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異界神話 サブストーリー マリーのお話  作者: レバニラ蒸し
第2章 1つ目の街

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40/52

40話 末裔vs分身

さっきの戦闘のせいで出遅れた。一直線に門まで向かうが既に戦闘音は小さくなっている。


門に近づくにつれむせ返るような血の匂いが強くなっていく


思わず立ち止まってしまう、門を中心に倒壊した家屋、誰のとも分からない噛み千切られた手足、臓物が散乱し、今にも消え入りそうな呻き声が聞こえる。


『来たか、小娘よ』


腹に響くような重い声


「何をして…」


『平たくいえば殲滅、殺戮だな』


「なんで、なんで、こんなことするの…」


『我も仕方なかったのだ、この国の王に仲間を人質に取られてな、全てはやつのせいだ』


魔力の流れが変わった、嘘だな。魔力は生物の意識に左右される。なら、嘘を付いていることを流れから読むことも出きる、この一年間で得た技術だ。


「本当のことを言って‼」


『うーむ、やはり嘘を付くのは少々難しいな。答えは簡単だ貴様のためだ』


いったいこの狼は何を言っているのだろうか…私のため?どういう事だ?


『これ以上は口が裂けても話せん』


嘘はついていない、なんなんだ、何がしたいんだ?


『唐突で悪いのだが、我らと共に来ないか?』


これだけのことをしているやつの仲間になれるわけが無い


『なら、仕方がないな』


ドスッ


背中に強い衝撃


「ゲホッ、ゲホッ」


内蔵をやられた、口から血が溢れる。幸い刺し傷なので治癒魔法でどうとでもなる。そんなことよりも、攻撃がくる直前まで反応が無かった、周囲の魔力に違和感は無い、完全になにもないところから爪が出てきた。


魔力残量、およそ9割


ひとまず、攻撃範囲外に逃れるため後ろに跳び距離を取る。飛び道具の可能性を考慮し、魔法で射線を遮る。


シュバルツについて分かっていることは主に四つ、人語を介すること、魔獣、魔物、獣問わず多くの狼を引き連れ群れで行動していること、日中はほとんど現れず夕暮れから夜中にかけて出没し明け方には去っていくこと、そして仕組みは分からないが空中から手足や頭を生成し攻撃してくること。


夜暗いうちでしか行動しないことと、配下を多数つれていることから闇の帝王という2つ名がついた。


少し距離を取り待つ、攻撃が来ない。この距離なら攻撃ができないのか。高位の魔物には遠距離からの魔法はほとんど効かない。だが一応試してみる。片手を上げて照準を…


ゴキン


横から出てきた顎に腕を噛み折られる。痛い。が、内蔵をかき回されたときよりはマシ。出てきた頭部に再度照準、袖口に常備している木の実を急成長させ一方を頭部に、反対を地面へ突き立て貫く。


ブシュゥ


首の付け根が切れ血が吹き出る一体倒せた。これ以上離れるとこちらからの攻撃ができない。生やした木をさらに成長させシュバルツの視界に入らないようにする、空中で育てるのなら魔力をだいぶ喰うが、地面につければそれほどでもない。


ザクッ


足に爪で切断される。視界は遮ったのに攻撃が来た、魔力感知か?あえて物理攻撃ではなく至近距離から腕を無理やり隷属、爆破する。爆炎で視界が完全に0になる。


体の横を爪が通りすぎる


魔力残量、およそ8割


魔力感知ではない、何か物理的な認識方法でこちらを認識し攻撃している。なら、地中へ潜る。これでどこからも確認できない。さらに木の根を利用し私の魔力を含む囮を作成


こちらは魔力感知で場所が割れている。こちらから一方的に攻撃できる。複数の根でできた槍を準備、一点へ向ける


「痛っ」


右手と左足に噛みつかれる。気にせず用意した槍を打ち込む。手応え無し、避けられたか。


ドゴン


噛んだ狼が動き地中から引きずり出され空へ投げ出される。虚空から人のより大きい狼が出現、押し倒され地面へ叩きつけられる。


「ヒュッ」


肺から空気が押し出される。


グワッ


大きな口が開かれ、今にも噛みつかれそうになるが、地面に手つき横から土の塊を叩きつけることで逃れる。衝撃で何本か骨が逝った治癒魔法で回復。


魔力残量、およそ7割


起き上がり周囲を見渡す、敵影無し、あまりにも静かだ。この隙に周囲へ木を張り巡らせる


バッ


後ろへ木に引っ張らせ避ける。直後自分の横にあった木が唐竹割りに切られる。一年前、私が逃したやつか…いや、周囲に反応多数、視認は不可…同じ能力を持った魔狼が複数いるのか…これなら避けられる。


『我らが精鋭、不可視の十柱だ受けてみよ』


周囲の木で動きを把握、攻撃を避け、移動先を先読みしカウンターを叩き込む。


一匹、ニ匹、三匹


次は逃げ場が無いように四方八方から来る、今回はタイミングを合わせる都合上ためが長い。飛びかかられた瞬間串刺しにする


四匹、五匹、六匹、七匹、八匹


ラスト2匹


一匹が前から近づき、目の前で不可視を解除。その隙に後ろから一匹、前から解除した狼に被さるようにもう一匹(一匹は新たに出てきたやつ)両方とも前後へ槍を放ち倒される


バクンッ


片腕と脇腹を持っていかれた、不可視かつ虚空から現れる二段構え、不可視の狼は十のはず、嘘はなかった。ひとまず残った手で周囲の木を操作、突起を複数生成、空刃で切り刻み喰われた部位を取り返す。


断面が荒い、樹木で腕と腹を補強、回復魔法で少しずつ治す。その部分の動きは木で補う。血を流しすぎた、心臓の動きが弱い。絶えず魔力で血液の生成を強化しているが限界がある。しかたない、さきほどまでに流した血から自分のもののみ厳選、体内へ戻し魔力操作で無理やり動かす


多少はマシになったか


ザッ、ザッ、ザッ、ザッ


多くの狼が私の樹林の中(感知範囲)へと入る。ひときわ大きい個体が一つ、シュバルツだ、攻撃を加えるが全てすり抜ける


視認できる範囲へ入る、その歩き方は堂々としてまさに帝王


ここまでは余興ということか、私がここで逃げればこの町の人が殺される。逃げられない、なら戦うしかない


事前に仕込んでおいた魔法を全て起動、多数の攻撃魔法、そして私自身がシュバルツへと迫る。遠距離が通らないなら近距離に持ち込む。


「アオーン」

「「「「アオーン」」」」


光を飲み込むような闇夜へ勝利を確約するかのような自信に溢れる遠吠えが響き渡った

勝てるのかな?

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