第7話 異武器
―東京―
「須佐野、なんか肉が締まったな。」
「ん?最近腹がめっちゃ減るんだよね。」ご飯をかきこみながら言う。
「そんなに食ってるのにか?」
「うん。剣を振ってるあいだはずっとエネルギー消費してる感じがある。」
「それは当たり前といえば当たり前だけどね」
「三浦との試合の後掴んだ感覚があるんだよ。」
「どんなの?」
「やってみようか?」
「できるの?」
「うん。じゃあ、お腹も満たされたし表に出ようか。」
「剣、いる?」
「いや、いらないよ。」
「そう?」
「じゃあ行くよ。」
ストン…。
虚実の瞳孔が開ききった。
「すご……。」
ギュッ。ズドン!!
虹彩が姿を表し、体中の血管が浮き上がる。
「ふうっ。」
「……それは、なに?」
「これはね、虚実。」
「そう言われてもね。」
「ズドンのまえのあのヒョロッとしたやつなに?俺との試合のときの最後はそんな感じがあったけど。」
「『虚』っていって、意識外を利用するもので、心臓が勝手に動くように全部動かすって感じ。」
「それ、可能なの?まあ可能だからできてるんだけど。」
「三浦との試合でヒントもらったから感謝してるよ。」
「これができれば明日からのトーナメントは心配ないかもね。」
「そうだといいね。」
ー翌日ー
「ここ、かな」
「よぉ坊主!日本刀のチャンピョンだろっ?かーっ!すごいねーこりゃあ!」
「え?」虚実は突然話しかけられてぎょっとした。
「おっと、驚かしちまったな。俺もチャンピョン何だぜ。何だと思う?」
「え?ええと、矛、とか?」和装をみて、なんとなくで答えた。
「矛かあ。うーん、ちょっと惜しいな。いや、かなり惜しい?うーん難しいが違うな。まあ調べてくれたらわかるぜ。それともトーナメントで当たったときの楽しみとしてもいいな。」
「そうですね。」タジタジである。
「そうですねじゃ何もわからねえよ!まあいいや。じゃあな。俺と当たるまでまけんなよ。」
「はい。」いまのは何だったのだろう。
松本の司会によって決勝トーナメントが幕開けた。
決勝トーナメントは8部門のトーナメントなので予選と試合数は同じだ。異武器対決とは果たしてどんなものか。
単槍代表 柊理公 vs 分銅代表 荒木孝
「見合ってええええええ!始めい!!」
ドパアン!
両者が見合う。柊は虚実の次の日に生まれた短槍の王者だ。対して、荒木は分銅という変わった武器をつかう。予選は二人しか参加者がいなかった。
「分銅ってさ、暗器でしょ?バレてたら弱いでしょ。」
「そうだ。」
「え?認めるの?」
シッ
荒木が腕をふる。
ゴン!
「……っっ!!!!」柊の額に分銅があたる。
「イッてぇ。不意打ちかよ。」
「お前も言ったが、分銅は暗器だ。バレていない状況なら弱い。しかし、今のように隙をつくことができれば本来の強さに近いものが発揮できる。」
「へえ、でもそれ言っていいの?」
「どうせバレることだ。」
グッ。ジャリッ。キュッ。
柊が槍を構える。
「じゃあ俺は正攻法だ。」
「そうか。」
ヒュン。ヒュン。ヒュン。
荒木は隠す様子もなく分銅を振り回す。
柊はじっとそれを見る。
ヒュン。ヒュン。ヒュン。キュッ。グルン。ビュン、ビュッ。
分銅は次々軌道を変えながら徐々に柊に近づいていく。
その先は柊の鼻をかすった。
ボッ。ヒュン。ドッ。
柊は襲いかかる分銅を躱し、荒木の脇腹に突きを放った。
「ふん。なんの苦労もないな。」
ボッ。ボッ。ドッ、ドッ。
何度か突きを放った。
「ゴホッ。」
「降参しろ。お前はもうどうしょうもない。暗器などしょせん小細工。槍にかなうわけがね…」
ガチン!!!!!!
柊の後頭部に分銅がぶち当たった。
「んぐっ。どうやって?」
「教えるかよ。」
「長引いても嫌だな。」
柊はそう言うと、槍を極端に短く持った。その体からはオーラが出ている。
「行くぞ。」
スタスタ。大きく後ろへ下がった。
ピョーン。ピョーン。ジャンプをする。そして走り始めた。
タン。
タン。
タン。
タン。
タン。
タン。
タンタンタン。
タンタンタン。
タタタタタタタタタタタタ。
バン!
跳ねるように走った柊は思いっきり足を踏み込んだ。
その姿はまさに『やり投げ』である。
シュゥッー。
それが狙う荒木は身をかわそうとする。
ビュオッ。
肩に槍があたり、突き抜けた。
荒木の肩は健が切れたようでだらんとした。
「ん〜ッ!!!」悶絶する荒木は戦える状況になかった。
「決着ううう!勝者、短槍代表柊理公! 」
「はっ!早い決着だったな!所詮、暗器などには負けんわ。」
「そうかもな。」
「認めるのか?面白くない。あの不意打ちはまあまあだったが俺の圧勝だっただろ。」
「そうだな。」
「ノリ悪いなー。早く直してもらい。もう興味ないわ。」
柊は偉そうな態度で会場をあとにした。




