第5話 日本刀王者
「これしかなかったです。」
虚実はそう言うと構えを解き、ただ突っ立った。
「なんだ?須佐野も限界で動けないのか?」
「わからねえ。確かに傷は大きい。」
「肺に穴が空いた三浦さんと大量出血の僕。早く弱るのはおそらく三浦さんです。握力がなくなるまで少し待ちます。カウンターの可能性がなくなってから最後の一撃を僕が。」
虚ろな目で言う。
1分後。
「これ以上待つと僕もヤバいです。」
ヒュウ。ヒュウ。
「んんっっ!!」
ヒュン!!
虚実の一撃が繰り出される。
グラ。ザクッ!!!!!
三浦は最後の力を振り絞って刀を握ったが、それが虚実に届くことはなかった。
「おそろいの傷ですね。」
「決着うううう!!!!!!激闘を制したのは、飛鳥流須佐野虚実ぃぃぃ!!!」
二人はSICU(超集中治療室)に運ばれ、治療を受けた。
「あと何分ですか?」虚実は体に繋がれたコードを眺めながら聞いた。
「ええっ?君、もう喋れるの?意識が戻るまでまだあると思ったのに!」
「もともと僕は断ったんですよ。超集中治療。もう元気ですよ。義務だって言うから。」
「そうかもしれないけど、少しでも危うい場合はSICUって決まってるのよ。ほら、傷ついた戦士が次に怪我のまま出てきたらそれを見た人が可哀想とか言うでしょ。スポンサーの意向何だよ。それを抜きにしても君は絶対SICUだよ。」
「もうそれ聞きました。ここに来る前に。」
「ほんとに元気だね。あと何分か、だったね。うーんと、君はあと何分5分で完治だ。」
「三浦さんはどうですか?」
「えっと、彼はあと20分ってとこかな。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「うむ。これが私達の仕事だらね。」
「浜田よ。いいんじゃねえか?コロッセオ。日本刀部門は大盛況だぜ。」
「思った通りや。」
「この調子でほかも伸びればええな。」
「そや。まだ、これは予選やからな。異種対決なんて心が沸き立つやろ。」
「開会式には俺が出よか。」
「そら頼むわ。」
「なんて言うたろかな。」
「まっつんに任せるわ。」
「日本刀を先にやったのは良かったんちゃうかな。開会式スベったら終わりやから。」
「自分スベることないやん。何言うてんの?」
「おお。えらい褒めるな。俺を殺す気か!せめて最後は喜ばしたろうと、そういう魂胆か!」
「……。はい。スベった。」
三浦が目を覚ますと、見覚えのある顔があった。
「お!起きましたね。」
「おおー!三浦さん!おはようございます。」
「須佐野さん。すっかり元気なんですね。僕の攻撃なんか効いてなかったってことでしょう。」
「何を言うんですか!フラフラでもう大変でしたよ。」
「ははは。それは良かった。そうだ、そういえば須佐野さんっていくつなんですか?」
「僕は24です。」
「え!同じじゃないですか!僕もなんです。」
「え!三浦さん、しっかりしてるからてっきり年上だと。」
「しっかりだなんて。」
「じゃあタメ口でもいいですか?」
「もちろん!タメ口で!」
「じゃあ、今日はありがとな!三浦!」
「こっちこそ!須佐野!」
2日後
パッパラパッパッパー
軽快なラッパの音で東京コロッセオの開会式が始まった。
「えー。こんちには、松本です。どうですかみなさん。一昨日の日本刀部門、盛り上がってましたねー。須佐野くんはおめでとうございます。そして、昨日の単槍部門、こちらも負けじと!大盛況で!柊くん、おめでとうございます。あのー、我々散々盛り上がってますが、これまだ予選なんですよ。本来はカットですからね。ほんとにこのまま終わってもいいくらいですが。それはあかんか。えー。何にせよここまでは助走ですから、改めて今日開会しますこの東京コロッセオ、ぜひね、異種対決の本戦を楽しみにしつつ、予選も楽しみながら、やっていきましょう。」




