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テロヴィアの異世界生活  作者: バクリ


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第6章:受け継がれる言葉の魔法

オイルランプの黄色い光が、板張りのリビングの隅々まで柔らかく照らしている。

食卓の上では、小さなロウソクの炎が落ち着きなく揺れ動いていた。

夜風が窓の隙間から入り込むたび、炎は西へと傾く。


普段なら肌を刺すような夜の冷気も、今夜は少し暖かく感じられた。

父親の低い声と、村の薬師の静かな呟きが、部屋の静寂を埋めている。


部屋の片隅、パンダンで編まれたゴザの上には、タカヒロが横たわっていた。

今日の夕方、ケイトが森から引きずり出してきた見知らぬ青年だ。

謎の白い光の渦に飲み込まれて以来、彼のまぶたはまだ一度も開かれていない。

無力に横たわる彼に、薬師がせっせと薬草を塗り込んでいた。


少し離れた場所にある竹編みの長椅子で、ケイトは硬直したように座っていた。

親が忙しくしているのに、手伝おうとする気配は全くない。

両目は固く閉じられている。

両手の指を強く絡ませ、鼻の付け根と額を同時に押さえていた。

眉間には深いシワが寄り、頭を深く垂れている。

ずっと胸を締め付けている重い考えから逃れようとするかのように。


突然、左肩に温かい手が触れた。

ケイトにその赤茶色の髪を受け継がせた母親、ベリンダが寄り添うように座ったのだ。

薄暗いランプの光の下、ベリンダの青みがかった瞳が、母親特有の優しい光を帯びて娘を見つめている。


「どうしたの?」


ベリンダは優しく尋ねながら、顔を覆うケイトの手に自分の顔を近づけた。


「なんだか、すごく悩んでるみたいだけど。」


ケイトは震える手をゆっくりと下ろした。

顔を向け、母親の目と視線を合わせる。

しかし、その強がりは長くは続かなかった。

ほんの数秒で罪悪感に押し潰され、ケイトは目を逸らし、使い古されたコンクリートの床へと虚ろな視線を落とした。


「ごめんにゃ、ママ……。ウチが薪を置いてきちゃったせいで、今日のご飯、作れなくなっちゃったよね。」


震える掠れた声が、ベリンダの胸を締め付ける。

娘がどれほど強い責任感を感じているか、彼女には痛いほど分かっていた。

台所から煙が上がらないことを責める代わりに、ベリンダは肩から手を離し、ケイトの短い髪を優しく撫でた。


「いいのよ。あなたのせいじゃないんだから。」


ケイトは再び顔を上げた。

赤い瞳で母親の穏やかな表情をじっと見つめるが、返す言葉が見つからない。


「もちろん、薪はうちにとって大事よ。それがないと何もできないもの。」


その正論を聞いて、ケイトの頭は再び力なくうなだれた。

心はさらに深く沈み込んでいく。


「うん、分かってるにゃ……。」


震える声でケイトは答えた。


ベリンダは少しだけ右に座り直した。

手を引いて膝の上で指を絡ませ、両方の親指にそっと顎を乗せる。

そして、部屋の向こう側へと遠く視線を向けた。


「そういえば……ママがまだ若かった頃に、おばあちゃんから言われた言葉を思い出したわ。」


「おばあちゃんからの、言葉……?」


ケイトは、自分自身に囁くような小さな声で繰り返した。


ベリンダの視線は、竹の柱の近くで薬師と立ち話をしている夫、ジョー・アームストロングの逞しい背中に注がれていた。

夫の背中を見つめながら、ベリンダの記憶は時間を遡っていく。

まるで過去の若いジョーが、傷だらけの体で同じ場所に立っているかのようだった。


当時、無鉄砲だった彼は、森から獲物を一匹も持ち帰らなかった。

その代わり、自分の身勝手な狩りのせいで死にかけていた友人を、息を切らしながら引きずって帰ってきたのだ。

畑から帰ってきたばかりの母親が、玄関口で怒りを爆発させたのも鮮明に覚えている。

祖母が激怒したのは、獲物を逃がしたからではない。

最初は獲物を優先し、あわや友人の命を犠牲にしかけたジョーの傲慢さに対して、「てめぇ、命と獲物、どっちが大事か分かってないのか!」と声を荒らげたのだ。


その過去の断片を思い出し、ベリンダの口角が少しだけ皮肉げに、だが温かく上がった。

胸の奥が熱くなる。

夫の無茶な行動を今でも覚えている反面、彼女は心から誇らしく思っていた。


今日の娘は、父親のような過ちを繰り返さなかった。

最初から他人の命を優先し、薪を諦めたのだから。


ベリンダは瞬きをして、過去の幻影を振り払うように軽く首を振った。

そして、再びケイトを見つめる。


「蟻のようになりなさい。小さくても、群れで協力すればとてつもない力を発揮する、その証拠よ。」


(……群れで協力する力?)


その聞き慣れない言葉が、ケイトの頭の中でぐるぐると回る。

眉間にはさらに深いシワが刻まれた。

亡き祖母の謎掛けを解き明かそうと必死に頭を回転させるが、思考は完全に行き詰まっていた。


困惑で顔をしかめる娘を見て、ベリンダは微笑んだ。

ケイトが質問するのを待たず、すぐに言葉を続ける。


「分かりやすく短く説明するわね。」


ケイトはごくりと生唾を飲み込み、母親に全神経を集中させた。

唇を固く結び、一言も聞き逃すまいと構える。


「蟻はね。一匹じゃ小さくて弱いわ。でも、みんなで協力すれば、自分の体よりも重いものを持ち上げられるくらい、強く見えるのよ。」


濃い霧が強風に吹き飛ばされたかのように、その言葉がケイトの胸にすとんと落ちた。

赤い両目が大きく見開かれる。

それは単なる古臭い教訓などではない。

今の自分の状況に深く突き刺さる、真の意味があった。

一人の命という重荷を背負うために薪を諦めたことは、決して損失ではない。

それは、互いに支え合う力を生み出すための、第一歩なのだ。


「分かったにゃ!」


ケイトは力強く叫んだ。

今まで肩にのしかかっていた罪悪感が、一瞬にして消え去る。

しょんぼりと俯いていた彼女は、長椅子から勢いよく立ち上がった。

くるりと向き直り、父親と薬師の方へと足を踏み出そうとする。


ベリンダはパチパチと瞬きをした。

急に娘が溢れんばかりのエネルギーを取り戻したことに、少し驚いたのだ。


「どこに行くの?」


歩き出そうとするケイトを、優しい声で呼び止める。


彼女は立ち止まった。

完全には振り返らず、肩越しに顔だけを向け、口元に意味深な笑みを浮かべる。


「ウチ、なんでもできる小さな蟻になるにゃ。だから……あの人の治療が早く終わるように、パパを手伝ってくる!」


そう宣言すると、ケイトは再び力強い足取りで、父親たちが忙しく動く場所へと向かっていった。


長椅子に残されたベリンダは、もう何も言葉を返す必要はなかった。

彼女の顔に浮かんでいた心配の色はすっかり消え去り、代わりに満面の温かい笑みが広がっていた。

古びた教えの魔法が、ケイトの胸に再び火を灯したのだ。

活気に満ちて立ち上がる娘の姿を見ることほど、彼女の心を穏やかに満たしてくれるものはなかった。

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