第10話 和服の男
「よお、日本刀の兄ちゃん。」
「あ、こんにちは。」
「いまから俺の試合だからさ、よかったら見ててや。」
「もちろん見さしてもらいます。」
「おーし。じゃあ行ってくるわな。」
「おい須佐野、あのおっちゃんどこかで見たことあるなと思っていたが、思い出した。」
「おお。誰なんだあの人、やけに馴れ馴れしいというか。」
「あー。馴れ馴れしいのはそういう人なんだろう。」
「あ、そうなの?」
「そう。それはそうとあと人、」
その言葉の先を聞いた虚実は理解が一瞬遅れた。
決勝トーナメント第4試合
長柄武器代表 久遠達郎 vs 空手道代表大江藤一郎
「見合ってええええ!始めい!!」
ドパアン!!
「空手道?」
「おう!そうよ。」
「なにかおかしくないか?この大会は武器を一つだけ持ち込んでそれで戦うってやつだろ?現に俺は長柄武器と言うことで鉞持って戦おうってしてんのに。」
「うーん。鉞の兄ちゃんよ、そう思っとるうちは俺かつのはきびしいんじゃねえか?空手は何も武器を持たないってわけじゃない。」
「なにか隠しているのか?」
「いや?目の届くところにあるぞ。」
「は?」
「まあ見とけって。かかってこいよ。」
「……。」
久遠は大きく振りかぶり、振り下ろした。
ガン!
大江は身をかわした。
「くそ。」
「なあ。悔しがっとる暇はねえんじゃねえの?」
そう言うと大江はサッと間合いを詰めると、
ドスッ。
腹に正拳を食らわせた。
「うっ……。」
「起きろ。これで終わっちまったらつまんねえよ。」うずくまる久遠を煽る。
久遠は鉞を手に取り、大勢を立て直す。
グッと振りかぶり、先ほどと同じフォームで振り下ろした。
大江は交わしたようだった。
「はあっ!」
久遠はスイングの途中で軌道をかえ、無理やり大江を狙う。
パシッ。
柄のところを大江がキャッチしている。
そしてそれを握ったままくるっと回転した。久遠のてから鉞が離れる。
さっきと全く同じ状況だ。
サッ。
同じ間の詰め方で大江は近づいた。
とっさに久遠は腹を守り、右手に集中する。
グルッ。ビタァン!
久遠は次の瞬間転がっていた。
大江の攻撃は「足払い」だった。
「今のは特段空手というわけじゃない技だ。適当よ。でも、兄ちゃんは技にかかったろう?




