4/8
第4話 影と誓い
森を抜けると、潮の香りが混じった風が柔らかく肌を撫でた。
夕陽はまだ赤く残っており、茜色の空が静かに広がっている。
私は腰の刀を握り直し、深呼吸した。
背後では仲間も同じように刀を握り、森の影を睨みつけている。
「さっきの奴ら……人間じゃない」
私が声を潜めて言うと、仲間はうなずいた。
「ああ。でも、全部相手にする必要はない。力をためるんだ」
紫と金の刀が夕陽を反射して鋭く光る。
私は目を閉じ、胸の奥に宿る使命感を確かめた。
青と桃の光が静かに脈打ち、心の奥で炎のように燃える。
「……次はどうする?」
私が尋ねる。
仲間は少し間を置き、静かに答えた。
「情報を集める。奴らの目的を知れば、戦い方も見えてくる」
二人の目が合う。言葉は少ないが、互いを信じる気持ちは確かに伝わる。
剣士として、王族として、二人は一心同体だ。
森の奥にはまだ敵の気配が残っている。
だが今は、退くことが力になる。
青と桃、紫と金——二つの刀が夕陽に照らされ、互いの決意を映し出していた。
「次は必ず止める」
私は小さく呟き、刀を握り直す。
仲間も頷き、森の影に溶け込むように歩き出した。
二人の足取りは軽く、しかし確かだ。
黎明と黄昏の光が、夜の訪れを待つ森に優しく触れていた。




