第三話 そうだ、スーパーへ行こう
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そう、俺は家事ができない。
落ち着いて状況を整理してみよう。まず、俺はこの伊藤異能学園とかいうすごく噛みそうな名前の学校に在籍している一年生だ。そしてここは俺がよく知る日本ではないだろう。
入学式でもらった資料には日本の国旗が描かれていたが、日本には、一瞬で入学式会場を凍らせることのできる赤い髪の校長なんていないはずなので、ここがただの日本でないのは間違いない。この世界から元の世界に帰る手段があるのか、ないのかということは、留学みたいなものだととらえればひとまず何とかなる。
ただ、ここで問題となるのが俺は家事ができないということだ。
よく考えてみてほしい、もし自分が見知らぬ土地で一人暮らしをすることを何の準備もなく強制されたら、と。結論から言って俺には無理である。
この状況にあるのが俺ではなく、一人暮らしになれている者だとしたら、すぐに適応でき、今頃は晩飯を食べながら明日の自己紹介のことでも考えているのかもしれない。そうであれば、この世界についての知識を深めていくということも、可能だっただろう。
しかし、である。俺は風呂掃除、食器洗い、洗濯、料理をたまにやる程度だったのだ。そんな俺が一人暮らしを急に見知らぬ土地で始められるかなんて言うまでもない。
「終わった……」
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あれから十分ほどは動けず、嘆いていたのだが紆余曲折あって、俺は今スーパーにいた。実は俺はあの後入学式でもらった資料を読み込んだのだ。それはもう必死に。
そこで、俺は光を見たのだ。
何を隠そうその資料には、学園からすべての生徒に生活費が毎月支給されるという内容があり、さらに、新入生には入学祝として、十万円の特別支給が行われるとあったのだ。それを見て、俺は浮かれてスーパーにやってきたというわけである。なるほど、校長はここに金を使っていたのか、それはすばらしいことだが、解せぬ。
というわけで、俺はスーパーの中に入ってみたのだが、何の変哲もないただのスーパーだった。
知らない野菜やおかしな物価ということもなく、強いて言えばピーマン、パプリカ、シシトウとピーマン関係がやたら充実しているという特徴があるくらいだった。正直、期待外れである。
「とりあえず、晩飯に冷凍食品でも買っていくか」
あれから、俺は特に何の問題もなく冷凍食品を買い、地獄の階段を上がって、俺は自分の部屋で冷凍のパスタを解凍して食べていた。
「うまい。でも、一応成長期なわけだし、明日からはもう少し栄養に偏りのないものを食べないとな。少しは家事ができるように努力する……か?」
パスタの容器を片付け、俺は風呂に入った。そして歯ブラシがないことに気がつき、地獄の階段を経て、歯を磨き、明日の自己紹介への緊張を抱えながらベッドの上で目をつぶったのであった。
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