第3話 黎明と黄昏
仮面の者たちは五人。
その動きは異様に速く、音もなく滑るように迫ってくる。
「右、任せる!」
仲間の声と同時に、私は左へ踏み込む。
刃と刃がぶつかり、金属音が森に響いた。
瑠璃色の刀が黒い刃をはじくと、桃色の光が一瞬だけ広がり、敵の足元を照らした。
その隙に、仲間が紫と金の刀を振るい、黒い刃を割くように一閃。金の稲妻が森の闇を切り裂き、敵の動きが一瞬止まる。
だが、残る四人はすぐに体勢を整え、太鼓のリズムに合わせて再び迫ってきた。
赤く光る文様が地面に浮かび、炎のように立ち上がる。周囲の空気が熱を帯び、視界が歪んだ。
「くっ……!」
私は踏ん張り、瑠璃色の刀を強く握る。桃色の光が手元に集中し、衝撃を吸収するかのように刃を守った。
仲間は冷静に間合いを測り、黄昏刀を地面に叩きつける。
紫の刃と金の稲妻が赤い炎に触れると、光が走り文様が一瞬消えた。
その隙に二人は同時に前に踏み込み、連携攻撃を仕掛ける。
青と桃、紫と金。二つの光が交差するたび、森の闇を裂き、仮面の者たちは後退を余儀なくされた。
しかし、その中の一人が仮面を外す。
青白い肌、赤く光る瞳、裂けた口——鬼のような異形の姿だった。
「人間じゃない……」
私の声が震える。
「今は退くぞ」
仲間が低く告げ、二人は跳び退き、森の影に身を隠す。
広場には、残る仮面の者たちが太鼓を叩き続ける。
その音は森全体に響き、胸の奥でざわめきを起こす。
——これはただの儀式ではない。
もっと大きな、国全体を揺るがす何かが動き出している――。




