表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/27

第19.5話 誰の物でもない宇宙(そら)を目指した男の話

その男は、自身に付けられた名前に恥じない偉業を目指した。

かつて人類の未開の地であった宇宙に、初めて乗り込んでいった偉大な開拓者ユーリ・ガガーリン。

母親からその偉業を語れる男。

そのうち、男は自身と同じ名前のその男と同じように、誰も到達したことが無い偉業を求め始めた。

そして選んだ舞台がAS。

男が高校生の頃に発表、そして発売されたASに自身の全てを投じた。

男が創設したsolves、それはASの第1回世界大会にて初代王者へと輝く。

当時にしてはあり得ないぐらいに洗練された黒く(オブスキュア)を引っ提げた男は、現在でもただ3人しか達成していない、世界大会での全ての試合でノーデッドを達成した。

2年目は他のチームも台頭し、世界大会準優勝に留まるが、男はまごう事なき最強のプロの1人に数え上げられていた。

それからも、世界大会優勝は無いがASという選手の新陳代謝や競争力が激しい競技で、トップの地位にしがみついていた男は、ある年の世界大会にて自分よりも15歳若い天才に完全に打ち砕かれた。

その少年の名前はSAW。

世界大会でBO5(3本先取)にて0-3にてノックアウトされた。

男はSAWに触れることすらできず、ただ嬲られ蹂躙された。

男はその無様を祖国アメリカの国民に非難され、その年の世界大会の会場だったイギリスからの帰国の際には、野次と生卵が男のチーム全員を襲った。

男は引退を考えるほどまで追い込まれ、一時期はシーズンで1キルも取れず、他のチームメイトのおかげで、世界大会に出場できた金魚の糞だと批判された。

そんな時、男は世界大会前のSAWのインタビューを見た。


見て、しまった。


そのインタビューの中に初代王者である自分についても言及され、SAWはそれに対し、こう答えた。


「…?だれ?」


男は自分の地面が崩れ落ちたと錯覚した。

これまで抱いてきた自信や自負、地位が壊れていく音が聞こえる。

そして、男はいつの間にか、天井につるしたバスタオルへと首をかけるために、椅子の上へと立っていた。

その瞬間、かつての自分を思い出す。

誰も到達したことが無い偉業、それを目指し続けた自分。


かつて母に言った自分の言葉。


『俺も、母さんの誇りになってみせるよ』


はたしてそれは成し遂げられたのか?

答えは……



『…?だれ?』



no!!(否っ!!)

そして男はすぐさまバスタオルを脅威的な力で引きちぎり、ベッドへと向かいダイブの準備をする。

自分と同じ土俵に立っているプロにさえ、覚えられていなくて誰が、誰も到達したことが無い偉業を達成したというのか?

そんなわけがない。

男は自分のスキルの再構成を始めた。

そうして生まれた4段階目│未だ見果てぬ大偉業《no man's sky》はSAWのチームに敗退はしたものの、その少年と世界に凄まじい強烈な記憶を植え付けた。

男は気づいていないが、世界大会のトロフィーには、その年の優勝したチームメンバー全員の名前が刻まれる。

今もトロフィーには悠然と輝いている。


アダム・ユーリ・ガガーリンという名前が。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ