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聖女さま、震度五です! ~異世界召喚された聖女はもふもふ勇者パーティーと一緒に地震から世界を守ります~  作者: 海原のどか


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第13話 地鳴り対策本部、発足です

「地鳴り対策本部を作ろう」

私の引っ越しの翌日、朝食の席でご飯を口に運びながら、教授が突然言い放った。

「今は無いんですか?」

私は聞いてみる。

「しばらく平穏だったため地鳴り専門の施設は無いらしい」


「オランジェリー宮にですか?」

傍らに立って給仕をしていた侍従が問いかける。

「んー、この建物だと、揺らしたりするのは難しいかもですね」

ハムさんが顔をしかめる。

「ああ、確かに。ひびなど入ると良くないな」

教授も同意する。

――え、対策本部って、揺らすものなの?


「ならば、すぐ近くの廃屋みたいな建物、あれを使わせてもらえんかな」

ネコ師匠が提案する。流石、この辺を歩き回っていたというだけのことはある。

「ああ、昔倉庫にしていた建物ですね。あちらでしたら、お好きに使っていただけると思います。すぐに片付けます」

「片付け手伝います。暇なので。何だかこの体になって軽いですし」

広子さんがにこにこして言った。働き者だ。

「揺らすのなら、耐震強度なければ補強しないとですね」

あさちゃんも珍しく前のめりだ。

「研究室に、会議室、防災用品置いたりする倉庫に……救護室や食事作りはここでできれば不要かな」

ワン公がみかちゃんを見る。

「そうね。救護室はこの建物で空いてる部屋とかまだあるし、どうにかなるかも」

みかちゃんも頷いた。


そんなわけで、必要なものなどをまとめてもらい、急遽私も馬車に乗り、窓口として、王城へお願いをしに行った。

国王はすぐに会ってくれて、大工や魔術師、侍女たちを手配させ、翌日から古い倉庫には大工や魔術師たちが次々と出入りし始めた。


建物の補強や部屋の改修についてはあさちゃんが図面を引き、図面を片手にてきぱきと指示を出し、大工が壁や柱を作っていく。

魔術師たちも、教授やハムさんたちと何やら機材を作り始めた。

私も神殿での魔法の授業の合間に、ネコ師匠やワン公らもふもふ聖獣たちや侍従、侍女たちと一緒に、不要な荷物を運び出し、掃除も手伝った。


そして早くも数日後、地鳴り対策本部が出来上がったのだった。


◇◇◇


今日は地鳴り対策本部開設初日。

もふもふ勇者一行と私は、朝食後皆でオランジェリー宮を出て、地鳴り対策本部へ向かった。

「それにしても、数日で形にできるとは、凄いね」

私は後方でハムさんの腕をもふもふしながら、前に向かって話しかけた。

「今回は、あささんにかなり頑張ってもらったからね」

教授が振り返る。

「突貫工事で作成したから、細かい備品などを揃えるのはまだこれからだけど。我ながら、ちゃんと出来たと思う」

一緒に作業をしているうちにだいぶ打ち解けて、気が付いたら皆以前よりため口で話すようになっていた。


到着して、外観を白く塗り替えられた建物の入口に、聖獣たちと私、お世話係の侍従長ライムと侍女長サラの手を置き、登録していく。

「生体認証みたいね」

「魔法を使って、それぞれの人の魔力を登録しているらしいですよ。一人一人違うとかで」

ハムさんが嬉しそうに皆の登録するところを見ている。よく見ると登録する時出る光が毎回違う色をしていた。因みに私は白い光で聖女らしい。

全員が登録し終わると、教授が扉を開いた。


周囲を窓に囲まれた広い部屋には、

大きな円卓と、その向こうの壁にモニターがある。


モニターの両脇に、それぞれ別室へ続くドアがあった。

「右側の扉奥が研究室で、今後資料や地鳴りの観測装置を製作して置く予定だ。

 左側の扉奥は、倉庫を想定している」

教授が案内する。

「モニターは、まだ動かんぞ。午後に魔術院の関係者も呼んでいるから、彼らが来たら魔術石を入れて動かしてくれる」

モニターをいじってみたりしているハムさんに、教授が言った。


「すごい! こんなにちゃんとした設備になったんだね」

私は円卓の椅子に腰かける。

「数日前までぼろぼろの倉庫だったのにね」

「ほんとだがね」

「皆、頑張ったじゃんね」

あさちゃんみかちゃんらと笑い合った。


「……シャル?」

ばさっ

後ろで何かが落ちる音がした。


私が振り返ると、入り口の前に二十歳前後と思われる若い美男子が立ち尽くしていた。

足元には、大きな花束。


「え?」

――誰?


【人物紹介】

主人公 シャルロッテ・マンダリン/中身は天野小夏:マンダリン王国の十八歳の第三王女(母は側妃)で聖女。ただし現在の中身は、日本で暮らしていた四十歳の会社員・小夏。揺れの大きさを体感でかなり正確に当てられる特技がある。甘い物が好き。この世界でもふもふに目覚めた。


◆観光タクシーごと日本から召喚された七人のもふもふ聖獣◆

兎川源一郎教授&夫人/教授&広子さん:白い垂れ耳ウサギの大学の名誉教授とその妻。教授は地震の専門家で勇者として召喚されたと思われる。広子さんは炊事や掃除が得意。


柴谷勇/ワン公:大きなサモエド似の白い犬でパティシエ。


三毛与志朗/ネコ師匠:白い虎猫で観光タクシーの運転手兼ガイド兼空手の師範。落ち着いていて頼れるが、肉球はぷにぷに。


文月あさ/あさちゃん:大型の文鳥で建築士。みかちゃんとは友人同士。


小鳥遊実花/みかちゃん:大型のインコで看護師。


羽村公平/ハムさん:大型ハムスターでITエンジニア。


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