↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女さま、震度五です! ~異世界召喚された聖女はもふもふ勇者パーティーと一緒に地震から世界を守ります~  作者: 海原のどか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/26

第5話 勇者を探せ③ 二人目の救出

ワン公に癒されながら、私たちはさらに森の奥へと進む。

 

すると、先に進んでいた聖騎士が声を上げた。

「魔獣だ!」

どす黒い靄のかかった虎のような大きな魔獣が騎士の前に立ちはだかっていた。

一人、二人、三人と、騎士が斬りかかる。

「あ、待って」

が、止める間もなく、騎士たちは蹴散らされた。

「つ、強い」

騎士の口から言葉がこぼれる。

 

大きな体に似合わず動きが素早い。

落ち着いて相手の動きを見ている。

騎士が前に出た瞬間、剣を振り下ろすより前に、魔獣の前脚がその剣を払う。

さらに、蹴りが出る。

騎士と剣が地面に転がる。

「うっ……」


別の騎士が踏み込むが、今度は大きなしっぽで払われた。

「ぐうっ!」


ワン公はと見ると、魔獣の戦う様子を目を輝かせて見ていた。

この聖獣は、戦う気がない……。


そのとき。

『サア、来イ!』

私には威勢の良い声が聞こえた気がした。

 

私は名簿を取り出して目を通す。

「強そうな人、教授、ITエンジニア、建築士、看護師……」

それらしきものが無い。

その間にも、騎士たちは斬りかかり、その度に虎のような魔獣に殴られ、蹴り飛ばされていた。

焦りがつのる。


そのとき、名簿の一番下のサインを、白いもふもふが指さした。

「運転手兼ガイドの三毛《みけ》さん、確か、空手の師匠で教授のご友人です」

ワン公がぼそっと言った。

三毛という名前も、猫みたいだ。


私は目を閉じ、空手の記憶を辿った。

そして、叫ぶ。


「やめ!!」


その瞬間、魔獣の激しい攻撃が、ぴたりと止まった。

「え?」

「止まった……」

聖騎士たちがざわつく。


私は構わずすぐに祈りを捧げる。

魔獣の体が光に包まれた。

巨体の黒ずんだ毛色が薄まっていく。

虎のような巨体が、徐々に縮んでゆく。


そして私たちの目の前に立っていたのは――

人の大きさの、白地にところどころ虎模様の入った猫だった。


「確か空手の試合では、審判が『やめ!』と言った後攻撃したら反則ですよね」

私が言う。すると、

「うむ。その通りだ」

白い虎猫が頷いた。

「試合、終了か。

……わしは、勝ったのかな?」

「はい、勝ちです」

 私が言う。


「三毛与志朗《みけよしろう》。観光タクシーの運転手兼ガイドで、休日は子供たちに空手を教えている。皆さんよろしく」

私の横にいたワン公が、土下座をした。

「流石でした。弟子にしてください!」

白い虎猫は、ワン公を見下ろしゆっくりと言う。

「良いでしょう」

ワン公の前に、白い手を差し伸べた。

ワン公はその手を取って立ち上がる。

 

「ネコ師匠、誕生ですね」

私は言った。 


やっと二人目。

「そろそろ夕方になります。今日はここで帰りませんか?」

騎士が私に話しかける。


少し考えて、私は言う。

「もう一人だけ、探しませんか? 災害などから無事に救出するのは、七十二時間以内が目安と言いますから」

「それは……初めて聞きました」

聖騎士たちが顔を見合わせ、首をひねる。あ、ここは異世界だった、と私は咄嗟に取り繕う。

「そ、そう。本で読みました」

「ああ、もしかして、王城の書庫の? 貴重な本に書かれていたのですね」

「そうです」

 取り敢えず納得してくれたようだった。

「……で、私が言いたかったのは、召喚失敗してから、三日以内の救出を目指すべき、ということです」

 今朝召喚したなら、明日の朝にはもうまる一日が経ってしまう。

「なので、あと一人だけでも」

「分かりました。聖女様がおっしゃるのであれば、もう少しだけ奥まで行きましょう」


疲れて重くなる足を止めないよう、心の中で繰り返す。

あと一人。

全ては、もふもふのために。


【人物紹介】

主人公 シャルロッテ/中身は天野小夏:王女で聖女? ただし現在の中身は、日本で暮らしていた四十歳の会社員・小夏。揺れの大きさを体感でかなり正確に当てられる特技がある。甘い物が好き。そして先ほど、もふもふに目覚めた。


柴谷勇/ワン公:大きなサモエド似の白い犬のもふもふ聖獣。日本から観光タクシーごと召喚された七名のうちの一人でパティシエ。


三毛与志朗/ネコ師匠:白い虎猫のもふもふ聖獣。召喚された観光タクシーの運転手兼ガイド兼空手の師範。落ち着いていて頼れそうだが、肉球はきっとぷにぷに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。