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第12話 どちらが強いか

「はぁ…ようやく終わった…」

「長かったね?」


配信がつけっぱだったことによる対応とマネージャーへの話し合い、そしてアカネからの説教を終えて、エヴァはようやく一息つく。


「私は怒りたくないのですが……ちょっとやらかしが多すぎますよ、エヴァ?」

「はい…精進します…」

「終わったかい?」


ユリウスが奏を連れて三人の元へと赴く。


「最初からそうやってまともに近づいてきてくださいよ…」

「「それはそう。」」

「ハハッ!これはクセみたいものでね。現実リアルで出来ない動きをしてみたいと君たちも思うだろう?」

「「「だからと言ってブリッジしながらはきもいぞ(です)!!!」」」


奏は4人の掛け合いを見ながらタイミングを伺い、


「そろそろ俺は帰ってもいいか?やりたいことがあるんだが…」


|レートを盛ってランキングを荒らす《やりたいこと》がある奏は、離脱の提案をする。


「そうだね…これ以上時間を取らせるのも悪いし、他のVも都市の中で結果を待ってるし……せめて社長からの謝礼は受け取ってくれないか?」

「謝礼?」

「このイベントを無事に終わらせてくれた礼というやつさ。これがこけたら、次のイベントも死んでいたかもしれないしね。」

「謝礼はまぁ受け取るが……次のイベントか……次もこんな感じのイベントにするつもりだったのか?」

「いや?次のイベントは複数の事務所共同開催の5対5のリーグ戦だよ、出る条件は最低V4人を含んだ5人でチームを組む事。」


そしてユリウスはイベントページを空中に表示させ、奏の前まで飛ばす。

そこにはVDiverリーグ、ロゴには略されてVリーグと書かれた、イベント参加フォーマットが移し出されていた。


「ちなみに僕ら4人もチームで出るよ。まだコーチは決まってないけど。」

「不服ですけどね!」

「「まぁまぁ…」」


不服そうに鼻を鳴らすアカネを鎮めるように、エヴァとオリヴィアの二人がなだめる。


「コーチ?別にコーチ枠とかはないみたいだが…?」


奏は疑問を口にする。

奏はイベントページをスクロールして詳細を見たが、そんな事は一言も書いてなかった。


「V4人を含む5人チームって書いてるだろう?たいていのチームはそこのあと一人の場所に、コーチになれる元プロや準プロレベルのアマチュアを入れてコーチにするのさ」

「プロは呼ばないのか…?…いや、呼べないのか。」

「呼べるわけないだろ!?プロの方々は、本来のリーグ戦や広報でスケジュールが詰まってんだろ!?」

「まぁプロの人が出るのはないよね……本当は出てほしいから社長直々にオファーしたけど、一蹴されたって聞いたし。」


奏の見当違いの質問に思わず声を荒げて突っ込んでしまうエヴァ。

呼べない内情を口に出すオリヴィア。


奏はそんな二人の言葉を聞き、思わずボソッとつぶやいてしまった。


「今の俺なら出れるか……」

「「「「え?」」」」

「いや、何でもない。俺は出る条件を満たしてると思っただけだ。」

「え?あなたが?」


奏の一言に不審な顔つきになるアカネ。


「確かにコーチ枠としては出れますけど……あなた私達より強いんですか?」

「それは保証する。お前ら4人同時にかかってきても勝つ自信はある。」

「はぁ!?それはなめすぎじゃないですか!?」

「そうだぜ!確かにバイザーさんは強いけど…ちょっと大言壮語すぎないか?」

「私もそう思う…4対1はさすがにね。」

「僕もそう思うよ。ランキングトップ10の人でもきついと思うなぁ…」


アカネたちが次々と奏の意見を否定する中、奏はそれでも意見を曲げない。


「いや、お前たちが俺に勝つのは不可能とまで言わないが、限りなくゼロに近い。」

「「「「…………」」」」


ためらいやなんの憂いもなく言い切る奏に絶句する4人。


「何なら証明するか?」

「証明、ですか?」

「模擬戦だ、ここで。」

「他のVが待ってるんだが…?」

「じゃあそのあとでいい。俺はここで待ってるから、早く結果と無事を報告してこい」

「君は時間が無いんじゃなかったのかい?」

「やりたいことがあるだけで時間自体はある。お前らの話を聞いていてそのリーグ戦に参加したくなった。別にお前達のチームに入りたいわけじゃないが……そうだな…俺が勝ったらお前たちのチームに入れるか、他のチームに紹介してくれ。」

「な!?」

「別にお前ら以外の全てのチームが決まってるわけじゃないんだろ?」

「それは……別にいいですけど…」

「「「オレ(僕)達もチームリーダのアカネさん(姉貴)(ちゃん)がいいなら、いいけど……」」」

「なら、決定だな。」

「けど!あなたが負けた場合は!?」

「俺の今の所持ゴールドは10億ある。それをやるよ」

「「「「!?」」」」


それは奏が地方大会などで、よくMVP報酬などで配られる5~10万ゴールドが積みあがった結果の数字だった。

そして奏は近くにスキルで椅子を出して座る。


「俺はここで待つ、終わったらメッセージでも飛ばしてくれ。」

「あなたはいいんですか!?10億って……とんでもない数字ですよ。」

「それだけの賭ける価値があると俺は感じた。それに別に負けないしな、俺。」


4人の心に少し苛立ちが生まれる。


「絶対に勝てる賭けにどこまで積んだっていいだろ。だって負けないから。」


4人の腹立ちを察知したVRデバイスが苛立ちをアバターへと、頭周辺の血管の浮きたちという表現で表す。

そして4人は言葉を返す。


「「「「かかって来い!!」」」」

「それはこっちのセリフだ。かかって来いよ、俺より弱い奴(ニュービー)共。」


4対1、アウロラ対ASTRAの対決がすぐそばまで迫っていた。

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