第16話 アウロラ VS ASTRAの元プロ③
奏が作り出したスキルは両足を地面に付けている間、土を盛り上げる事ができる能力。
盛り上げるだけで盛り下げる事はできない。
能力の規模的にこのような条件だけでは、あの大きさの壁は作れない。
よって地面から話した時のデメリットを大きくする。
デメリットはこのスキルの使用とスキル変更を10分禁止。
つまり地面から足を離した瞬間、その瞬間奏のスキルは10分間1つになるという事。
その凄まじいデメリットのおかげでこれを作れた。
ただ、奏にとっての想定外は、
(天まで登るようなやつ作るつもりだったんだがな…一旦爆破で更地になった事が原因か?)
A移動した場合の地面との接地の難易度が、更地になった事でかなり緩和されたと、AIに判断されたからである。
そして奏は土の壁を解除しスキルの変更を行う。
***
土の壁が崩れる間もなく、3人は共有した視界からアカネが倒された事を知る。
「…じゃ無かった…」
(土壁を作り出すスキルじゃ無かった!!)
ユリウスは戦慄する。
奏の技量に。
物を作り出す系統のスキルは、ある程度限られた物しか出せない。
ユリウスのスキルも騎士剣を作り出すスキルじゃなく、自分のデザインされた剣を作り出すスキルである。
騎士剣を作り出すスキルじゃ無いのは、戦闘時に出来ないから。
やらない、のではなく出来ない。
例えるなら、プラモデルを作るのと型に流し込んで形を作るぐらい違う。
戦闘中にそんなプラモを作るような集中と時間の浪費をしていたら、速攻で落とされて負ける。
だから奏の異次元なスキルがユリウスに伝わる。
自分も試して諦めた側だから。
(アカネちゃんが落とされた。アカネちゃんも自分で杖を作っているけど、あれは魔法の砲台役として作っているだけで、作るたびにそのデザインはまちまちだった。)
土の壁が崩れながらもユリウスは思考を続ける。
(アカネちゃんの杖も、原理的には土壁、いや土操作のスキルと同じ自分で設計図を書いて作り上げる物。だから引っ掛かった。彼のスキルが自分と同じだと思わなかった、思えなかった!!)
土壁が粒子のような蒼い光になって空中に融けて消えていく。
はたから見れば幻想的とも取れるその光景は、3人にとって絶望的なボスの登場演出にしか思えなかった。
(考えを改めろユリウス!常識に囚われるな!相手を最強《SAW》だと思え!)
偶然にもその前提条件は合っていた。
ユリウスは4人の中で一番の実力者であるアカネが落ちても尚、諦めることはしなかった。
(今までの戦闘で大した傷を与えられてないのに、3人になって勝てるのか?…でもVRで諦めたら、僕に何が残る!?VRが僕の全てだろ!?だから…)
粒子の滝が消えていき、奏が3人の前へと姿を現す。
「負けられない!!」
「おうっ!!」
「うんっ!!」
ユリウスの急な意味不明な発言にも、2人は反応を返す。
その声に勇気づけられた様にユリウスは剣を作り出す。
その剣はいつもの剣とは違い、少し光り輝いていた。
そして、
「極光!!」
逆転の一手の宣言をする。
奏も宣言する。
「黒く。」
3人を破滅させるスキル名を。




