表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/15

タイトル未定2026/07/02 02:31

 保育士の仕事を終えた若菜は、疲れ切っていた。

 週の初めなのに、既に身体が重い。

 水田若菜、保育士二年目。

 水田菓子メーカー社長の一人娘。

 保育士二年目となり、持ち場の仕事が増えてきた。

 若菜は疲れ切った身体で、玄関のドアを開けた。

 ドアを開けると、台所からいい匂いが漂ってきた。

 若菜は、台所に入って行った。

「ただいまぁ~お腹すいたぁ!」

 台所では、若菜と同じくらいの背丈で小柄な若菜の母親が、鶏の唐揚げを揚げていた。

 テーブル席では、父親がビールを飲みながら、一足早く鶏の唐揚げをつまんでいた。

「パパ、早いじゃない」

「たまにはな」

 早いと言っても、既に九時を回っている。

 若菜は父親の目の前にあった鶏の唐揚げを、一つ手にしてつまんだ。

「美味しいぃ〜」

 それを見ていた母親が、若菜を叱った。

「帰って来たそうそう、なんですか。行儀が悪い。手を洗って、着替えて来なさい」

「はぁい」

 若菜は台所を出て、自分の部屋に行った。

 台所を出て行く若菜を見ながら、母親は言った。

「いつまでも、子供なんだから。あれで本当に、園児達の世話ができているのかしら」

「園児の前では、常に気を張っているんだよ。家に居る時くらい、好きにさせてあげなさい」

「パパは、甘いんだから」

 不満気に言った母親は、揚げ物の続きをした。


 浴槽にのんびり浸かった若菜は、トレーナーとジーパン姿に変わり、台所に入って行った。

 食卓には、鶏の唐揚げをおかずにした夕飯がテーブル一面に並んだ。

 テーブルを挟んだ両親の向かいに、若菜は座った。

「いただきます」

 若菜は早速、夕飯を食べ出した。

 母親も若菜と一緒に夕飯を食べ、一足早く食べ終えた父親は、お茶を飲んでいた。

 お茶を飲んでいた父親が、若菜に聞いてきた。

「若ちゃん、マスターとはどうなった?」

 若菜は顔を上げず、夕飯を食べながら平然として言った。

「いつの話を、しているのよ。マスターは、シロちゃんと付き合っているよ」

「シロちゃん?シロちゃんって……白田さんと付き合っているのか!」

「うん。シロちゃんが大学生の時から付き合っているから、長いよ」

 若菜と流花は高校生の時に出会い、若菜の家に流花が遊びに来たことがあり、若菜の父親は流花のことを知っている。

「パパがあれだけマスターを推していたのに、マスターを白田さんに取られるなんて!若ちゃんは、何をやっていたんだ」

「マスターが、シロちゃんを選んだんだよ。お互いペアリングを付けちゃって、お似合いだった」

「若ちゃんが、マスターと一緒になると思っていたのにぃ」

 いつまでも未練がましく言う父親に、母親はピシャリと言った。

「パパ、いいかげんにして。みっともないわよ」

 父親は、黙り込んでしまった。

 母親は、若菜に聞いてきた。

「若菜。白田さんって、どんな子?」

 母親は話だけで、実際流花には会ったことがない。

 若菜は、持っていたお茶碗と箸を置いた。

「モデルみたいに背が高くて、大人っぽいよ。でも明るくて、一緒にいると楽しい。マスターも背が高いから、シロちゃんとお似合いだよ」

 母親は若菜の話を、静かに聞いていた。

 若菜は父親の方を向いて、思い出したように言った。

「そう言えば、亮さんってまだ海外勤務?」

「あぁ、そうだな。もう、四年になるな」

「もう、戻ってこないの?」

「いや、戻ってくる前提で海外に出した。そろそろ、戻ってくるんじゃないかな。また、向こうとも話をしてみる」

 北神亮きたかみとおる

 男名だが、水田菓子メーカーの女性秘書。

 仕事は有能で、控え目な性格の女性。

 仕事終わり、水田と亮は偶然bar「ジェシカ」に訪れマスターと出会い、全てはここから始まった。

 初めて出会ったマスターに、亮は恋に堕ちた。


 夕飯を食べ終え部屋に戻った若菜は、パジャマに着替えた。

 明日の準備をするとベッドに上がり、布団の中に潜った。

 ……亮さん、まだマスターのことを想っているのかな?

 マスターに一目惚れをした亮は、マスターに想いが届かないとわかっていながらも、マスターを想い続けていた。

 亮だけではなく、若菜もマスターに一目惚れをしていた。

 若菜も亮と同じように、想いは届かず、それどころか若菜は辛い失恋を経験した。

 若菜は幼い頃からの夢だった保育士になり、今は日々園児達と駆け回っている。

 ……マスター。

 ストーカーに怯えていた若菜を、マスターは助け出し、若菜はマスターにそっとキスをした。

 若菜はマスターにキスをしたが、マスターが若菜に振り向くことはなかった。

 封印したはずの扉を、若菜は少しだけ開けて眠りに落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ