ前のめりになり私に問うた

「日本は昔から、全国各地に温泉があり湯治にも良く使われている」

「温泉はどうだろうか?」

観光大臣は目を大きく広げ、鼻の穴を広げ私に前のめりになりながら、笑顔で頷きながら「残念ながらオーバーツーリズムの解消作のひとつとして、外国人観光客分散にはなるかもしれませんが、温泉は一年中湧いておりますので、ハイシーズンの持ち回り制にはなりません。しかも現在、外国人観光客に日本の温泉の魅力が伝わってないと思われます」「日本各地に有る温泉を紹介する外国人向けのジャパン温泉ガイドを作りましょう!」「日本各地の温泉紹介や郷土料理を紹介したり」「あ、全国各地の温泉箇所にオリジナル温泉手ぬぐいを作りコレクターズアイテムにしましょうよ」

「王!これから参る仙台も温泉が豊富です、観光に来ている外国人にインタビューしてみましょうよ!」観光大臣は興奮し私に話す

「おう!」私が答えると「私は席に戻り、王のお考えを精査します」

「ん、頼む」と答えると観光大臣は笑顔で席に戻るため席を立った

彼はこの国のために一生懸命に笑顔で思考を巡らせている「良い奴だ」と思う、兄の側近にも彼みたいな人がいればとも思った

観光大臣が立ち上がるとスーツの中から一冊の文庫本が座席にすべり落ちた

私は、そのタイトルに目を向けると

「剥がれ落ちたメイクの下に浮かび上がる真実の愛」と書かれていた

大臣は、ニヤけて恥ずかしそうな顔を私に向け文庫本を拾い上げた

新幹線は宇都宮に着こうとしている


新幹線はスピードを落とし、宇都宮駅のホームに入ろうとすると、政府が借り切った車両の最後尾にある運転台の鍵のロックが外れる音がした

私は近くのSPにアイコンタクトをとり2本の指を立て、音が鳴ったドアの方に2本の指を振った。2人のSPが素早く開くドアに近づき、私は窓際に座る若を守るために通路側に立つ

運転台のドアノブが周り、中からダークネイビーを基調に、アクセントとして上衣の襟にグレーのラインの乗務員服を着用した男が出てきた。

同僚2人のSPが、出てきた乗務員の左隣と後方に密着し、何か有れば直ぐに行動できる状態で、出てきた乗務員と一緒に歩行している


乗務員は、恐らく車内巡回の仕事をするために運転台から出てきたのだろう

乗務員は、一般車両に向かうために前進している

若が座る席まで、あと数メートル

私は足元にある、防弾対応のスーツケースを手に取り胸元まで持ち上げる

私は、若を警護する

警護対象が危険な目に合わぬように命を張る

愛する若を守るために死ぬことができる

乗務員が若とすれ違う

すれ違う瞬間、乗務員の袖口から小型拳銃デリンジャーが現れる

乗務員の左隣にいた仲間のSPが咄嗟に動いた

私は、その動きを感じて若に覆いかぶさり、防弾スーツケースを男に向け射線を遮った

乗務員を装った男は、隣りにいる仲間のSPに邪魔されながらも銃口を若に向けデリンジャーを発射しようとしたが、SPが男の腕をとり発射を阻止をした

小型拳銃デリンジャーを持った乗務員は同僚のSPに銃を奪われ制圧され、拘束された状態で宇都宮駅で降ろされた。男は、恐らく王位継承で弟の若に敗れたお兄様が差し向けた刺客だろう

私は、若に刺客を差し向けた若のお兄様に悪意を向ける

「愛する若を傷つけようとしやがって」許さない

「若を守る為ならば、我が生命差し出す」と思った


「若!」

「予定の仙台視察を中止しましょう」

「我々の行動予定が筒抜けです」

「この先も、危険が待ち構えてると思われます」

と、私は提言すると若は


「そうだな、仙台視察は中止とする」

「その代わり、福島を視察する!」

「突然、視察場所の変更すれば向こうも対応出来ないだろう」と若が言う


私は若の言葉に驚き、口を開け即座に警護の立場から反論する

「若!敵も襲撃による視察場所変更を予想して準備しているかもしれまさせん 」

「さらに、先程の犯人を護送するのに仲間のSPが3人割かれました」

「皆様を護衛するのに、SPが足りません!」と私が言うと若は


「ならば、警護される人数を減らそう!」そう言うと若は、観光大臣の名前を挙げた。「今名前を挙げた者は私と同行し、呼ばれなかった者は次の那須塩原駅で降りて、東京に帰って仕事を続けてくれ」


「これで、警護する人間は私を含め2人になる」

「どうだろうか?楓」と、若は私に聞く


「若!仙台視察では、事前に視察場所の警護計画を立てているのです」

「いきなり、変えてしまうと警護計画を立てられません」と私は、視察場所変更に意義を唱えた


「計画があるから、相手にも計画される」

「あほマチンと楓から教わった」以前、マチン王女が毒殺されかけた時の話だ

「楓、インカムを貸してくれ」私は耳からインカムを外し若に手渡した


「あー俺だ、皆聞いてくれ」

「先程はご苦労だった、助かった!ありがとう!」

「で、これからの話しなんだが警護人数を減らして、視察場所を変更して視察を続けたい」

「君たちSPは、大変だと思うが優秀な君たちなら大丈夫だと信じている」

「できるよね~まさか泣き言を言うやつなんて、俺のチームに居ないよね~」と言うと俺は席を立ち、辺りのSPを見渡した。SP達は、私を見て睨みながら頷いた

インカムを楓に返すと、楓はインカムを通して沢山の指示を出し始めた

新幹線は那須塩原駅に着こうとしている。若と同行しない要人は那須塩原で下車し東京にUターンするために荷物をまとめている。もちろん、若と同行せず東京にUターンする要人にも最低限のSPは同行する

やまびこは速度を落とし、那須塩原駅のホームに入り停車した

数人の要人とSPがやまびこを降り、暫くするとホームのスピーカーから鐘の音が鳴ると、やまびこのドアが締まり静かに動き出す、政府が貸し切った車両に残るのは日本国王の若と観光大臣、私を含めた警護SP4人の計6人が福島の視察に向かう



都市部を離れると田園風景の中をやまびこは走る


つづく

挿絵(By みてみん)

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