第14話 アウロラ VS ASTRAの元プロ①
「「「「「Struggle」!!」」」」
その掛け声と共に、エヴァは自分のスキルであるミニガンを取り出す。
スキル名は│【支配弾幕】《ミニガンズ》。
凄まじい威力の代わりに反動は極大にし、それをどこかのサイトからパクった身体強化系のスキルを発動させ抑える。
「オラオラオラオラ!!」
派手な掛け声と共にミニガンを乱射、周りを鑑みないその様子は、自分勝手というよりも周りへの信用におけるもの。
(合わせれるだろ!?お二人さん!!」
オリヴィアはともかく、レートが最上位クラスのアカネとユリウスに自分が合わせて動くのは不可能。
よって自分にできる最大火力にして最も広範な攻撃手段を使う。
奏にとってそれは奇襲とは言えないほどのお粗末な攻撃。
回避は容易であり、今現在乱射開始から25秒経過して尚、被弾は0である。
プロシーンの解説者は奏の動きを見て口を揃えて言及するのが、天才的なまでの体の運用の仕方だ。
どんな物も90点までしか極められない奏に唯一許された│100点《満点》。
他の追随を許さない、体術とありとあらゆるスキルに合わせた体の動き方の修正の速度。
現在、奏にスキル無しの接近戦で勝てる人間は存在しない。
奏がミニガンの弾幕を避けていると、奏の目に紫色の光が入ってくる。
「雷閃!!」
それはアカネの魔弾のセットの合図であり、アカネはミニガンの弾を避ける奏を見て、最速の攻撃手段を選ぶ。
それと同時にユリウスが剣を抜刀して、奏へと接近する。
まるで事前に準備していたかのような連携に、奏は純粋な驚きを覚えた。
(急造でここまで…嫌、エヴァに合わせたという形か。)
奏は3人の連携の要因を頭の中で察知しながら、攻撃への対応をする。
紫色の光が見えた瞬間、飛んでくるのが電撃それも速攻型だと予測した奏はスキルを構成する。
スキルの再構成の際は手元から第三者に見える形で、何も書いていないウィンドウが現れるようになっている。
これはかつてSAWによる戦闘中の複数スキルの判別が不可能すぎて、運営から実装された機能である。
奏は手元から無地のウィンドウを表示、スキルを再構成。
再構成したスキルは体の一部部分を電気へと変える物。
それをアカネの杖の先から当たる位置を予測、着弾地点の体の一部を電気へと変える。
魔法には現実の現象と架空の現象の現すものがあると言われており、アカネは前者である。
よって奏へと放たれた雷閃は奏の電気の体を透過する。
その直後奏は接近するユリウスの剣へと、手を電気化させて触ろうとする。
「あぶっ!?」
(感電狙いっ!!)
ユリウスは奏の狙いを察知し、剣の権限を解除。
それと同時に奏が電気化の能力を解除し、接近戦に持ち込む。
ユリウスもそれに応じる。
奏が電気化を解除した理由は接触しながら相手を感電させると、自分まで喰らうからである。
今もまだ、弾丸の雨と魔法使いは健在。
(幸いっ、こちらは身体強化のスキルの使用中!)
ユリウスが弾丸の雨を縫って、プロボクサーの数倍の速さの右フックを奏へと放とうとする。
それを奏は予備動作から予測しており、腕を引いた瞬間に手の平を相手の右腕の前まで出して、腕が伸びきらないようにする。
ユリウスはそれを見て、腕をさらに後方へと引く。
それによる後方への重心の変化を利用して、奏の追撃を許さない左足でのハイキックを体勢を崩しながら行う。
奏は蹴られる直前、ユリウスの軸足を引っ掛けてユリウス宙に浮かせる。
「のわ!?」
(っ!?これにも対応するのか!?)
完全に体の前面が後方へと向いたユリウスに対して、奏が追撃の蹴りを加えようとするその直前、何も色を感じない光ったという事実だけが奏へと伝わった。
「打突!!」
アカネが発動したのは無属性というくくりに置いた、魔法による物理的な攻撃。
衝撃だけを着弾点に発生させるその魔法は、間一髪のところでユリウスを救うことになる。
「……魔法による打撃…物理か。」
奏はアカネの魔法を受けて右方へと吹っ飛び、エヴァが照準を合わせたが、当たるはずもなく無傷で受け身をし、体勢を整えながら呟いた。
直後、弾幕を棒立ちで避けられるわけも無いので、一旦瓦礫へと身を隠す。
「30…64…76だな。」
奏が数字を3つボヤいた時、瓦礫や屋外を利用した1対1の連続による個別撃破を恐れたユリウスは叫ぶ。
「アカネちゃん、爆発!!」
「わかってっ…ますっ!!|」
アカネの杖の根本が中心に赤を孕んだ灰色の光に包まれる。
「粉塵爆破!!」
アカネはそう叫びながら、杖を辺り一体を薙ぎ払うようにして、思いっきり振る。
アカネの魔法は一節漢字二文字で構成されており、それに当て字を即興でつけて発動というプロセスを取っている。
よって節が増えれば増えるほど、発動までのプロセスにかかる時間・難易度が増加するので、込められる威力と性質は爆発的に増大する。
それに加えて、当て字が漢字からそのまま英訳したような物ではなく、直訳は出来ないが当て字としての納得が出来るといった、完成度も影響する。
粉塵爆破。
ただ爆発させるのではなく、引火性の粒子をばら撒いた後、爆発させる魔法。
粒子を飛ばせる距離は術者本人の腕の振りで決まる。
今回の魔法は二節の直訳に近い形での当て字。
それでもその威力は───────
「っ!」
奏は電気化するスキルを創る時にもう一つスキルを作っていた。
スキルの能力は一度視認した相手の現在の様子を、30分の間、目を閉じた際の自身の瞼へと映像として映し出す物。
そのスキルによって瓦礫に隠れながらも、片目を閉じて様子を伺った瞬間。
瞼へと投影されたのはアカネが杖を振り抜いた映像。
そしてアカネの、今叫んだ『ミストボム』という単語から、辺り一体への爆破攻撃と判断。
その直後、辺り一体の瓦礫どころか廃墟諸共を消し飛ばすほどの凄まじい爆発が発生。
奏は全身を電気へと変えて回避を図ったが、見たタイミング的に完全に回避でき無かったのか、4人へと次に姿を現した時には全身に擦り傷を負っていた。
アカネが自信満々の笑みを浮かべながら、空中へと立って言う。
「どうしました?まだこちらは誰1人として傷を負ってないですよ。」
アカネの言葉を聞いた瞬間、奏は手元からウィンドウを出現させ、スキルの再構成を果たす。
これから、SAWの逆襲が始まる。




