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「猫の本能」

小話

「猫の本能」



夕方。


ねこフードルーム。


窓の外では、

オレンジ色の光が静かに揺れている。


部屋の中には、

穏やかな空気が流れていた。


テーブルにはお茶。


ナナがゆっくりとカップを置く。


その近くで、

ミルがなにやら気合い十分な顔をしていた。


ミルは両手をぎゅっと握る。


ミル

「迷い猫さん達を助けるために!」


キラキラした目。


やる気満々である。


ミル

「練習します!」


ナナはふわりと微笑む。


ナナ

「私も一緒に見るわ」


ソファに座っていたノワが、

少し呆れたように目を向ける。


ノワ

「今日もやるのね?」


ミルは勢いよく頷く。


ミル

「そうです!」


ミルは腰の後ろから、

大事そうに猫じゃらしを取り出した。


ふわふわ。


先端が小さく揺れる。


ノワの耳がぴくりと動く。


ミル

「ほら!」


猫じゃらし振る


シュッ


一瞬。


ノワの金色の瞳が、

猫じゃらしの動きを追った。


ほんのわずか。


だが確かに動いた。


ナナ

「……?」


ミルは目を丸くする。


ミル

「ノワ?」


ノワはすぐに視線を逸らした。


ノワ

「……」


無表情。


しかし耳だけ少し反応している。


ミルはじーっと見つめた後、

もう一回猫じゃらしを振る。


シュッ


ノワ

「……」


視線が追う


ナナ

「……」


ナナは静かにノワを見る。


そして、

猫じゃらしを見る。


もう一回ノワを見る。


ナナ

「追ってる」


ミル

「追ってますね」


ミルは確信した顔で頷く。


ノワの眉がぴくっと動いた。


ノワ

「追ってない!」


ミル

「でも目が」


ミルもう一回振る


シュッ


ノワの視線が、

すっと横へ流れる。


本人も気付かないくらい自然に。


ナナ

「動いてる」


ルナ

「猫ね」


いつの間にか後ろにいたルナが、

冷静な声で言った。


ノワ

「違うって言ってるでしょう!!」


ノワは顔を赤くしながら勢いよく立ち上がる。


ミル

「ふにゃっ!?」


突然の勢いに驚き、

ミルの手から猫じゃらしがふわっと離れた。


ふわり。


宙に浮く猫じゃらし。


ノワの目が、

反射的にその動きを完璧に追いかける。


ルナ

「完璧に追った」


ナナ

「綺麗だったわねぇ」


ミル

「すごいです!」


ノワ

「~~~~っ!!」


ノワは勢いよくクッションを掴み、

顔を隠した。


尻尾だけが、

ばたばた揺れていた。


ミル

「尻尾も動いてます」


ノワ

「見ないで!!」


窓の外では、

夕焼けがゆっくり夜へ変わっていく。


今日のねこフードルームも、

平和だった。


終わり

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