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現代知識で異世界村を救う  作者: バクリ


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第42章:再テストの結果

「こ、これで上手くいくの?


ケイトは困惑したように尋ねた。彼女の目は、たった今色を変えたばかりの二つのお椀を不安げに見つめ、瞬きを繰り返している。


タカヒロはすぐには答えなかった。指先で、急にこわばりを感じたうなじをゆっくりとさする。平然を装うその表情の裏で、一抹の不安が這い寄っていた。この即席の調合が成功する確率は、果たしてどれほどのものだろうか。


だが、部屋にいる全員からの重い期待の眼差しを背負っている以上、彼に後退したり、弱音を吐いたりするような余裕はなかった。


「実際に試してみねぇと、俺自身も上手くいく確証は持てないな」


彼は肩を少しこわばらせながらも、努めて気楽な声で説明した。


もっとも、今夜すぐに畑で試すというのは明らかに不可能だった。木の窓の向こうでは、深い夜闇が僅かな光すらも飲み込んでいる。コオロギの大合唱が、田んぼへ出向くには時間が遅すぎることを雄弁に物語っていた。


息が詰まるような沈黙の中、タカヒロの左側で立ち尽くしていたヴィオラだけは、自分だけの世界に没入しているようだった。


彼女は眉をひそめ、脳内をフル回転させている。タカヒロが先ほど行った作業の全工程を、細部に至るまで視覚的な記憶として再生していたのだ。


固まった土をほぐし、水と混ぜ合わせ、pHを測る魔法のような指示薬を垂らすまでの手順。


その一連の光景が頭の中で極めてクリアに映像化され、やがて無意識のうちに、爆発的な閃きの火花を散らした。


突如として彼女の焦点が虚空を彷徨い、まるで本能が全身の神経を乗っ取ったかのようだった。灰色の髪の少女は、テーブルのそばへと一歩踏み出した。


『もし、どんな毒にも解毒剤があるんだとしたら……どうすればこの土さんも元気になるのかな……?』


彼女は先ほどのウチの言葉を、まるで呪文のように小さく反芻した。


テーブルの端に辿り着くと、ヴィオラは一切の躊躇なく動いた。まるで何千回も訓練を積んできたかのように。彼女のしなやかな指先が、中和剤である白い木灰を振りかけられた土のサンプルの残りを掴み取る。


手際よく二つの新しい空の器にそれを入れ、水差しから綺麗な水を注ぎ込んだ。


カチャカチャと小さな音を立てながら、即席の泥水を何度もかき混ぜていく。


彼女は一瞬息を止め、重力に任せて粗い土の粒子が陶器の底へと沈殿するのを待った。


表面の水分が透き通って見え始めたその瞬間、アドレナリンの分泌でわずかに震えるヴィオラの指が、チョウマメと紫キャベツで作られた指示薬のボトルに伸びた。


運命を決めるその液体を、それぞれの器の真ん中へと正確に垂らす。


その背後から、タカヒロはその突発的な行動に目を白黒させていた。


彼はゆっくりとした足取りで近づき、少女の肩にポンと優しく手を置いた。


「ヴィオラ、お前、一体何を……。」


タカヒロの言葉は途切れた。驚きのあまり、思わず息を呑む音が唇から漏れる。彼女と並んでテーブルの上を覗き込んだ瞬間、彼の瞳孔は限界まで見開かれた。


器の中では、指示薬の滴が水面を割るように広がっていたが、彼が危惧していたような酸性を示す血の赤色は発していなかった。


テーブルの向こう側に立つケイト、クトリ、ウチ、そしてヨトやクリリーには、立ち位置のせいでタカヒロの顔に起きた劇的な変化が全く見えていなかった。


突然石像のように固まった青年と灰色の髪の少女を見て、彼らは深い困惑に包まれながら顔を見合わせることしかできない。あまりにも長すぎる沈黙に耐えかねて、ついにケイトが口を開いた。


「どうして黙ってるの、タカヒロ?」


返事はない。その問いかけに対し、タカヒロはむしろ深く頭を垂れ、まぶたをきつく閉じていた。


前髪が落とす影の下で、彼の口角が劇的に吊り上がる。まるで、秘密兵器を偶然発見したフィクションの登場人物のような、わざとらしくて傲慢な笑みを浮かべていた。


そして、勢いよく顔を上げた。


「ヴィオラ、てめぇ! 俺が思っていたより頭が切れるじゃねぇか」


その大きな叫び声にビクッと肩を震わせ、ヴィオラの意識は強制的に現実へと引き戻された。


先ほどの自分の行動を自覚して一瞬で顔を赤らめる。タカヒロが何か恥ずかしいことを怒鳴り散らしているのだと勘違いしたのだ。


「わ、私は、あんたが言ってるようなヤツじゃ……!」


わけのわからない言葉を聞いて、茹でダコのように頬を赤らめているヴィオラを見て、ケイトの顔がみるみるうちに歪んでいく。


目の前で繰り広げられるシュールな光景に心底ウンザリしたような哀れみの表情を浮かべ、鼻から短くため息をついた。


「このバカヴィオラ!」


ケイトは吐き捨てるように言った。


「さっきから何を訳の分からないこと言ってるのよ」


ケイトの鋭いお説教に、ヴィオラは言葉を失った。激しい羞恥心が渦巻く頭の中で、彼女は悪霊にでも憑かれたかのように無意識に動いてしまった自分自身を激しく呪った。


しかし、そんな親友同士のちょっとしたコメディをよそに、ヴィオラのその大胆な行動は、タカヒロの脳内を覆っていた疑念の霧を完全に晴らしてくれていた。


たった今行われた再テストという名の実験は、ウチの純真なアイデアを絶対的なものへと完成させ、先ほどのケイトの疑問に対する決定的な答えとなったのだ。


「手伝ってくれたお前らの献身には、本当に感謝するぜ」


タカヒロは強い熱意を込めた高いトーンで言った。


「見ての通りだ。さっきまでこの土は危険な酸性レベルを示していたが、今は青紫に変わっている。つまり、ヨトのおっさんの畑の酸性土を、俺たちは無事に中和できたってことだ」


その最終宣告は、まるで宙で打ち上がる花火のように弾けた。次の瞬間、家中の壁が大きく揺れる。全員の口から一斉に爆発した勝利の叫びと、安堵の歓声が響き渡ったのだ。


感動的な祝賀ムードが続く中、タカヒロは腕を組み、彼らに向けて口角を上げた。


彼は自覚していた。自分は世界を滅ぼすほどの魔力を持った転生勇者でもなければ、輝かしい肩書きを持った天才科学者でもないということを。


だが、目の前にいる疲弊しきった顔に再び笑顔が戻るのを見て、どうしようもないほどの満足感に満たされていた。この世界では、自分のこんな小さな役割が、思いのほか多くの人々の命を救うことができたのだから。

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